連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

子どもの字が汚い……。その改善方法は?|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2020年10月26日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

受験生保護者のなかには、子どもの字が汚くて悩んでいる方がいます。字が汚いと入試でどんなデメリットがあるのか? 改善するための方法とは? 南雲先生にお聞きしました。

乱雑、薄い、小さい。採点者泣かせの字とは

「子どもの字が汚いのですが、どうしたらいいですか?」。時々、このような質問を保護者の方から受けます。なかには、「字が汚いと、答えが合っていても×にされてしまうのではないか」と、ひどく心配される方もいます。生徒の答案を採点していると、「シ」と「ツ」、「ウ」と「ク」、「ア」と「カ」などが判読できない字、ふにゃふにゃとつながった字、筆先が暴れたような乱雑で読みにくい字を見かけます。

とはいえ、判読不能でなければ、入試では答えがあっていれば合っていれば〇になるケースが多いと思います。しかし、字の汚さは漢字の書き取りにおいては大きなハンデになります。漢字については、「とめ・はね・はらいをきちんとチェックします」とメッセージを出している学校は少なくありません。

ほかにも読みにくい字として、特に女子に多いのが、薄い字や小さい字です。これらは採点しにくく、以前には「小さすぎる字は採点しない」と入試問題に但し書きをつけた学校もあったほどです。

改善のポイントは、良い字がどういうものかを示すこと

汚い字や読みにくい字を改善するための方法をいくつか紹介しましょう。まず、筆先が暴れる子は、鉛筆を机にたたきつけないように、「音を立てず書いてごらん」というアドバイスが有効です。

ふにゃふにゃとつながった字を書く子には、一画書くごとに紙から鉛筆を離すことを意識させてみましょう。漢字については、「とめ・はね・はらい」に気を付けるとともに、丸くならないようにすることも大事です。例えば、「都」の右側の「おおざと」を半円が二つ並んでいるように書く子がいますが、「尖ったところが三つできるように書いてみよう」と、ポイントを伝えます。

字が薄い場合は、筆圧がそれほど強くないのに、芯が薄い鉛筆やシャーペンを使っている可能性があるので、Bや2Bを使ってみましょう。余談ですが、きれいな字を書くために筆記具選びは大事です。シャーペン派の子は多いですが、太くて重みのあるものは子どもの手に合わず書きにくいので、細くて軽いものを選びたいところです。また、鉛筆のなかには、なめらかに滑り、とても書きやすいものがあります。筆記具を変えてみることも一考してみてください。

また、字は性格が出るといいますが、自信がないと小さくなることもあるようです。小さい字を書く子に私は、「自信がなさそうに見えるから、大きく書いた方が得だよ」とアドバイスしています。

これは全般的に言えることですが、字を直したい場合、「きれいに、丁寧に書きなさい」と言うだけでは、子どもはどうしたらいいかわかりません。大事なのは、どういう風に書けばよいかを具体的に教えることと、どういう字が良いのかを子どもに把握させることです。

普段汚い字を書いていた生徒が、たまたまバランスのとれた字を書けたとき、私は花丸をつけて、「この字はすごくいいね!」と褒めます。すると生徒は「こういうのがいい字なんだ」と初めて理解します。褒めることで、「次もきれいに書こう」という意欲も湧くので、上手に書けたときはぜひ褒めてあげてください。

相手が読みやすい字を書く

子どもの字を直したい場合、受験勉強をスタートする4年時に取り組んでも、もちろんよいのですが、私は、手先があまり器用でない生徒や問題を解くだけで精一杯という生徒には、あまりうるさく言わないようにしています。

なぜなら、勉強そのもののやる気がなくなってしまうことがあるからです。字がなおるかどうかは本人の意識次第です。私は、子ども自身に危機感があれば、2週間程度で改善できると考えています。しかし4年生ぐらいでは、面倒くさいという気持ちが勝ってなかなか直そうとしないかもしれません。

その場合は、せめて漢字の書き取りだけはきれいに書くことを意識させましょう。6年生になり入試が近づくと、字が汚いことがデメリットだと実感する子も多いので、そのタイミングで集中的にアドバイスするのもひとつの方法です。アドバイスする際は、あまり神経質にならず、上手でなくても読める字を書くことを念頭に置いてください。

私は生徒たちによく、「自分の憧れの学校の先生に、いかに自分がよい生徒であるかというのを伝える唯一の手段が答案用紙だよ。だから、『私はこんなに読みやすい字を書く、まじめで一生懸命な子です』ということを伝えよう」と言っています。字は誰かに読んでもらうためのものです。「相手が読みやすい字を書く」という意識を持たせることが最も大事です。


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※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。