連載 中学受験は親と子の協同作業

【5年生】一年後の本番を迎える前に、この冬にしておきたいこと|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.48

専門家・プロ
2019年12月19日 石渡真由美

関西・千葉・埼玉入試まで1カ月を切りました。6年生はこの時期の追い込みが合否を分けるかもしれないと、今一生懸命勉強をしているでしょう。でも一年後に入試を控える5年生は、まだ自分事として捉えられない子が少なくありません。しかし、ここでぼんやりできないのです。5年生の冬休みの勉強の取り組み方が6年生での伸びを大きく左右するからです。

5年生の冬休みは1月のテスト対策を意識する

5年生の冬休みの過ごし方で特に意識したいのが、年明け1月上旬に実施される模試です。この模試は次の学年のクラスを決めるテストで、その結果で6年生のスタートをどんな立ち位置で臨めるかが決まります。

大手進学塾の多くでは上位クラスにいる子ほど、受験に有利になる仕組みになっています。6年生になると、サピックス・早稲田アカデミー・四谷大塚では算数の全単元は小5で終了し、小6から実践的な問題に入っていきます。そうなると、志望校のレベルに合うクラスに在籍できるかどうかが合否に直結することになります。そのクラスを決めるテストが冬期講習直後におこなわれます。

しかし冬休みは期間が短く、あいだに正月を挟むため、勉強に集中できる日が限られています。塾では冬期講習が実施され、5年生で習ったことを総復習しますが、講習中は連日授業。さらに復習と宿題で忙しく、1月上旬に実施される模試の対策まで手が回らないというご家庭が少なくありません。

ですから、1月の模試対策は2学期の授業が終わって冬期講習がはじまるまでの数日間や、冬期講習がない正月休みなどを利用することになります。模試の内容は、5年生の冬期講習で扱う内容が中心となる塾もありますが、4年生から5年生までに学んだすべてが出題範囲のところ(サピックスなど)があり、注意が必要です。

「とりあえず勉強」から「納得勉強」へシフトチェンジを

中学受験の勉強は、学年が上がるごとに勉強量が増え、内容も難しくなります。4年生のうちは基礎的な内容を学ぶため、大きく落ちこぼれることはあまりありません。しかし5年生になると、算数なら「速さ」や「割合」といった子どもが苦手に感じやすい単元を習います。するとこれまで順調に受験勉強を進めてきた子にも、つまずきが見られるようになります。今現在、5年生の子で苦手単元を抱えている子は少なくないはずです。

しかし、6年生になるとそれらの知識を使った応用・発展問題を解いていかなければなりません。こうした問題を解くには、今までの「とりあえず覚える勉強」から、「深く納得する勉強」へと勉強やり方を変えていく必要があります。そのためには「なぜそうなるのか」「どのように利用できるのか」の2点を考えながら覚えていく勉強へシフトしていく必要があるのです。

例えば、速さの問題なら、線分図や面積図、ダイヤグラムなどを使った解き方があります。このときに「今回は○○について問われているんだから、この解き方を使ったほうがいいな」といったように、どの解き方で解けば答えを導けるのか、考えながら解く勉強へと変えていきます。

6年生春は転塾のラストチャンス。事前に下調べを

6年生になると塾の授業がハードになります。今現在、塾の授業についていくのが精一杯で、苦手な単元をたくさん積み残してしまっているという子は、この冬休みに家庭教師をつけるなどして、優先順位を考えて苦手の克服に注力することをおすすめします。またこの先、塾の授業についていけそうにないという子は、転塾を考えてみるラストチャンスでもあります。

よくあるのはサピックスの授業についていけないというケースです。サピックスは最難関校である男女御三家へ多くの合格者を出す塾で、授業のカリキュラムも上位の子のレベルに焦点を当てて進めていきます。(大手進学塾にはどこもその傾向がありますが、最も顕著なのがサピックスです)

ですから、もし最上位校を狙わないのであれば、その塾にこだわる必要はありません。例えば同じ大手進学塾でも日能研なら、比較的ゆっくりとしたカリキュラムで授業が進みます。今の授業がハイスピードでまったくついていけないというのなら、転塾をしたほうがよい結果を出すこともあります。ただし、行き当たりばったりの転塾は避けなければなりません。転塾を検討するなら、次のステップを必ず踏んでください。

転塾のステップ

① 子どもの勉強がうまくいっていないことに気づく

② 何がどううまくいっていないのか、現状を分析する(スピードなのか、レベルなのか、講師との相性なのかなど)

③ 「こうしたらうまくいく」という望ましい状態を考える。そのとき、本人と親ができることを書き出し、逆にできないことを穴埋めしてくれる塾を探す

④ 転塾先の塾が通える距離にあるか確認する

⑤ 転塾先の候補をいくつかあげ、見学する

このステップを丁寧に踏むには約1カ月かかります。つまり、新学年のスタートに合わせて転塾をするのなら、今準備をしておかなければいけないということです。5年生は入試まであと一年。最後の一年で大きく伸びていくためには、この冬の過ごし方がカギを握ります。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

合わせて読みたい