連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

新学年 好スタートを切るためにやっておきたいこと|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2021年1月20日 石渡真由美

首都圏では間もなく中学入試がピークを迎えます。それが終わると、2月から4年生は新5年生、5年生は新6年生の勉強が始まります。新学年で好スタートを切るために、今やっておくべきことは?

社会は少し先取り。理科は前学年でつまずいた苦手単元の見直しを

中学受験の勉強は学年が上がるごとに内容が難しくなり、量も増えていきます。ということは今成績が伸び悩んでいる子は、ますます大変になるということです。そうならないために学年が上がる今、学習のやり方を見直し、苦手教科を得意教科に変えていきましょう。各教科の学習ポイントをアドバイスします。

【社会】前学年の復習よりも新しく学ぶことを先取りしておく

社会は積み上げ式の学習です。塾では4年生から5年生の1学期まで地理を学習しますが、4年生の地理は各地方の名所旧跡や地形、農作物など、地理の基本に触れる程度で、本格的に地理を学ぶのは5年生になってからです。

5年生になると、「りんごの産地はどこか?」「りんごはどういうところで育つのか?」「果物を育てるのに適した場所はどんな地形で、どんな気候か?」など、より詳しく地理を学んでいきます。その後5年生の2学期に歴史を学び、6年生からは公民の学習が始まります。

このように5年生から6年生の1学期までは、学ぶことや覚えることがたくさん出てくるため、復習になかなか時間をかけられなくなりがちです。復習は夏休みなど時間があるときにまとめて行うほうがいいでしょう。

それよりも、私は新しく学ぶことを少しだけ先取りしておくことをおすすめします。先取りといっても、テキストに目を通しておくだけでOKです。授業でまったく知らないことを聞くのではなく、ほんの少しでも前知識があると理解が深まり、記憶にも残りやすくなります。

6年生からは公民の授業が始まるのでその前に、買い物で消費税を意識させて税金のしくみを教えたり、選挙があったら共に投票所に足を運んで、政党名や国会議員の仕事などを意識させたりするなど、親御さんが少しだけ関わってあげると、子ども達の理解や暗記が進みやすいと思います。

【理科】前学年でつまずいた苦手単元を復習する

理科は積み上げ式の社会と違って、単元型学習です。単元型学習がどういうものかというと、たとえば今週は「植物の花のつくりとはたらき」を学び、来週は「てこと力のつり合い」を学ぶとします。この場合、たとえ今週塾を休んでしまっても、来週の授業には影響がないことになります。植物のことを知らなくても、力のつり合いは理解できますよね。このように単元ごとに学習していくので、非常に学習しやすいのが理科の特徴です。算数や社会ではなかなかこうはいきません。

理科は単元によって得意不得意がはっきりしていますので、そこだけをピンポイントで復習しておけば充分です。たとえば中和反応の計算単元が苦手だったら、前の学年のテキストのその部分を見直しておけばいいでしょう。単元型学習なので教科の優先順位は低めに設定しておいて構いません。新学年の新しい学習内容に影響が少ないからです。他教科で苦手がたくさんある場合は、そちらを優先してください。

算数は計算力を高め、国語は語彙力を伸ばす

【算数】基本的な計算でマスターできていないところがないかチェック

算数は4教科のなかで特に重要です。なぜなら算数は入試でも得点で差がつきやすい教科だからです。算数は合格者平均点と受験者平均点で最も差がつきます。ですから、算数が不得意な場合はこの機会にしっかり復習をしておきましょう。

算数も基本的には積み上げ式で、前に習った内容の理解度が次の単元の理解度に影響を与えることがしばしばです。たとえば前の単元の「比」をしっかり理解できていないと、次に出てくる「相似な図形」の理解は難しいでしょう。その一方で、理科のように単元型学習の側面もありますので、学年と学年の移行期間であるこの時期に、前の学年の内容を復習しておくことはとても重要です。

そしてすべての単元に共通して必要なのが、計算力です。当たり前のことですが計算でつまずいてしまうと、単元理解ができていても、正解を出すことができません。

算数は流れやスピードが重要です。私は算数を、音楽の演奏やフィギュアスケートになぞらえて話すことが多いのですが、算数は音楽やスポーツと似ていて、最初から最後まで詰まらずよどみなく流れていけるかがとても重要です。計算力不足で解法の流れが途中で止まってしまうと、それ以降は解けなくなってしまうものです。

4年生であれば5年生に上がる前に、小数のわり算、2桁以上のかけ算・わり算、分母が違う分数の計算をよく復習してマスターしておきましょう。計算力をつけるには、スポーツや音楽と同様にひたすら訓練するしかありません。日々の基本練習がなしで上達はしないのです。毎日必ず計算問題を解き、計算に対する苦手意識をなくしましょう。それだけが、算数を得意にする唯一のカギです。

【国語】1週間のスケジュールを再確認しておく

国語の勉強のやり方がよくわからない、という声をよく聞きます。そのため国語の学習はどうしてもおろそかになりがちですが、私は国語こそ毎日しっかり学習をするべきだと考えています。

国語力とは読み書きの力、すなわち「読解力」と「記述力」です。それらを伸ばすのに不可欠なのが「語彙力」です。語彙力を伸ばすためには、活字に触れること。本や新聞を読み、わからない言葉が出てきたら意味を調べる習慣をつけましょう。

読解力を鍛えるには、音読がおすすめです。音読する文章は少し難しめのものを心掛けるといいと思います。意気込んでたくさんの本を読む必要はありません。1冊の本を繰り返し読むやり方でもよいので、文章を丁寧に読む訓練をしましょう。記述力は書写など書くことで力をつけることができます。

国語は学年でその内容が大きく変わることはありません。毎日コツコツと学習をしていれば、成績は上がっていきます。英語を勉強するのと同じように、新しく学ぶ語彙は書いたり、読んだりして覚える。わからない言葉は辞書で調べる。この地道さが大切です。毎日続けるためには、月・水・金は漢字と語句の勉強、火・木・土は音読など、何をいつやるか計画を明確にしておくとよいでしょう。

文房具を一新して新たな気持ちでスタートを切る

小学校の新学期と違って、塾の学年アップはなんとなくスタートしてしまい、新たな気持ちが入りにくいものです。だからこそ、気持ちを高めるための工夫が必要です。たとえば文房具を一新してみましょう。そうするだけでも、「いよいよ6年生(あるいは5年生)になるんだな」と気持ちを高めることができます。勉強部屋の家具の配置を変えてみるのもいいかもしれません。気持ちを新たに、頑張っていきましょう。


これまでの記事はこちら『今一度立ち止まって中学受験を考える

※記事の内容は執筆時点のものです

宮本毅
宮本毅 専門家・プロ

1969年東京生まれ。武蔵中学・高等学校、一橋大学社会学部社会問題政策過程卒業。大学卒業後、テレビ番組制作会社を経て、首都圏の大手進学塾に転職。小学部および中学部で最上位クラスを担当し、多数のトップ中学・高校に卒業生を送り込む。2006年に独立し、東京・吉祥寺に中学受験専門の「アテナ進学ゼミ」を設立。科目間にある垣根は取り払うべきという信念のもと、たった一人で算数・国語・理科・社会の全科目を指導している。また「すべての子どもたちに自発学習を!」をテーマに、月一回の公開講座を開催し、過去3年間でのべ2000名近くを動員する。若い頃からの変わらぬ熱血指導で、生徒たちの「知的好奇心」を引き出す授業が持ち味。

■著書

『はじめての中学受験 これだけは知っておきたい12の常識』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 同音異義語・対義語・類義語300』(中経出版)
『文章題最強解法メソッド まるいち算』(ディスカヴァー・トゥエンティーワン)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える理科85』(KADOKAWA出版)
『中学受験 ゴロ合わせで覚える社会140』(KADOKAWA出版)
『ケアレスミスをなくせば中学受験の9割は成功する』(KADOKAWA出版)
『合格する子がやっている 忘れない暗記術』(かんき出版)

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。

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