連載 しあわせな中学受験

親に言われてイヤだった言葉 うれしかった言葉|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

専門家・プロ
2020年3月05日 中曽根陽子

「イヤなら受験やめてもいいんだよ」「いくらお金をかけたと思っているの」よくないと思いつつも、親ならば1度は口にしたくなるこうした言葉の数々。子どもたちは、どんな気持ちで聞いているか想像したことはありますか?

「ここまでやってきたのに、もったいない」「○○ちゃんも頑張っているんだから」――励まそうと思って発した言葉も、子どもの心に届いているでしょうか? 感情に任せて発した言葉が子どもの心に与える影響は、親が想像する以上かもしれません。中学受験を経験した大学生たちに、親に言われてイヤだった言葉、うれしかった言葉を聞きました。

比較されればされるほど、やる気はなくなる

友達と比較されることほど、不快なことはありませんでした。「○○ちゃんは、夜11まで勉強しているんだって」「○○君、今度のテストの結果が良かったから、上のクラスになったらしいよ」と、比較することばかり言われて。余計やる気がなくなりました。

こう話してくれたのは、現在国立大学に通う女の子です。親御さんは叱咤激励するつもりで言ったのでしょうが、やる気になるどころか、言われれば言われるほど、反感を覚えたという彼女。「人と比較するのではなく、もっと私を見て欲しかった」という言葉を聞いて、話を聞いた私も切なくなりました。

ではどんな時にやる気になるのか――彼女は「いろいろ言われても、自分がなんでこの勉強をするのかがわからなければ、やる気にならない」と言います。叱咤激励されるより、何のためにこの勉強をするのか、その意義を教えてもらえたほうが、やる気になったのではないでしょうか。

親から言われて、イヤだった言葉

ほかにも親から言われてイヤだったことが、いろいろと出てきました。

  • 「遊んでばかりいないで勉強しなさい」と言われるのが一番やる気をなくす
  • 「これじゃ落ちるよ」と嫌味っぽく言われた
  • やろうと思っているときに「勉強しているの?」と言われたとき
  • 教えてもらってもわからなかったときに、「そんなことじゃ受からないね。もう受験なんかやめたら」と怒られたこと
  • テストで良い点が取れなかったときに「算数ができないね」とダメ出しされた
  • いい成績をとったのに、褒めてくれなかったとき

……などなど

どうですか……? こうした言動に心当たりはありませんか?

私にはあります。宿題が山ほどあることをわかっているのに、いつまでも別のことをして取り掛かろうとしない子どもに「いったい何時だと思っているの!」とキレてしまったのです……。すると子どもは、「今やろうと思ったのに、やる気無くした!」とふくれっ面。そんな子どもの反応にさらに怒りのボルテージがあがって、泥沼のバトルに発展したこともあります。結果的には余計、宿題をやる時間がなくなってしまいました。

今思うと私の言動は、子どものためを思ってしたことの<よう>で、実は私自身の不安やイライラの感情をぶつけていただけでした。子どもは親から信頼されていないと感じてしまうのです。なにも良いことはありませんでした。では、どうすればよかったのでしょう。次は、子どもが言われて嬉しかった、やる気が出た言葉を紹介します。

30点でも褒めてもらえて、やる気が出た

模試で国語が30点というひどい成績だったとき、親から怒られると思いました。でも「よくこんな難しい熟語が書けたね」と、唯一点がとれた書き取り問題について褒めてくれて、すごくうれしかった

今は有名私大の法学部に通うある男の子の言葉です。このときに、自分は熟語が得意! と自信がついて、ほかのことももっと勉強すればできるようになると思って、頑張るようになったといいます。親から点数を責められていたら、自分は熟語が得意なんて思えなかったでしょう。親の言葉の影響は大きいのです。

親から言われて、うれしかった言葉

ほかにも、親に言われてうれしかった言葉として、

  • 「あなたなら合格できるよ」
  • 「よく頑張っているね」
  • 頑張って勉強した後に、「いい顔しているね」と言われたとき
  • 難しい問題が解けたときに、「さすがだね〜、よくこんな問題が解けたね」と褒められたとき、単純にうれしかった

などが挙がりました。やはり親からの励ましや、頑張っている努力を認められる言葉をもらうとうれしいのですね。実際、結果よりプロセスを認められたほうが人はやる気になるという研究もあります。褒めるときには、ぜひ頑張っているプロセスに目を向けて、声をかけてあげましょう。

子どものホンネは、親に認めてほしい、喜んでもらいたい

さて、ここまで子どもの本音を見てきましたが、いかがでしたか? 子どもたちの話を聞いていて感じるのは、親の言葉に反発しながらも、本音の部分では、親に認めてほしいと思っていて、親に喜んでもらいたいから頑張るところがあるということです。そして、取材した大学生たちは口を揃えて「親には感謝している」と言っていました。みんな健気ですね。

たとえ今、親の期待値に届いていなかったとしても、頑張っているところに目を向けて、そこを認めてあげてください。きっとそれだけで、子どもは安心して頑張れると思います。


これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと

※記事の内容は執筆時点のものです

中曽根陽子
この記事の著者
中曽根陽子 専門家・プロ

教育ジャーナリスト。小学館を出産のため退職後、「お母さんと子供達の笑顔のために」をコンセプトに数多くの本をプロデュース。子育て中の女性の視点を捉えた企画に定評がある。教育雑誌から経済誌、紙媒体からWeb連載まで幅広く執筆。中学受験に関しては「受験を親子の成長の機会に」という願いを込めて『1歩先行く中学受験 成功したいなら「失敗力」を育てなさい』『後悔しない中学受験』(共に晶文社)『子どもがバケる学校を探せ』(ダイヤモンド社)などを執筆。教育現場への豊富な取材や海外の教育視察を元に、講演活動やワークショップもおこなっており、母親自身が新しい時代をデザインする力を育てる学びの場「Mother Quest」も主宰している。近著は『成功する子は「やりたいこと」を見つけている 子どもの「探究力」の育て方』(青春出版社)

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