大学入試改革で求められる本当の力|本物の力を育てる「合格する子どもの伸ばし方」
大学入試改革という言葉がひとり歩きしているようですが、重要なのは2020年度ではなく、2024年度です。
大きく変わるのは2024年度から
下の表をご覧ください。新学習指導要領による大学入試の開始は、2024年度です。
2020年度に大学入試改革が始まり、記述式問題も導入されます。
国語の試験では80字~120字程度の問題を含め、3問程度。数学も数式・問題解決の方法を問う問題が、3問ほど出される予定です。
記述式問題は、じつは国語と数学という一部教科に限られています。しかも、文部科学省が2017年に示した記述式のモデル問題例には採点基準があり、たとえば①②③④の4つの要素のうち、どの要素を満たしているかで得点が決まるのです。
このような採点基準があるということは、ある程度、型にはめて解くことができるということです。「指示を正確に守って、加点に必要な要素をひとつずつ入れていく」というスタンスで臨めばいいので、対策もはっきりします。
文部科学省としても、大学入試改革の初年度が失敗だったと言われるわけにはいきませんから、採点に悩むような問題は出されないでしょう。
ですから、2020年度の試験を必要以上に恐れる必要はないのです。
問題は2024年度です。この時期には、地理・歴史・公民の分野や理科の分野でも記述式を導入する方向で検討されています。さらに、コンピュータを利用して解答する形式も普及する可能性があります。そうなると、技術が進んで、現在より複雑な問題、長い記述問題が出題できるようになるかもしれません。2024年度ということは、2006年4月以降に生まれた子どもたちが対象です。
はっきり言えば、2024年度で、大きな変革が訪れると思っていいでしょう。
もうひとつ気になるのは、政府の方針で「首都圏の大学の定員抑制」が図られていることです。都市部の私立大学入試(とくに早慶、上智、GMARCH)は激戦。この傾向は今後も続くでしょう。
今後頻出するのは「資料の読み取り」「すべて選びなさい」問題
記述式問題ばかりが注目されていますが、勝負を分けるのはそれだけではありません。2017年11月の試行テストで、注目するべき問題のタイプが2つありました。
「資料の読み取り」と「すべて選びなさい」といった形式で出される問題です。
地理や歴史などで、複数の資料やグラフから必要な情報を読み取らせる問題が出されました。また、選択肢の中から正答をすべて選ばせる問題や、選択肢の中に正答がない場合、「0」をマークさせるといった新たな形式の問題も出されました。
この「すべて選びなさい」という形式の問題は、9科目で16問。しかも、このうち正答率が30%を超えたのは4問しかなく、10%未満も3問ありました。
実際の入試はもう少しやさしくなるでしょうが、差がつくのは間違いありません。
記述力や思考力ばかりが注目されていますが、じつは求められている能力はほかにもあるということです。そして、大学入試改革を先取りするかのような問題が、中学入試で多く出題され始めています。
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大学入試改革の影響で、今後とくに必要となる力は以下の5つです。
大学入試改革に向けて今からできる教科別の対策(国語、社会、理科、算数、英語)については、それぞれ以下のページよりご確認ください。
イラスト hashigo(silas consulting)
※記事の内容は執筆時点のものです
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