謎解き入試まで登場 新タイプ入試の動向は?|しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと
今回は最近注目されている中学受験の多様化に焦点を当て、首都圏の私立中学の入試動向と、今後予想される傾向について見ていきます。
多様化する私立中学入試
先日NHKラジオの取材を受けました。テーマは「多様化する中学入試」。中学入試では、これまでの2科目や4科目型に加え、新しい学力観をみる「新タイプ入試」を実施する学校が増加しています。
新タイプ入試とは、公立中高一貫校の適性検査のような思考力そのものを問う総合型問題を出す入試や、英語入試、算数1科目や国語1科目など得意科目を選んで受験する得意科目入試など、多種多様な入試の総称です。特色のある入試の例として、プログラミング入試、レゴを使って表現するものづくり思考力入試、好きな本についてプレゼンする読書プレゼン入試、グループディスカッションを経て未来のシナリオをプレゼンする入試、自分の得意なこと・頑張ってきたことをプレゼンする入試などがあります。
ここ数年、首都圏の私立中学では、こうした新タイプ入試を実施する学校が増えています。
新タイプ入試を実施する学校数・受験者数
たとえば「英語(選択)入試」。私立中学の英語入試の実施校は 2014年「15校」→2016年「64校」→2020年「141校」まで増加。2020年入試は志願者数が約2,200名となっています(※)。求められる難易度は学校によってさまざまですが、小学校での英語教科化の影響もあり、今後も増加するでしょう。
ほか、私立中学の「適性検査型(総合型・論述型・思考力型・自己アピール型)入試」も、2014年「38校」→2016年「86校」→2020年「149校」と増加しています。2019年、首都圏全体で私立中学の「適性検査型入試」の実受験者数は、10,352名(うち6,524名が合格)となっています(※)。
上記に加え、プログラミング入試やプレゼン入試を実施する学校も増えました。小学校でのプログラミング学習の導入や思考力・判断力・表現力を重視する新学習指導要領の施行を先取りした流れです。
来年(2021年)には、ナゾ解き入試なる試験を実施する学校も現れています。この入試の内容は大きく2つ。国語・算数・社会・理科の内容に即した全10問の謎を解く「謎検型」と、グループ形式で45分程度の謎解きをしながら課題を解決し窮地からの脱出を目指す「脱出ゲーム型」です。「謎検型」では考察力・発想力などを測り、「脱出ゲーム型」は、行動力・会話力・洞察力などを測るそうです。狙いは、既存の科目だけでは測ることが難しい力を評価したいということのようです。
好きなことを続けながら受験
こうした私学の新タイプ入試は、公立中高一貫校を受検する子どもの受け皿と捉える見方が中心でした。しかし、数年前から新タイプ入試で合格した生徒が、入学後に才能やリーダーシップを発揮し、ほかの生徒によい刺激・影響を与えるケースが現れています。
学校側としても、自分の好きなこと得意なことに熱心に取り組んできた子、自分の考えをきちんと人に伝えられる子、答えが一つではない課題に対して、多様な見方ができる子を積極的に迎え入れたいとった流れが生まれているのです。
また、一般入試の問題も思考力を問う問題が増えています。これは、知識の有無ではなく、思考力が重視される時代の流れとも一致します。
中学受験には、いまだに塾に長時間缶詰で勉強したり、習い事をやめたりしないと合格できない、といったイメージが少なからず残っています。しかし、こうした新タイプ入試の広がりとともに、今後は勉強だけでなく、好きなことに取り組みながら受験するという流れが広がるかもしれません。
大学入学共通テストのゴタゴタなど、大学入試改革が足踏みしているのに対して、中学入試の世界では、社会の変化を見通して、これから必要になる力を問う方向にシフトしているようです。
これまでの記事はこちら『しあわせな中学受験にするために知っておきたいこと』
※記事の内容は執筆時点のものです
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