中学受験ノウハウ 入試の傾向

【コロナ禍の中学受験】家庭で確認しておきたいポイントと心構え

専門家・プロ
2020年10月29日 吉崎 正明

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新型コロナウイルスの影響で、不安な気持ちを抱いたまま中学受験を目指している家庭は少なくありません。親御さんとしても気持ちが揺らぎやすい毎日かと思いますが、受験生の心もそれ以上に大きく揺らいでいるものです。子供を支える立場として、こうしたときこそ改めて意識したい心構えと、家庭で確認しておきたいポイントについてお伝えします。

意識したい心構え

Withコロナの中学受験は、先行きが見通せません。不安に感じる方も多いと思いますが、このような状況だからこそ、特に以下の3つの心構えを強く持ってほしいと思います。

・ライバルは減っても楽にはならない
・家庭内の方針をしっかりと持つ
・覚悟を決めつつ、楽しみながら勉強する

ライバルは減っても楽にはならない

コロナ禍で気軽に挑戦できなくなることもあり、同じ志望校を目指すライバルは減るかもしれません。一方で、“覚悟を決めた子”たちの戦いになるという見方もでき、受験が楽になるとは限りません。そのため油断せず、これまでと変わらない着実な勉強が必要です。

家庭内の方針をしっかりと持つ

「なぜ中学受験をするのか」といった方針も、改めて家庭内で確認しておきましょう。先行きが見えないときこそ、受験の軸をぶらしてはいけません。中学受験では、合格という結果だけでなく、努力することの大切さや難しさ、粘り強さなど、さまざまなものが得られます。子供の成長にも目を向け、勉強をがんばる意味を子供に伝えてあげてください。

覚悟を決めつつ、楽しみながら勉強する

コロナ禍の受験では、覚悟を決めつつも、楽しみながら勉強することも大切です。生活や勉強のリズムがつかめず、子供たちは例年以上にストレスを溜めています。親御さんは、子供を追い込みすぎないように注意しつつ、コロナ疲れのケアにも目を配ってあげてください。

たとえば、小さな取り組みをほめてあげるのもそのひとつ。成績やテストの結果に目が行きがちですが、「漢字のミスが減った」「計算問題の正解数が増えた」といった小さな成長をほめてあげましょう。自分のがんばりが認められることは、勉強がうまく進まずストレスが溜まりやすい今のような状況では、特に子供の心に落ち着きを与えます。

共感の姿勢を示し、子供と一緒に考えてあげることも大切です。たとえば一週間の計画がうまく回らないときは、「こうしてみようか?」など、解決策を一緒になって考えてみてください。頭ごなしの言い方をすると、子供の疲れを増幅させるだけです。不安な状況だからこそ、寄り添う姿勢をこれまで以上に忘れないようにしたいですね。

塾や家庭教師との連携も欠かせない

中学受験を成功させるうえで、塾や家庭教師との連携も欠かせません。改めて、以下のふたつを確認しておきましょう。

・ちょっとしたことでも相談できるか
・授業スタイルが子供に合っているか

ちょっとしたことでも相談できるか

ちょっとしたことでも担当の先生に相談できるか。これはとても重要なポイントです。信頼でき、安心感を持てる先生の存在は、コロナ禍で不安な気持ちを抱える親子にとって大きな支えとなります。授業のカリキュラムや、休校になった場合のフォロー、新型コロナウイルス感染者が出た場合の対応など、不安なことも問い合わせてみてください。不安が解消されない場合には、転塾も視野に入れる必要があるかもしれません。

授業スタイルが子供に合っているか

塾や家庭教師の授業スタイルが子供に合っているかも見直しておきましょう。緊急事態宣言をひとつの境として、従来通りの対面授業だけでなく、Zoomなどを用いたオンライン授業、対面授業とオンライン授業のハイブリッド指導、映像配信など、指導スタイルに大きな変化が出ています。「子供に合った授業スタイルを選択しやすくなった」という声もある一方で、「オンライン授業では子供が集中できない」といった声も聞かれます。授業の相性は、学習の成果に影響を与える大切なものです。どういった形式の授業なら子供が前向きに勉強できそうか、成績を伸ばせそうか、といった点をいま一度確認しておきましょう。

学校選びも、着実に

今年は、オンラインを活用した学校説明会も増えています。学校に足を運ぶからこそのメリットもありますが、一方でオンラインであればどこからでも視聴可能で、一日に複数の学校の説明会を聞けるというメリットも。学校間を移動することなく、スマホで簡単に視聴できます。

オンライン説明参加のポイント

オンライン説明会では、特に次のような情報を手に入れましょう。

・学校の教育方針
・進路指導などの具体的な取り組み
・授業料などの諸費用

学校の教育方針や進路実績を聞く際は、「具体的にどのような取り組みが功を奏し、どのような成果を挙げているのか」という点を意識して聞くと、学校のカラーが理解しやすいです。授業料などの情報も忘れずに確認したいですね。

オンライン説明会に参加する際は、予約の有無、リアルタイムでの参加限定か、あとから視聴できる場合には視聴可能な期間はどれくらいか、といった点も確認しておいてください。部活紹介や学校紹介を動画で公開している学校も多いので、学校ホームページも確認しておくと良いでしょう。

可能であれば、オンライン説明会を受けるなかで気になった学校をピックアップし、見学にも行きたいですね。感染対策に気を付けつつではありますが、見学できた場合には以下のポイントに注目してみてください。

・学校や在校生の雰囲気
・敷地や施設、周辺環境

こうした情報は、自分の目で見てみないとわからない情報です。少しずつではありますが、学校説明会を再開する学校も増えています。先生に直接質問できる良い機会でもあるので、うまく活用したいですね。

「受験の目的」を確認しよう

コロナ禍の落ち着かない毎日を過ごし、大きなストレスと不安を抱えている子は少なくありません。こうした状況だからこそ、いま一度「中学受験の目的」を家庭内で確認してみてください。「なぜ受験をするのか」といった点を親子で確認できれば、それは子供にとってもう一度勉強をがんばるきっかけにもなります。小さな成長をほめる、説明会を利用して学校を探すなど、いまできることも着実におこないつつ、入試に向けて歩みを進めていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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