連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

いま、注目したい中堅校【3】―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2020年11月18日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

みなさんは中高一貫校を選ぶときに、何を基準としますか。偏差値や進学実績を気にする親御さんも多いかもしれませんが、そもそも中高一貫校で過ごす6年間は、思春期に人として大きく成長する大切な期間です。入り口や出口だけでなく、6年間を過ごす「環境」にもしっかりと目を向けましょう。

今回は、私が注目している中堅校、「光英VERITAS」「青稜」について紹介します。雰囲気や教育方針など、学校の”中身”についてお伝えしますので、学校選びの参考にしてみてください。

光英VERITAS ―― 2021年4月から「共学」に

千葉県松戸市の女子校・聖徳大学附属女子が「光英VERITAS(ヴェリタス)中学校・高等学校」に校名を改め、2021年4月から共学となります(以下、光英VERITAS)。校舎は、北総線の秋山駅・北国分駅から徒歩10分の場所に変わらず位置します。

まず、なんといっても名前のインパクトが目を引きますよね。漢字とアルファベット、さらに校名も長く目立つからか、私の塾(進学個別桜学舎)でも興味を示す親子が少なくありません。かつては音楽科があったこともあり、吹奏楽部は今でも活動が盛ん。校名が変わっても、吹奏楽部に入りたくて受験を考える子は変わらず多いことでしょう。学校の敷地も広く、ノビノビとした環境で6年間を過ごせるのもメリットです。

他人を思いやるリーダーを育てる

教育システムとして私が注目しているのは、光英VERITASならではの「リーダー教育」です。川並校長が掲げるリーダー像は、上から人を動かしていく存在ではなく、人よりも一歩先に進み、周囲に手を差し伸べられるような存在。光英VERITASのリーダー教育でベースとなっているのは、「小笠原流礼法」の授業です。正しい姿勢の取り方や手紙の書き方、着付け、お茶の入れ方などを週1時間学び、相手を思いやる心や所作を6年間かけてじっくりと養います。このほかにもリーダー教育の一環として、国際交流や探究学習を実施。「人・社会・自然を思いやるリーダーを育成していきたい」という熱い想いが随所から感じられるカリキュラムとなっています。

男の子は「異文化」で過ごすことに

光英VERITASは女子校から共学に変わるため、ここ数年は女子生徒が相対的に多い環境となります。男の子にとってはどぎまぎする毎日が待っているかもしれませんが、一方で異性との関わり方について多くの学びが得られる、というメリットも。たとえば、意見を押し付けず物腰柔らかく周囲と接する大切さ、「男女でどうやって折り合いをつけていくか」といったことを考える機会も増えるでしょう。

もちろん男性には男性の、女性には女性の考え方がありますから、意見が食い違うこともあるはずです。しかし、ある意味“異文化”のなかで育った子は、相手が誰であってもフラットな姿勢で接することを覚え、誰にも優しい人間に育っていくもの。まさに、他人の目を持った“強いリーダー”として育っていくことが期待できるのですね。

光英VERITAS中学校
https://koei-veritas.jp/

青稜 ―― 変化を続ける「私立のエース校」

青稜中学校・高等学校(以下、青稜)は、品川区・下神明駅近くの共学校です。私の塾から進学した子に聞くと、学校はとても雰囲気が良いとのこと。授業はハイレベルなようですが、勉強のサポートも手厚く、部活としっかり両立できている子も多いようです。

勉強のサポートという点では、「質問の日」と呼ばれる日が青稜には用意されています。質問の日とは、学年担当の先生でなくとも、どの先生に質問に行ってもOKというシステム。基本的には、定期試験前の火曜日に設定されているようです。ただ、質問の日を設けたことで、今では授業の前後や休み時間、放課後などにも先生に質問に行く生徒が増えたとか。結局は毎日が“質問の日”になっていったので今では有名無実化しているそうです。

わからないことをそのままにせず、多くの生徒が自ら質問に行っていること、そして生徒の疑問に親身に答え、気軽に質問できる先生が多いことを考えると、学校全体の前向きな学習姿勢もうかがえます。授業の内容は簡単でなくとも、青稜生がイキイキと学習できているのは、生徒と先生の距離が近い、学校全体の雰囲気の良さもあってのことでしょう。

自己管理手帳

青稜生には、「自己管理手帳」と呼ばれる手帳も渡されます。週単位・月単位のスケジュールを書き込む手帳で、生徒は手帳に学習計画を記入し、こまめに見返すことで学習計画の進み具合を把握できます。先生によると、手帳の記入は強制ではなく、生徒の自主性に任せているとのこと。6年間使う子もいれば、自分なりの学習管理方法を編み出して勉強する子も多いようです。

そもそも自己管理手帳は、タスク管理を意識させるためのきっかけのひとつ。先生たちも「先を見据えて行動する大切さをわかってほしい」との思いを込め、生徒一人ひとりに自己管理手帳を手渡しているようですね。

変化を受け入れ、理解に努める

青稜には、変化をポジティブに捉え、「自分の知らないもの」であってもまずは理解しようと努める風土があります。たとえば、ボウリング部や鉄道自動車部、競技かるた部など、運動系・文化系問わずさまざまな部活があるのも特徴のひとつ。もちろん、自分の趣味に共感してくれる仲間が多い環境は、学校生活をのびのび送るための大切な要素です。一方で「自分には知らない世界がある」といった気づきを得られる機会が多いともいえ、たとえニッチな部活であっても、そこに熱中する要素があれば本人が大きく変わるきっかけにもなります。

幅広い部活をはじめ、多くの生徒がお互いを認め合いつつ過ごせているのは、「変化(Change)を求め、楽しもうとするスタンス」を指導方針と掲げ、教育として実践している賜物ともいえるでしょう。

多様な価値観に触れる

女子校から共学化へと舵を切った光英VERITAS。そして82年間、常に変化を追い求めてきた青稜。それぞれの特色をもとに新しい挑戦を厭わないその環境には、変化を前向きに捉え、多様な価値観を持った先生や生徒が集まります。そして「人と違っていてもいい」「ありのままの自分でいいんだ」といった自己肯定感を高められるのも、こうした学校で6年間を過ごす大きなメリットです。進学実績や偏差値だけではなく、わが子の成長につながる学校、という視点でも受験校を探してみてくださいね。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。