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理科の時事問題の学習ポイント|なるほどなっとく 中学受験理科

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2020年8月28日 水溜 兼一(Playce)

学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

入試に向けて、これから家庭や塾で本格的に「時事問題」に取り組む6年生は多いと思います。そこで、近年の入試理科でよく扱われるテーマや、時事問題対策のポイントを小川先生に伺いました。

時事問題でよく扱われるテーマ

近年の入試理科では時事問題を扱う学校が増えていて、この傾向は今後も続くことが予想されます。本稿ではまず、どんなテーマがよく扱われるのか、ここ数年の出題傾向を踏まえて紹介します。

地震・火山・気象

災害の概要を尋ねる問題、日本の火山分布図を見て火山の名前を答える問題、天気図や雲の画像、地震計のグラフを読み解く問題など、バラエティーに富んでいます。今年は梅雨時に各地で大雨による災害が起こりました。大雨をもたらした原因である「線状降水帯」について理解するほか、ハザードマップの見方も確認しておきたいところです。

天体イベント

月食・日食、惑星の特徴、小惑星探査もよく扱われるテーマです。今年の主な時事問題には、6月の部分日食(金環日食)、10月の地球への火星最接近、12月に予定されている小惑星「リュウグウ」探査機「はやぶさ2」の帰還などがあります。

環境問題

地球温暖化や環境汚染も、入試理科でおなじみのテーマです。中学受験では、地球温暖化が植物に及ぼす影響について考えさせる問題や、有害物質の生物濃縮に関する問題が出題されています。プラスチックごみ問題では、今年7月から実施された「レジ袋有料化」に関係した問題が出る可能性があります。

昆虫

人体に影響を及ぼす特定外来生物のヒアリとセアカゴケグモに関する話題がよく取り上げられます。入試ではこれらの名前や、アリを含めた昆虫やクモの体のつくりについて聞かれます。

ノーベル賞

受賞者の名前や受賞部門、研究テーマなどを答えさせます。2020年入試では、前年に、「リチウムイオン電池」の研究でノーベル化学賞を受賞した吉野彰氏に関する出題が多く見られました。受賞内容の他に、吉野氏が少年期に科学に興味を持つきっかけとなった書籍「ロウソクの科学」の内容を取り上げ、その内容に絡めて「燃焼」についての問題を出す学校もありました。

このほか2020年の大きな時事問題として、「新型コロナウイルス」があります。この問題について中学受験でどの程度扱われるのか現時点では不明です。ただ、ウイルスの画像を確認する、免疫について基礎的なことを理解する、よく話題になっているPCR検査の簡単なしくみなどを確認しておくことは必要です。

時事問題に関連する単元は必ず復習

時事問題対策として、大手塾などでは、さまざまな事象をまとめたテキストを使い、内容を確認する授業を行います。家庭ではそのテキストや市販の問題集で学習するケースが多いようです。テキストや問題集には、かなり細かいことまで書かれていて、それらをできるだけ暗記しなければ…と考える親子もいますが、その必要はありません。世間で話題になった大きな出来事について、どんな内容だったか概要を把握しておけば入試に対応できることがほとんどです。

むしろ大事なことは、テキストや問題集の内容を丸暗記するのではなく、世の中でどんなことが起こっているのか、ふだんから関心を持つことです。テレビの解説を聞きながら、親子で会話をしてみたり、ニュースで話題になった場所を地図で確認してみましょう。テレビニュース以外に新聞や、その問題に関する本を読んでみるなど、一つの事象を多角的に考える姿勢を身に付けておくと、中学受験はもちろん、中学以降の理科学習にも大いに役立ちます。

入試問題を作成する中学校側は、普段身の回りで起こっている事象について、理科的な視点で捉え、考えてほしいという思いがあります。入試では、時事問題は大問の「導入」に過ぎず、時事問題に関連する理科の単元について理解度を測る問題がほとんどというケースが少なくありません。たとえば、地震に関する問題の場合、地震が起こった場所や「緊急地震速報」などの語句を答えさせてから、地震計のグラフを示してP波とS波の波形を読み取り、震源までの距離を考える問題などが出題されます。気象の問題なら、台風発生のしくみ、台風の進行方向や風の向きについての理解、さらに降水量や風速のグラフを読み解く力が必要です。特に話題になった時事問題は、それに関連した理科の単元を復習しておきましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

小川眞士
小川眞士 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。