連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

いま、注目したい中堅校【1】―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年11月05日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

みなさんは中高一貫校を選ぶときに、何を基準としますか。偏差値や進学実績を気にする親御さんも多いかもしれませんが、そもそも中高一貫校で過ごす6年間は、思春期に人として大きく成長する大切な期間です。入り口や出口だけでなく、6年間を過ごす「環境」にもしっかりと目を向けましょう。

今回は、私が注目している中堅校、「淑徳巣鴨」「獨協」について紹介します。雰囲気や教育方針など、学校の“中身”についてお伝えしますので、学校選びの参考にしてみてください。

淑徳巣鴨 ―― 生徒を褒める「気づきの教育」

淑徳巣鴨中学高等学校(以下、淑徳巣鴨)は、私の塾(進学個別桜学舎)でも多くの生徒が受験をする中学校です。

淑徳巣鴨の学校見学に行き、多くの子が口を揃えて言うのが「先生たちがすごく明るくて接しやすかった」「先輩たちもノビノビしていて、気軽に声を掛けてくれてうれしかった」ということ。事実、淑徳巣鴨には学校全体にポジティブな空気が流れています。というのも、先生たちがとにかく生徒をたくさん褒め、生徒に頻繁に声を掛けるのです。

褒められることのメリットは、今まで気づかなかった自分の良い面を知って自信が深まったり、「自分にも居場所がある」と安心できたりすること。淑徳巣鴨の根底を流れる「気づきの教育」が先生たちの間でしっかり共有されているからこそ、生徒の可能性が花開くこうしたケアができるのでしょう。結果として自己肯定感の高い生徒が育ち、学校全体がイキイキとした活気に満ち溢れているのです。

自己肯定感を育む制度

淑徳巣鴨ならではの取り組みのひとつに、「スターオブシュクス」という制度があります。これは「掃除を丁寧にしている」といったことをはじめ、数字からは見えてこないような生徒の行動を称える制度。「褒められて気づく」「気づいて伸びる」という「気づきの連鎖」を起こしていくことが目的なのだそうです。こうした取り組みも、生徒の自己肯定感を育むうえで大きな役割を果たしています。

ちなみに、私の塾から淑徳巣鴨に進学した子の話ですが、その子は中学受験の頃は勉強を“やらされている”タイプ。ところが入学してからは、自ら勉強に取り組むようになり、成績でも学年上位になったといいます。

淑徳巣鴨の「気づきの教育」は、ポジティブに、そして主体的に行動するきっかけも生徒に与えます。そして自分に自信を持てない子であっても、自分の可能性に気づき、自信を持って過ごせる6年間が待っています。先生のケアが手厚い学校なので、親御さんにとってもわが子を預ける安心感を持てる学校といえるでしょう。

淑徳巣鴨中学高等学校
https://www.shukusu.ed.jp/

獨協 ―― 古き良き「男子校文化」が残る伝統校

獨協中学校・高等学校(以下、獨協)は、「古き良き男子校文化」が残る伝統校です。

世の中的に「男子校」は何かとネガティブに捉えられがちですが、女子の目を気にせずにノビノビと過ごせるのは男子校ならではの大きなメリットです。たとえば、獨協に興味を持つ男の子を惹きつける「ビオトープ」。ビオトープとは、動植物が共存する小川や沼などの自然環境のことで、獨協では環境教育の一環として、教職員と生徒たちが校内のビオトープの手入れをしています。長年手をかけ、じっくりと育てられた立派なビオトープとともに過ごす6年間は、生き物が好きな子にとっては願ってもない環境。私の塾でも、ビオトープに惹かれて獨協に入学した子がいますが、入学後、生き物への関心がますます高まっていった彼は、北海道の酪農学園大学への進学を決めました。

「昆虫が好き」といったことは、特に女の子の前ではなかなか胸を張って言えないのが、思春期の男の子というもの。しかし男子校は、いい意味でお互いを干渉し合わない環境です。スポーツを頑張る子もいれば、昆虫や水生生物を追いかける子もいる。好きなことを、誰の目も気にすることなく好きと言える。こうした環境が、キラキラとした眼差しがまぶしい獨協生を形づくっているのです。

大人になっても消えない愛校心

男子校で6年間を過ごすと、母校への愛校心が高まるのはよく知られた話ですが、それは獨協も例外ではありません。むしろ、獨協卒業生の愛校心の高さには驚かされることもあります。たとえば、私のかかりつけのドクターも獨協OBで、獨協同窓会の副会長も務められている方。私が塾講師であることからも、診察中は獨協の話で大いに盛り上がります。卒業後、かなりの年月が経った今も、獨協の卒業生同士で仕事をしたり、同窓会も定期的に開催されていたりするようです。

大人になっても消えない愛校心が、今もなお卒業生同士を結びつけている――。獨協で過ごす日々が、刺激的で、濃いものであるからこそ、こうした強いつながりが生まれるのでしょう。

獨協中学校・高等学校では、2021年入試の一部日程で2科目入試を予定しています。多くの受験生が挑戦しやすくなるため、獨協の人気が今後ますます高まっていくことも予想されます

獨協中学校・高等学校
https://www.dokkyo.ed.jp/

楽しい中学生活を送るために

「雰囲気がよかった!」
「ビオトープがすごかった!」

今回紹介した二校に進学した私の塾の子たちは、それぞれの学校を深く知るなかで良い印象を持ち、「行きたい学校」になっていきました。子どもが楽しい中学校生活を過ごすためには、志望校選びの段階で、学校について詳しく知っていく作業が不可欠です。親子で納得できる学校が見つかるように、粘り強く学校探しを続けていきましょう。

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主催:進学個別桜学舎


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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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