【入試1週間前~当日】親子の心構えとチェックポイント|親子のための、「探究」する中学受験
いよいよ入試までカウントダウンという時期になりました。焦りや緊張も高まるかもしれませんが、親子ともに落ち着いてベストなコンディションで試験当日を迎えたいものですよね。この時期の心構えや、気を付けるべきポイントについて、大手進学塾を経て探究塾を主宰する矢萩邦彦先生に聞きました。
「朝時間」の子どもの状態をチェック
入試が行われるのは午前中ですから、その時間帯に思考力や集中力などがベストな状態であるように、体を慣らしておくことが大切です。試験開始の時間から逆算して、自分の状態がベストになるためには何時に起きるべきかをチェックしておいてください。お子さんと対話をしながら一緒に確認していけるとよいと思います。
子どもの個性によりますが、教科別でいえば、国語・算数の学習は朝に取り組むのがおすすめです。夜よりも比較的朝のほうが思考的な作業に向いているので、計算や国語の問題に集中できると思います。
朝学習時にチェックするポイントのひとつが、ケアレスミスが多くなっていないかどうかです。もし朝はミスが増えがちなら、その時点でまだ脳が起きていないのかもしれません。そんなときは、もう少し早く起きてみることです。起きてどれくらいの時間で自分の脳がしっかり働くかを知っておく必要があると思います。
これを知っておくと、たとえば算数なら計算問題からやるか、大問からやるかという優先順位を決める際にも役立ちます。朝からじっくり考えるのが得意だというなら大問から。計算で少し慣らしてからのほうが集中できるというなら計算から手をつける、という具合です。
理科・社会の暗記系の学習は夜寝る前のほうが記憶に定着しやすいでしょう。朝、暗記すると、その日の出来事で記憶が上書きされていくので定着しづらいという説があります。実際にそれを実感する生徒を何人も見ています。
子ども一人ひとりに個別最適化していくことが一番重要ではありますが、上記のような傾向を踏まえておくと心身の準備がしやすくなると思います。
子どもとの「対話」で過ごし方を決める
入試前になると、学校を休むかどうかも検討材料に入ってきますね。周囲の友だちなどとそんな会話になることも多いでしょう。学校を休むかどうかは、周りの状況に関わらず、子どもの意思を尊重しながら対話して家庭ごとに決めていきましょう。
「いつも通り学校に行くほうが、気分が楽だ」とか、「通学に時間がかかって疲れるから休みたい」など、理由はさまざまだと思いますが、その子のモチベーションに合わせて決めるのが大事です。みんなに合わせて「行く・行かない」を決める必要はないことを伝えて、本人の気持ちを聞いてあげてください。
また、特に真面目な性格の子に多いのですが、学校と塾の課題に追いつめられている場合もあります。こうしたときも、親子で対話して優先順位一緒に考えながら進めると、余計なプレッシャーに潰されずにすむと思います。
入試が迫ると、親も子も緊張を感じることがありますが、追い立てるような声がけや、逆に不自然に緊張を隠すような言動は不要です。落ち着いて、いつも通り自然体に、緊張しているならそれを対話で共有しながら過ごすことが大切です。
当日のチェックポイント
いよいよ当日となっても、平常心を心がけましょう。いつも通り、普段通りを意識することです。当日のチェックポイントを以下にあげてみました。
持ち物は自分で持つ
親が付き添って一緒に行く場合でも、持ち物は絶対に自分で管理させましょう。万が一親子がはぐれても、入試に支障が出ません。
使い慣れたえんぴつを使う
新しい筆記具を使うと、重心や使い心地が変わります。すると折れやすくなったり、使いこなすために脳が余計なリソースを割いたりします。いつもの力を全部出し切るために極力いつもの道具を使うことがおすすめです。
温度調節しやすい服装で
学校によって、また座る位置によって、意外と温度差があったりします。その場で調整できるような、脱ぎ着しやすい重ね着がよいでしょう。暑さ寒さで集中の妨げにならないよう備えてください。
受験票のコピーは必携
受験票のコピーは、プリントしたものをいつも財布に入れておくなど日ごろから携帯しておくのがおすすめです。スマホで撮影して画像でも保管しておくと、より安心です。
トイレを事前にすませる
あたりまえのようですが、重要です。学校によっては試験中にトイレに行くことをOKとしている場合もありますが、基本的に事前に済ますことを徹底しましょう。
公共交通機関を利用する
公共交通機関であれば遅延が発生した場合、対処してくれます。自家用車等で渋滞に巻き込まれた場合などは対処してもらえないので注意が必要です。
友だちと行かない
友だちと待ち合わせすると、もしどちらかが遅れたり来なかったりした場合、余計なプレッシャーや不安を感じることになるので避けたほうがよいです。
試験中具合が悪くなったら申し出る
具合が悪くなった場合は、保健室受験などで対応してくれる学校もあります。こういった対応は事前に学校に問い合わせれば確認できます。「具合が悪くなっても対応してもらえる」と知っておくだけでも安心感が増します。
入試日までにぜひ、上記を親子で確認してみてください。前日しっかり睡眠をとることも忘れないようにしましょう。
複数回受験と塾のメリット
同じ学校を複数回受験する場合は、その学校の出題傾向を事前に調べておくと役に立ちます。たとえば、一部変更のみで1回目と同様の出題がされる、複数回まとめて一番点数の高い回を評価してくれる、などさまざまなメリットがありますので、ホームページや説明会などで確認しておきましょう。
入試初日の結果がだめだった場合、親が勝手に落ち込んだり、なげやりになったりするパターンもよく目にします。しかし、これは絶対NGです。子どもが最後まで試験に挑めるよう、モチベーションを保つ声がけをしましょう。
現在はインターネットで塾と同程度の受験情報を手に入れることもできますが、あまりに多い情報の中から、わが子の受験に必要なものを選び出すのは簡単ではありません。そこで中学受験に対応している塾に「複数回受験」について相談をするのも有効です。
また、どうしても公立に行きたくない理由があったり、本人が強く望むようなら、直前でも出願できる学校や、各校の追加入試などもチェックしましょう。追加入試の情報などは、連日の受験でバタバタしながらチェックすることは精神的にも物理的にも難しいので、塾に相談する価値はあります。
複数回受験や、急遽志望校を変更するなどの場合、家族間での合意形成が大前提であることも忘れないでください。両親で意見が割れたりすると、子どもが迷って不安になります。受験方法や塾への相談を検討するまえに必ず確認しましょう。
受験が終わったらとにかく労いを
合否結果は人それぞれですが、何よりも大事なのは、ここまで頑張ってきた子どもへの労いの気持ちです。
合否に関係なく、受験生として過ごした時間で子どもたちは必ず成長していますので、どんな結果も受け入れて、プロセスを認めてあげてください。何が失敗の原因だったのか……、などと重く受け止めて振り返る必要はありません。がんばってきたことに達成感を持たせるイメージで対話してください。
逆に、合格を経験した場合は「もっとこうすればよかった、とかある?」などと振り返りをして、次のアクションに活かすというのは意味があるかもしれません。
とにかく、中学受験の合否でその子の人生が決定されるものではありません。合否に関わらず成長を実感できる経験に落とし込んであげることを親は強く意識しておきたいものです。
これまでの記事はこちら『親子のための、「探究」する中学受験』
※記事の内容は執筆時点のものです
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