連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

これはやる! これはやらない! 入試直前の国語学習の心得|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2020年12月24日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

2021年の入試が間近に迫ってきました。これから受験生はどんなことに目を向けて国語学習をすればよいか? 保護者の方が気を配ることは? これまでたくさんの受験生を入試に送り出してきた南雲先生がアドバイスします。

学習の点検と、子どもに自信をつけさせる

年の瀬を迎え、最後の追い込みとして冬期講習に臨む受験生は多いと思います。しかし例年、塾の講習で時間が取られたり宿題に追われたりして、本当に自分に必要な学習が追いつかない受験生がいます。漢字が覚えきれていない、慣用句に不安がある、文学作品の知識が不足しているなど、課題は一人一人違いますが、積み残していることがたくさんあるのなら、思い切って冬期講習より、自分の課題の克服に時間を当てることも必要です。

受験生によっては、過去問演習が順調に進んでいないこともあります。過去問演習は12月中に一通り終わらせておくのが望ましく、遅くとも入試の2週間前頃までに初見の問題は解いておきたいところです。ところが、保護者のなかには「一度解くと子どもが答えを覚えてしまうから……」などと考え、過去問を取っておく方がいます。特に志望校の直近の年の過去問は、すべての学習を終えてから解かせようとギリギリまで残しておく方がいるようです。しかし、入試直前に解いて点数が悪いと、子どもが自信を失い、不安に苛まれることになりかねません。そういったケースも考えると、入試までにある程度立て直しのための期間を見越しておく必要があります。

読解問題はこの時期になると問題演習をやっても、以前より正解できなくなる受験生が見られます。その理由のひとつとして、たくさんの問題をこなすだけの学習になってしまい、解き方が雑になっていることがあります。そうした場合は、量をこなすやり方を一時停止して、ひとつの問題にじっくり取り組んでみましょう。特に本文をていねいに読むことが大事です。たとえば親子で本文を一緒に読み、内容をきちんと理解させたうえで問題を解かせます。本文を精読することの大切さを再認識させる。「ちゃんと読めば得点できる」という自信を子どもに持たせる。そうすると、前述した雑な解き方が解消されることがあります。

年が明けて入試までは、これまで学習したことの点検に時間を割きましょう。すでに解いた過去問を振り返って解き方を再確認したり、先生の添削を読み返して気を付ける箇所や、自分がよくミスをする箇所を把握します。保護者のなかには、漢字や語句の知識が足りないからといって、この時期に新たな問題集を与える方もいますが、そうではなく、これまで授業で習ったことがいろいろ書き込まれたテキストを見直していく方がベターです。

1月上旬から埼玉、千葉と入試が始まりますが、1月入試を肩慣らしとして受験する場合(2月受験が本命の場合)は、その振り返りをするのもポイントです。1月の受験校の入試問題が持ち帰れるのなら、合否に関係なく行いましょう。この振り返りにたくさんの時間をかける必要はありませんが、問題を見直してわからないところがあれば塾の先生に確認する、語句問題で自信がなかった箇所は正解を確認するなど、2月入試に向けて点検することが大事です。

親の不安を子どもにぶつけない

保護者の方は、入試が迫ってくると、「合格できるだろうか?」と不安になることがあるでしょう。直前まで「志望校を変えた方がよいかも……」と悩まれる方もたくさんいます。ですが、親の不安な気持ちが子どもに伝わらないように努めていただきたいのです。

入試直前に「もっとこうしなさい、ああしなさい」と学習のことを言い過ぎたり、「あなたはいつも靴下を脱ぎっぱなしだから、成績もいまいちなのよ」など、勉強とは関係のないことと絡めてダメ出しをしたり……。ダメだダメだとマイナスの言葉をかけると、子どもの心は沈んでしまいます。

一方で子どもの方は、不安になる親とは対照的に淡々としていることも珍しくありません。その姿を見て「緊張感が足りない」と言いたくなる方もいらっしゃるようです。ですが実際に試験を受けるお子さんが、これから試験までビクビクしていることの方が心配です。子どもはもうすぐ入試があることを理解していますし、一見のんびりしているように見えても、実際はいろいろと考えています。ぜひお子さんを信頼してあげてください。

これから入試が終わるまでは、受験生の親同士の関わりにも気を配りたいところです。保護者同士ネットワークで良い関係を築いている方も、もちろんいらっしゃると思います。しかし、これから入試までは特に注意です。仲が良いほど、ほかの家庭の合否が気になるもの。親同士で「これからちょっと微妙な時期になるので、受験の話は控えるようにしましょう」などと約束事を決めておくことも大事です。子ども同士でも入試が終わるまでは合否について話さない、相手に聞かないことは約束させた方がよいと思います。

もうひとつ、子どもが不合格だったときに、親が泣かないことも大事です。親子で何年も受験勉強を頑張ってきたので気持ちは非常によくわかります。しかし、子どもは親の涙を見ると、「親を悲しませてしまった……」と心を痛めてしまいます。仕方がないと割り切り、子どもの頑張りをねぎらい、励まして、次に向けてどうするかを考えるのが親の役目です。もしも気持ちが整理できないなら、塾の先生に話を聞いてもらうと、少し気持ちが落ち着くと思います。

最後に、今年はコロナ禍の影響により、例年とは異なる学習環境で大変なことがいろいろとあったと思います。しかし条件はみんな同じです。お子さんがコツコツと勉強してきたことを信じて試験に臨んでほしいと思います。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。

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