連載 合格する子どもの伸ばし方

これからの時代に必要な力【4】自分で正解・間違いに気づく力|本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」

専門家・プロ
2020年2月13日 松本亘正

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子どものタイプによって、親の関わり方や言葉のかけ方を変えたほうがぐんと伸びる。子どもは、大きく4つのタイプに分けることができる ―― 中学受験専門塾 ジーニアス代表、松本亘正氏の著書『合格する子どものすごい伸ばし方』から、わが子のタイプを知り、子どもの力を伸ばす方法を紹介します。

これまでの大学入試では、とにかく暗記ができればなんとか乗り越えることができるという問題形態のものが多かったといえます。しかし、そんな時代が終わりを迎え、これから求められる力は多様化していきます。

そのひとつが「自分で正解・間違いに気づく力」です。

読み落とししなくなるだけで、点数はぐんと上がる!

「うちの子は国語の読解が苦手なんです」

という相談をよく受けます。ほかにも、

「理科や社会で一問一答はできるのに、選択肢問題はよく間違えてしまう」
「算数で距離をキロメートルで答えるのにメートルで答えてしまうといったような単純なミスをして、もったいないんです……」

という相談もあります。じつはこれらの相談の根本にあるものは同じ。

「読み落としをしている」のです。

たとえば、国語の読解。語彙力がないから解けないというケースと同じくらい、重要なキーワードを見逃してしまった、心情の変化が表れたセリフがあったのに気がつかなかった、という「読み落とし」による失点が大きいのです。

もちろん、どこに注目すればいいのかというテクニックは塾で伝えていきますし、問題集にも書いています。

でも、自分で気づくのは、とても難しいことです。

選択肢問題も、どこが正しくて、どこが正しくないのかを見分けなければいけないのですが、解けないのは、決して知識不足ではなく、文章を吟味する力が足りないからです。つまり、丁寧に問題を読んで、間違いと正解に気づく力が求められます。

とくに、大学入試改革によって、センター試験に代わる試験では「すべて選びなさい」というタイプの問題が出されるようになります。これは大きな変革です。

いままでは「消去法」を使ってテクニックで解ける問題も多かったのですが、これからは一つひとつの選択肢が正しいかどうかを判別していかなければなりません。そして、このタイプの問題は正答率が低くなりますから、大きな差がつきます。

実際に中学受験では、難関校ほどこの問題形式が使われています。とくに筑波大附属駒場中学校や東京学芸大竹早中学校、雙葉中学校などではよく見られます。「自分で間違いに気づく力」が、学力の大きな比重を占めるようになってきました。

算数の単純なミスも、「条件の読み落とし」が原因の場合がとても多いですね。

先取り学習させるより、ぜひ「読み落とし」対策からはじめましょう。注意力不足からくるミスは、あとになればなるほど修正が難しくなります。

親が先回りして間違いを言わないようにしよう

では、どうすれば自分でミスを見つけられるようになるのでしょうか。

それは、親が先回りして間違いを教えないことです。とくに、小学校の早い段階で気をつけるべきポイントです。

たとえば、算数で10問の足し算の筆算問題を解いたとします。

ひとつか2つ間違えていたら、○と×をつけて、「ほら、ここが間違っているよ」と伝えてしまいますよね。そこまではいいのですが、

「15+19なのに24になっているから、繰り上がりを忘れているよ」

とまでは言ってはいけません。×をつけたら、自分でなぜ間違えたのかを考えさせて、自分で修正させましょう。

「あっ、しまった」

という気づきが成長につながります。

塾でも「出来持ち形式」といって、一定のところまで解けたら持ってきてもらい、こちらで○か×をつけ、×の場合は自分で直してから再度、持ってきてもらうやり方を取り入れています。

普段の授業では、講義中心でそれほど多くの時間をかけられませんが、夏の合宿では、集中的にこの方式で算数を鍛えます。

イラスト hashigo(silas consulting)


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