
小学校の理科実験で親がフォローできること|なるほどなっとく 中学受験理科
理科の入試問題では、さまざまな実験がテーマとして扱われます。問題を解くために大切にしたいのが学校での実験授業。家庭でどんなフォローができるのかポイントをお伝えします。
器具の正しい使い方を理解し、条件整理をする
近年の理科入試では、仮説を立てて実験を行い、結果を検証する一連のプロセスを示した文章や実験データを読み取り、設問に答える問題が増えています。このような問題を解くために大事にしてほしいのが、子どもが自ら実験を行う「経験」です。
実験とは、ある事象について「こうかもしれない」と立てた仮説に対する「確認作業」と捉えることができます。たとえば、植物が発芽するために何が必要なのか仮説を立てて、水や肥料、光、空気の有無、温度など、さまざまな条件を変えて実験を行い、その結果から普遍的な結論を導き出します。
小学校ではいろいろな実験を行いますが、どの実験でも実験器具の名前と正しい使い方を確実に身につけることが基本です。顕微鏡、ガスバーナー、アルコールランプなど、実験器具の使い方は入試問題で聞かれることもあります。アルコールランプひとつとっても、ただ火をつけたり消したりすればいいわけではありません。まずアルコールが容器の八分目ぐらいまで入っているかを確認します。次に蓋を開け、マッチに火をつけ、芯の横の方から火をつけます。火を消すときは蓋をかぶせ、火が消えたらふたを取り、再度ふたをします。このように、それぞれの実験器具には正しい使い方がありますから、学校で実験を行うときもぜひ意識してください。
入試において、実験に関する問題を解く場合には、条件整理をきちんとできることが必須です。条件整理とは、何を比較しているのかを理解することです。前述した植物の発芽の条件を調べる実験では、インゲンマメの種に水を与えたときと与えないとき、光の当たるところと暗室に置いたとき、常温に置いたときと冷蔵庫に置いたとき…など、いろいろな条件を組み合わせた問題が出ることがあります。そのときに、どの条件を固定して、何と何を比較しているのかを把握することが問題を解くための入り口になります。
ところが学校の実験では、限られた時間で大勢の児童たちが取り組むことになりますから、実験では顕微鏡などの器具はあらかじめセットされたもので行うことがあるかもしれません。また、実験の条件をきちんとつかまず、結果だけを見て「楽しかった」という感想で終わってしまう懸念もあります。それでは得るものは少ないでしょう。そうならないためには、家庭での振り返りが大事になります。
「今日、どんな実験したの?」という問いかけ
学校で実験を行ったら、実験の目的と過程、実験を通してわかったことを、家庭で改めて振り返ってみましょう。一つひとつの実験の内容について自分なりに考える習慣をつけることが理科力の向上につながります。とはいえ、逐一ノートにきちんとまとめるような復習はめんどくさいと思ってしまう子もいるかもしれません。
その場合は、子どもが学校で実験をしてきたら、親は「どんなことをしたの?」「何がわかったの?」とぜひ聞いてあげてください。親との会話が、子どもにとって実験の振り返りになります。話を深めるためには、普段から親が理科の教科書を見て、子どもがどんなことを学んでいるのかを知っておくことも大事です。小学校の理科の教科書に書かれていることはそれほど難しくありませんし、最近の教科書はカラーで写真も多く、大人が読んでも面白いので、ぜひ一読していただきたいと思います。
そして話をするなかで、子どもが特に興味を持った実験があれば、それについて親子で理解を深めてみましょう。たとえば、水溶液の性質を調べる赤キャベツ液の実験は家でもできるので一緒にトライしてみてもいいですし、実験に関連することをメディアで調べたり、科学館に足を運ぶこともおすすめです。
理科を得意な教科をするためには、さまざまな単元のなかからまずは一つ、子どもが強く興味を持った単元を深めていくことが大事です。一つの実験が興味を持つきっかけになることがありますから、子どもの「興味がある」「面白い」という気持ちをぜひ大事にしてあげてください。
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