連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

いま、注目したい中堅校【2】―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年11月05日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

みなさんは中高一貫校を選ぶときに、何を基準としますか。偏差値や進学実績を気にする親御さんも多いかもしれませんが、そもそも中高一貫校で過ごす6年間は、思春期に人として大きく成長する大切な期間です。入り口や出口だけでなく、6年間を過ごす「環境」にもしっかりと目を向けましょう。

今回は、私が注目している中堅校、「富士見丘」「女子聖学院」について紹介します。雰囲気や教育方針など、学校の“中身”についてお伝えしますので、学校選びの参考にしてみてください。

富士見丘 ―― 高いレベルの英語教育を実践

富士見丘中学高等学校(以下、富士見丘)は、英語教育に定評がある女子校です。「読む・書く・聞く・話す」の4技能を6年間で徹底的に身につけさせる一方で、英語が苦手な生徒も決して置いていかないのが富士見丘の授業の特徴。結果は数値にも現れていて、2018年時点で中3生の約75%が英検準2級、約50%が2級に合格しています。

もちろん、こうした実績を残すには先生のサポートも欠かせません。さぞかし大変な苦労をしているかと思いきや、富士見丘の先生たちの表情はむしろイキイキとしたもの。素直に、そして真剣に授業を受け、期待に応え続けてくれる生徒たちにパワーをもらっているのでしょう。たとえば数ある取り組みのなかで私が驚いたのが、中1~高2の生徒全員に英作文を書かせる時間が用意されていること。中2までは日記、中3以降はエッセイを書きますが、以下のように、英語の先生たちも総出で取り組んでいます。

1)隔週月曜日に、全生徒が英作文を提出
2)ネイティブ教員が、間違った英文の言い回しや単語に赤入れ
3)日本人の英語教員が、「ここにこういう言葉を入れたら、もっと伝わりやすくなるよ」といった文章チェック
4)その週の木曜日に、添削済みの英作文を全生徒に返却
5)生徒は添削をもとに書き直し、翌週の月曜日までに再提出

さらに中学2年~高校2年には、海外のネイティブスピーカーとマンツーマンで25分間会話をする「オンラインスピーキング」の授業や、富士見丘に7人いるネイティブ教員と話す「放課後個別英会話教室」も用意されています。このように、富士見丘の英語教育はまさに“ホンモノ”。これほどまで手厚いサポートをおこなう学校はほかに知りません。学校として力を入れている、といった面ももちろんありますが、生徒も、先生も、成長を楽しみつつ授業に取り組む雰囲気こそが、高いレベルの英語教育を実現させているのでしょう。

意思を否定しない

小学生の頃は自分に自信を持てなかった子が、富士見丘に入ってイキイキと過ごせるようになった、という例も珍しくありません。将来の夢があるのに「自分にできるかな……」と不安に思ってしまう子、英語が好きだし海外にも行ってみたいけど「学力がないから無理だよね……」と諦めてしまっている子。こうした子であっても、「どんな生徒も置いていかない」という富士見丘のバックアップを受け、“自信の芽”を芽生えさせていくことが多いのです。

富士見丘は、海外の大学への合格実績の高さも顕著です。2018年から2020年の3年間で、ロンドン大学をはじめとする海外大学に18人が合格、13名が進学しています。そして海外志向が強い子はもちろん、「グローバル・アスリートコース」を設置するなど、スポーツなどの分野で海外遠征を夢見る子が活躍できるフィールドも整っています。

そして、富士見丘で頻繁に交わされる「WILL」という言葉。英語を学んで海外に行ってみたい、スポーツで高みを目指したい――。こうした「WILL(意思)」を否定せず、生徒一人ひとりを見つめ、とことん支えていく土壌が富士見丘には築かれています。6年間でひと回りも、ふた回りも成長したい。こうした思いを持つ親子にとって、富士見丘で過ごす日々は何にも代えがたい日々になることでしょう。

富士見丘中学高等学校
https://www.fujimigaoka.ac.jp/

女子聖学院 ―― 自主性を重んじるミッションスクール

女子聖学院中学校高等学校(以下、女子聖学院)は、ミッション系の女子校です。聖書の授業や試験があり、毎朝の礼拝もおこなわれています。クリスチャンではない生徒であっても、礼拝堂で聖書を読み、牧師の話を聞き、賛美歌を歌えるというのは、なかなか味わえない経験。キリスト教を知ることは、世界の成り立ちを学ぶきっかけにもなります。私もミッション系の学校を卒業していますが、聖書を読んだり礼拝をおこなったりした時間は、まさに青春の一ページだったと思いますね。

ちなみに、ミッション系の学校という点のほかに、女子聖学院を志望する女の子の心を捉えるものはまだまだあります。そのひとつが、制服のかわいらしさ。学年ごとによって色が違う、少し長めのリボンに憧れるようですね。自主的に学習しやすい環境が整っている点も、女子聖学院が人気を集める理由です。自習室(JSGラーニングセンター)には、勉強を教えてくれるチューターが常駐。部活を終えた子をはじめ、多くの子がその日の復習や宿題、試験勉強に励んでいます。

自主性を重んじる校風

私の塾(進学個別桜学舎)で女子聖学院に行った子の話ですが、彼女は勉強よりも運動が大好きな子でした。女子聖学院に入ってからも大好きなバレーボールに打ち込んでいましたが、驚いたのは勉強の手も抜かず、成績もどんどん伸ばしていったこと。部活と勉学の両立をうまく果たし、東邦大学の看護学部に合格しました。

このような両立を実現できたのは、自主性を重んじる女子聖学院の環境があったからこそ。先生たちは、「アドバイスはする。でも、まずは自分たちで考えてみなさい」といったスタンスで生徒と接しています。たとえば部活動でも上級生が下級生の面倒を見ながら部をまとめており、顧問の先生はそれを見守ることが多いそうです。もちろん、生徒同士の衝突やトラブルも起こるでしょう。しかし、それは先生たちにとって想定内。トラブルが起きた理由を聞き、解決のヒントは示しますが、それ以降は生徒たちの自主性を信じ、任せています。

■自分から学び、自分で思索し、自分を生かして仕事と人生に取り組める人
■どんな人とも、どんな状況にも、心を開いて向き合い、共に何かを造り出して行ける人

こうした“豊かな人間性”を育むことを教育理念としている、女子聖学院。自分で考え、行動に移す姿が日常的にみられる校内は、活気に満ち溢れ、生徒たちがイキイキと勉強や部活に打ち込んでいます。私の塾から進学した子の様子を先生たちからお聞きする機会もありますが、どの子も学校生活をノビノビと楽しんでいるようです。女子聖学院は、子どもにとっては自主性を育む成長の場として、親御さんとしては安心して子どもを任せられる学校といえるでしょう。

女子聖学院中学校高等学校
https://www.joshiseigakuin.ed.jp/

女子校で、一生の友人と出会う

今回紹介した富士見丘と女子聖学院は、生徒の面倒見の良さに定評がある女子校です。女子校の魅力は、一生の友人ができやすいこと。多くの女子校に共通することですが、繊細な年ごろから、女の子特有のピリピリとした雰囲気を感じることもあります。しかし、それ以上に“味方”もできやすい環境といえるのです。男の子の目がないぶん、大好きな友達のためなら、といった行動を堂々と取れるからですね。結果として、一生の友達と呼べるような出会いも多いのです。共学に志望校を絞っている家庭も、女子校を見てみることで、子どもにぴったりの学校に出会えることもあるでしょう。

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主催:進学個別桜学舎


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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。

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