連載 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

2021年中堅校入試振り返り ―― 親子で疲弊しない「ノビノビ中学受験」

専門家・プロ
2021年2月24日 やまかわ

中学受験と聞くと、難関校を目指す受験がどうしてもイメージされます。しかし、そうではない、あるいはそのやり方に疑問をもつご家庭は少なくないでしょう。この連載では、『ゆる中学受験 ハッピーな合格を親子で目指す』の著者である亀山卓郎先生に、親子で疲弊しない中学受験をテーマにさまざまなお話を伺います。

2021年の中学入試は、ハラハラドキドキの連続でした。私の塾(進学個別桜学舎)は、例年であれば子どもたちを勉強合宿に参加させたり、試験会場で模試を受験させたりすることで“受験生としての心構え”をつくり上げていたのですが、今年はそうした機会になかなか恵まれず、正直、土壇場でなんとか気持ちをつくり上げた子が多かった印象です。こうしたなか、2021年の中堅校入試にもいくつか特徴がありました。振り返りとともに、何かと慌ただしかったこの一年でも着実に人気を集めた学校の特徴、そしてこれから受験を控える親子に意識してほしい「学校探しのポイント」もお伝えします。

「伝統校」が人気を集めた

今年の中堅校入試の傾向として挙げられるのが、伝統校に人気が集中したということです。学校訪問をはじめとする情報収集の機会がコロナ禍で大きく減ったこともあり、まずは評判が高く、「安心して子どもを預けられる」といったイメージが強い伝統校に出願が集まったのだと思います。特に人気を集めていたのが、獨協中学です。歴史ある伝統校という点に加え、今年はじめて導入した「二科目入試」も注目を集め、この入試には定員約20名のところ562人もの受験生が集まりました。そして偏差値を年々伸ばしている淑徳巣鴨も、今年は特に厳しい入試となりました。一昔前までは首都圏模試の偏差値で40台だったのですが、近年は50台を超え、今年の入試問題も難化傾向に。来年以降も目が離せない中堅校になりそうです。

参考:市進教育グループ 東京都私立中学《男子》入試状況速報

歴史の浅い学校は苦戦

伝統校と比べると、歴史の浅い、いわゆる「新進気鋭」の学校は生徒を集めるのに少し苦労したようです。今年は学校説明会や見学会がなかなか開催できず、学校の特徴や教育理念などを親子にうまく伝えきれなかった点も一因といえます。

一方でこうした逆風のなかでも、ふたつのリニューアル校が前評判通りたくさんの受験生を集めました。まずは、広尾学園小石川。村田女子高校が「広尾学園」と教育連携をとる形で今年から名称を改め、共学として新たなスタートをきった中高一貫校です。後半の日程、そして定員がわずかという点も関係しているかと思いますが、2月4日の本科入試(特待含む)の実質倍率は男子約15.3倍、女子は約23.8倍となっています。「私立中堅校の受験トレンド」でも述べましたが、人気を集めたひとつの要因といえそうなのが「広尾学園」というブランド力。広尾学園といえば、ここ十数年で偏差値を着実に上げてきた中高一貫校で、難関大学にも多くの生徒を輩出しています。こうした結果を出す「独自の教育システム」に惹かれ、広尾学園小石川を志望した親子が多そうです。

もう一校、リニューアル校として人気を集めたのが光英VERITASです。聖徳大学附属女子中学校・高等学校から名前を変え、2021年4月から共学校としてスタートします。リニューアル第1回目の入試となった今年は「特待チャレンジ入試」の実質倍率7.8倍をはじめ、多くの受験生を集めました。最寄り駅の北総線秋山駅・北国分駅は、京成線1本で行けるアクセスのよさ。実績のある教師を多数抱えるなど、教育の質の高さに期待がもてることからも、来年以降ますます人気を集めていくことが予想されます。

学校探しのポイント

2021年入試はコロナの影響もあり、「自分が受験するんだ!」という強い想いが子どもたちになかなか芽生えづらい受験でした。2022年入試を控える新6年生、そして新5年生以下の子も、模試を自宅で受験したり、学校説明会に行けなかったりと、モチベーションを高めるチャンスに引き続き恵まれないかもしれません。

そこで「受験生としての自覚」を子どもにもたせること、そして合格に向けた「ファイティング・スピリット」を根付かせるためにぜひやってほしいのが、学校のホームページを親子で見ることです。「こんな特徴があるんだね」「こういう部活に入りたい!」といったように、親子で会話を重ねつつ、理想の学校を具体化させていきましょう。そして似た特徴をもつ学校をリストアップし、塾の先生から学校の印象を聞いてみたり、在校生の親などに知り合いがいれば、実際の学校生活について尋ねてみたりするのも良いですね。たとえ学校見学はできなくとも、今はインターネットなどで多くの情報を集めることができます。子どもに受験生としての意識を芽生えさせるためにも、親子で学校情報に触れつつ、志望校のイメージを膨らませていきましょう。

まずは、モチベーションを育てること

コロナ禍のなかおこなわれた、今年の中学入試。例年とは違った生活様式に疲れて受験に向かうマインドがつくれず、親子のコミュニケーションにすれ違いが生まれてしまった家庭も多かったかもしれません。

中学受験では、学習内容や勉強量はもちろん大切です。しかし、まずは受験に対する子どものモチベーションを育てること、そしてそのモチベーションが枯れないように周りがサポートすることが何よりも欠かせません。これは世の中が不安定な今だからこそ、親御さんが特に心に留めておきたい「根幹」の部分ともいえます。

2022年以降の入試に向けた戦いはすでに始まっていますが、まずは親御さんが肩の力を抜いて、子どもが楽しく勉強を続けられるサポートができないかと考えることから始めてみてください。そのうえで、子どもの成長を見据え、多くの会話を通し、親子にとって納得のいく学校も探していきましょう。

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※記事の内容は執筆時点のものです

亀山卓郎
亀山卓郎 専門家・プロ

かめやま たくろう|明治学院高等学校、成城大学卒業。大手塾・個人塾などで教務経験を積んだ後、2007年に転居のため千葉県及び江戸川区の塾を閉鎖し、台東区上野桜木で「進学個別桜学舎」をスタート。首都圏模試の偏差値で60を切る学校への指導を専門に「親子で疲弊しないノビノビ受験」を提唱している。TJK東京私塾協同組合員、第一薬科大学付属高校上野桜木学習センター長。YouTube「下町塾長会議」構成員。著書「ゆる中学受験ハッピーな合格を親子で目指す」(現代書林)、「めんどうな中学生(わが子)を上手に育てる教科書」(ブックトリップ)、構成・問題監修「LIZ LISA Study Series中1/中2」、監修「おっぱっぴー小学校算数ドリル」(KADOKAWA)

この記事の著者

編集・ライター。学生時代から都内で6年間塾講師を務める。塾講師時代は、おもに作文・国語・英語の科目を担当。小学生から中学生までの指導にあたる。現在は編集・ライターとして教育関連をはじめ、街歩き・グルメ記事の執筆取材をおこなう。