連載 中学受験は親と子の協同作業

本番直前! 6年生 冬休みの過ごし方|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.47

専門家・プロ
2019年12月06日 石渡真由美

冬休みに入ると、いよいよ本番間近。塾の最後の講習にあたる「冬期講習」と「正月特訓」は、受講するべきなのでしょうか? この時期、最優先するべきことは?

冬期講習はひたすら演習をくり返す。受験生の気分を味わうのには有効

冬休みに入ると、各塾では冬期講習が始まります。どの塾もこれまでの学習の総まとめとしての演習が行われます。受験する学校のレベルに応じて、本番の入試を意識した問題を解かせます。

サピックスでは11月までは難しい内容の演習をさせますが、冬休みになると比較的簡単な問題の演習に切り替わります。これは本番を迎える前の子ども達に自信を持たせるためです。一方、早稲田アカデミーのNN志望校別コースでは、本番までひたすら出題されやすいタイプの問題演習を行います。くり返し問題を解かせることで、型を覚えさせるのが狙いです。

どの塾でも6年生の冬期講習は志望校対策と銘打った演習授業になります。ところが多くの場合、一つのクラスにA校志望、B校志望、C校志望…といったようにさまざまな学校の志望者が混在しているため、自分の志望校ピッタリの問題を解く回数は限られています。そのため、志望校対策の効果はある意味限定的ですが、不安が高まるこの時期に、「みんなと一緒に勉強している」という安心感は大切です。過去問演習が予定通り進んでいるようでしたら、冬期講習のピリっとした雰囲気を味わってください。

ただし11月までは順調だったのに、12月に成績が一気に落ちてしまう子の多くは、自信を失って勉強のやり方も見失っています。そのような場合は冬期講習を受けずに基礎レベルに戻して、じっくりゆっくり復習して自信を取り戻してください。得意教科や得意分野を多く勉強することも効果的です。

最優先は過去問。やり切れていない場合は、正月特訓は行かない選択を

冬休みには冬期講習のほかに、年末年始を利用した「正月特訓」があります。例えばサピックスなら、12月30日と31日、1月2日と3日の4日間、1日8時間のカリキュラムになっています。

正月特訓も冬期講習と同様に志望校の演習が中心です。「お正月も頑張って勉強をした!」と実感させることで、「自分は合格できる!」と思わせることが塾の狙いです。過去問演習が予定通りに進んでいて、しかも志望する中学校の単独コースが設置されているのであれば、ぜひ参加してください。

でも、そうではない大多数の子どもにとって大切なのは、過去問を制限時間通りに解き、しっかりと振り返り学習をすることです。そのためには実際の入学試験時間の2~3倍の時間が必要になります。また、実際の入試を意識して取り組むことも大切です。例えば2月1日の午前に、本命の4教科の入試があり、午後に併願校の2教科入試を予定しているとします。その場合は実際に気力や体力が持つのか、リハーサルをしておいたほうがいいでしょう。つまり、丸一日そういう日が必要だということです。正月特訓をキャンセルすることで、この時間を捻出できることを知っておいてください。

理科・社会は入試前日まで覚え続ける。理社で5点アップが合格の近道

次に取り組むべきことは、理科・社会の暗記です。中学受験は算数の点で差が開きやすいため、どの家庭でも算数に力を入れてきたはずです。でも、入試は国算理社の4教科の総合点で合否が決まります。極端な話、算数の点が少し悪くても、理社で高得点が取れれば合格できるのです。そして、直前期に伸ばしやすいのが、この理社の2教科です。理社はどれだけ知識が定着しているかが勝負のポイント。中学受験の理社は扱う範囲が膨大です。そのため、覚えては忘れ、覚えては忘れをくり返すのが普通です。覚えることと忘れることの“モグラたたき”は本番全日まで続けるものだということを知っておいてください。理社の2教科は入試ギリギリまで覚え続けることです。毎日必ず各教科30分は覚える時間を確保しておきましょう。

理社の暗記のために、多くの塾は一問一答型の問題集を使わせています。この時期までにはそれを何巡もしてきたはずです。それでも点数が上がっていかない場合は、「機械的暗記」を疑うことも必要です。問題集の答えを上から順番に覚えていたという子を何人も見ています。その「機械的暗記」を抜け出すのに効果的なのは、問題と答えを逆に使う方法です。

例えば、【問い】「双子葉なのに、胚乳を持つ植物は?」【答え】「カキ・オシロイバナ」という問題があったとします。答えを見ながら「カキ・オシロイバナ」が答えとなる問いを思い出す練習です。一番苦手な単元から利用してください。

中学受験の合否は、わずか1、2点の差で明暗が分かれます。もし、理社で各5点アップできれば、それだけで合格できてしまうのです。ですから理社は最後の最後まで覚え続けましょう。直前期になると、できていないところが気になり、あれもこれもやらせたくなってしまいがちです。しかし、この時期は苦手分野の深掘りをしたり、今以上に学習量を増やしたりすることはやめましょう。焦らずに今やるべきことを決め、確実にこなしていくことです。

冬休みが終わると、いよいよ1月の千葉県・埼玉県の入試が始まります。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。