連載 合格する子どもの伸ばし方

これからの時代に必要な力【2】やる気を高める力|本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」

専門家・プロ
2020年2月13日 松本亘正

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子どものタイプによって、親の関わり方や言葉のかけ方を変えたほうがぐんと伸びる。子どもは、大きく4つのタイプに分けることができる ―― 中学受験専門塾 ジーニアス代表、松本亘正氏の著書『合格する子どものすごい伸ばし方』から、わが子のタイプを知り、子どもの力を伸ばす方法を紹介します。

これまでの大学入試では、とにかく暗記ができればなんとか乗り越えることができるという問題形態のものが多かったといえます。しかし、そんな時代が終わりを迎え、これから求められる力は多様化していきます。

そのひとつが「やる気を高める力」です。

十分達成できる目標を子どもに立てさせよう

自分でやる気を高めること、他人のやる気を高めること。これからの世の中では、どちらも必要な力です。

将来、自分の子にもそういう能力を身につけさせたいですよね。でも、現実は、目の前の勉強にすら取り組まない、受験勉強が進まない……。それなら、まず子ども自身のやる気を高めることに重きを置いてみましょう。

そもそも大人でも、新たな勉強をはじめて継続するのは大変なことですよね。英会話ひとつとっても、なかなか続きませんし、身にならないことが多いものです。

そこでまず「勉強を続けることは大変なことなのだ」という前提に立ったうえで、どうやって子どものやる気を高められるかを考えましょう。

そのために一番いいのは、達成できる具体的な目標を自分で立てさせることです。

もちろん、子どもの意見を聞いたり、あまりに難しそうな目標なら変える必要があります。なかなか長い間、やる気が続かない子の場合には、とにかく目の前の小テストや試験など、目に見えるものをピックアップして目標にしましょう。

そして「平均点を超える」「学年10番に入る」といった、手が届きそうな目標を立てさせます。うまくいっていない子には、「高くないハードルを設定して確実に越えさせる」ことが、自信につながります。

私たち大人が、子どもに人生を「語る」場を作ることも必要だと思います。自分の人生を振り返って、どんなことがあったのかを話してみるのもいいでしょう。または、どういう人生を歩んでほしいのかを話してもいいですね。

親はつい、「語れるほど自分は偉くない」と思ってしまうものですが、語ったり、演じたりしなければいけない場面はあります。なんとなく話すのではなく、しっかりと向き合う「場」を設けましょう。いつもと違う空気のなかで、思っていることを誠実に話す。そういうときに話したことを子どもは覚えていて、ずっと心にとどめているものです。

一匹オオカミの一点集中タイプでなければ、切磋琢磨し合える輪の中に入れよう

サマーキャンプ、合宿、運動会や文化祭は貴重な機会です。

とくに10歳以上になると、協調性が必要なことにも気づきはじめます。ときには協力するためにまわりに合わせたり、周囲の意見をまとめることも求められます。

クラスやグループで何かを発表したり演技するときは、他者のやる気を高められるチャンスです。

いつもはおっちょこちょいでも、人と話をするのが苦にならないタイプには向いています。逆に、引っ込み思案でなかなか話せないタイプの子は、まわりとうまく関わる経験ができるかもしれません。

気後れしそうだったり、まわりの子よりも幼すぎてついていけないのではないかと思うなら、年少者も参加しているようなサマーキャンプなどに入れると、のびのび自分を発揮できるかもしれません。

ただ、一匹オオカミの一点集中タイプの子は、まわりと合わずに苦痛を感じてしまうことも考えられます。自分が好きなことに没頭したいタイプの子を持つ親は、

「もっとまわりとコミュニケーションを取ってほしい」

と思うものです。でも、本人に合わないことを無理強いしても得るものは少ないので、そういう場合は避けてもいいと思います。そもそもこのタイプは自分でやる気を高められるタイプですから、「それで十分」と割り切ってしまいましょう。

イラスト hashigo(silas consulting)


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