連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

6年生 秋以降に成績がダウン どうすればいい?|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2020年10月01日 石渡真由美

6年生は入試本番まであと4カ月。ところが、9月以降の模試で思うような点が取れず、成績がダウンしてしまう子は少なくありません。なぜ9月の模試の成績が急落してしまうのでしょう? 挽回する方法はあるのでしょうか?

秋以降はどの子も頑張るから成績が上がりにくくなる

6年生は9月~12月に月1回、志望校の合格可能性がどの程度かを測る合否判定模試を受けます。その結果を見て、志望校に挑戦するか、もう少しレベルを落とすかなど受験校を検討していきます。

今年は新型コロナウイルスの影響で、イレギュラーな夏休みとなりましたが、それでも受験生は毎日頑張って勉強してきたと思います。ところが、その成果を測る模試で点が取れず、苦しんでいる子がいます。頑張っているのになぜ成績が上がらないのでしょうか?

一番の理由は、周りの受験生みんなが頑張っているからです。夏期講習以降は受験生全体の意識が高まってくることで、全体的にレベルが上がり、その分頑張っても成績が上がりにくくなるのです。

模試で苦手を細かく分析し強化する

そんな時期だからこそ必要となるのが、得点を上げるための勉強です。模試の結果が戻ってくると、つい偏差値や合格可能性のパーセンテージに目がいきがちです。ですが、見るべきポイントはそこではありません。まずどの問題が理解できず、どの問題で不正解だったかに目を向け、苦手分野を強化しましょう。

たとえば理科が苦手な子だったら、どの分野のどういう単元の問題が苦手かまで細かく分析していきます。理科の「力学」の分野なら「てこ」なのか「滑車」なのか「ばね」なのか。さらに「てこ」の単元なら「太さが一様な“てこ”」なのか「太さが一様ではない”てこ”」なのか。このように具体的に細かくチェックします。

模試の分析を子どもだけに任せるのは難しいと思いますので、ぜひ親御さんが見てあげてください。仕事でデータ分析が得意なお父さんもいると思いますので、うまくのせて分析してもらいましょう。そうやって、お子さんの具体的な苦手の箇所を見つけていきます。そこを強化することが最優先です。

この時期も塾ではたくさんの宿題が出ますが、塾の宿題をこなすだけの勉強では成績アップにはつながりません。得意分野や理解できているものはひとまず置いておいて、ひとつでも苦手をなくすことに注力しましょう。

入試はある意味で、運もあります。自分の得意な分野が出れば点が取れるし、苦手分野ばかりが出てしまったら点は取れません。でも、本人の努力次第で、「苦手」を「得意」に変えることはできます。ですから、今はできるだけ「得意」を増やす努力をして欲しいのです。

生活リズムの乱れと、親のプレッシャーに要注意

そのためには、お子さんが気持ち良く勉強できる環境を整えることが大事です。やるべきことが多い中学受験の勉強。入試が近づくと、つい夜遅くまで勉強をさせてしまいがちです。しかし、成長の発達段階にいる小学生の子どもに無理をさせてはいけません。早寝・早起きを心掛け、生活リズムを崩さないようにしてください。現在では睡眠が学習の定着に重要であると、さまざまな脳科学の研究でも明らかになっています。徹夜で勉強を頑張るなんて、もはや時代遅れの学習法です。

コロナ禍ではありますが、秋に運動会などの学校行事を予定している学校もあると聞きます。練習で疲れているならば、無理をさせないようにしましょう。塾のない平日の一日を休養日にして、ゆっくり休ませてあげるといいと思います。お子さんの健康管理こそ、中学受験を成功に導く秘訣です。

この時期は身体の疲れだけでなく、精神的な疲れも出やすい時です。模試で思うような結果が出ず、その焦りから「こんな状態じゃ合格できないわよ!」と発破をかける親御さんがいますが、それは絶対にやめてください。マイナスな言葉は、お子さんの自信をなくすだけです。また、親御さんがため息をついたり、悲壮感が漂う表情をしてしまったりするのもよくありません。

親御さんが心配なのは十分理解できますが、ここは堂々と「あなたならなんとかなるわよ!」と明るく声かけをしてあげてください。この時期に大切なのは、親御さんのニコニコした笑顔です。その表情を見て、「もしかすると、なんとかなるかもしれない」「僕ならできる!」と前向きな気持ちになり、最後まで頑張ることができます。これからが、親も子も踏ん張りどきです。最後は笑顔で終われるよう頑張りましょう!


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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