連載 「国語力」が、中学受験を左右する!

得意だった国語が苦手に……。「小5の壁」の乗り越え方とは?|「国語力」が、中学受験を左右する!

専門家・プロ
2021年3月04日 水溜 兼一(Playce)

本連載では、国語の講師として、中学受験を目指す子どもたちを長年指導している南雲ゆりか先生が、国語力アップにつながるさまざまな方法を紹介します。

「4年生のときは国語の成績が良かったのに、5年生になって苦手になった」と悩む保護者の方は少なくないようです。5年生の国語学習でつまずいてしまう原因と、「小5の壁」を克服する方法を南雲先生が伝えます。

小4と小5の国語の違い

国語で「小5の壁」にぶつかってしまう子のなかには、「今まで国語は特に勉強しなくてもできた」という子が多くいます。子どもは、「得意だった国語ができなくなった」と落ち込み、保護者の方は、なぜ成績が落ちたのかわからず焦ります。子どものつまずきの原因を見つけるためには、まず「小4と小5の国語の問題の違い」を把握する必要があります。

4年生の読解問題は、素材文のテーマや内容が理解しやすく、設問も易しいケースが比較的多いです。ですから素材文を精読しなくても勘で解けることがあります。しかし、このような解き方が習慣になってしまうと、5年生になって素材文が長文化し、内容が難しくなると解けなくなってきます。

選択問題では、どの部分が間違っているのか気づきにくい選択肢が並び、消去法で解きたくても正解がパッとわからないケースが増えます。また、これまでは本文と同じ表現をそのまま使った選択肢が正解である場合が多かったのに、言い回しがを変えてあるので、本文と同義であるかがわかりにくくなります。さらに、本文の言葉をそのまま引用しているけれども題意とは合わない選択肢に、子どもは引っ掛かってしまいがちです。

記述問題は、4年生では素材文に書かれている内容をほぼ丸写しすれば答えになるケースがよく見られます。しかし、5年生になるとそのまま書き抜くだけでは正解にならず、素材文の内容を解釈してまとめる技術が求められてきます。物語文の象徴表現について、何を象徴しているか、自分の言葉を交えながら答えさせる問題はその一例です。書き抜き問題も、解答部分と離れたところに傍線を引いて問うなどして、難度を上げる場合があります。

漢字については、学年が上がるにつれて抽象的な概念を表すものが増えます。風紀の「紀」、人格の「格」 などで、これらは漢字一文字だけを見ても何を表しているかイメージが浮かびません。また、漢字を覚えるほど同音同訓の漢字が増えていきます。たとえば「タイセイ」を漢字で書く問題で、「体勢」「体制」「態勢」 のどれを選べばよいか悩む子は多くいます。実際、これまで受験生を指導してきて、5年生の漢字テストは正答率が4年生より悪くなる傾向があります。テストする範囲が決まっていればそこそこ正解できますが、範囲を決めずに出題すると正解できないことは多々あります。

読解問題を解くためには、理屈で考える習慣をつける

読解問題のつまずきの大きな原因の一つは、論理力を働かせて問題を解いていないことにあります。素材文に書かれているさまざまな事柄のつながりが理解できないため、素材文の内容が読み取れないのです。

このつまずきを克服するためには、日ごろから理屈で考えながら文章を読む習慣をつける必要があります。とはいえ、4年生まで国語が得意だった子は、一文一文、文章のつながりを考えながら読むのは面倒だし、そんなことをしなくても私は解けると思っているかもしれません。しかし、実際には問題が解けなくなってきているわけです。

読解問題の出題者は、なぜこの答えになるのか、根拠を示せる問題を出していて、フィーリングや主観で解く問題は出していません。それは説明文・論説文に限らず、物語や詩の問題にも言えることです。まずこのことを保護者の方に理解していただく必要があります。そして、理屈で考えることが大事なことを子どもに気づかせなければいけません。そのためには、「勘で解くよりも、素材文の構成や文のつながりを意識して読んだ方が正解できる」と、子どもが実感する機会をたくさんつくることが重要です。

国語の問題を解くために論理力が必要なことは、塾でも教えます。加えて家庭で子どもと一緒にテキストの振り返りなどをするときは、一文ずつ何が書いてあるか内容を確認し、意味がわからない言葉や表現はかみ砕いて教え、文章がどうつながっているのかを子どもと会話しながら読むことが大切です。地道な作業ですが、事柄のつながりを意識し、論理力を働かせて読むことができるようになると成績は上がってきます。すると子どもは、このやり方でいいんだと確信が持てます。

問題の正しい解き方や答えのまとめ方を覚える

選択問題については、以前お伝えしたように、選択肢を見比べて解くのではなく、設問を読んだら、素材文から答えのもととなる部分を探し、その後で選択肢を読むのがセオリーです。子どもがどのように選択問題を解いているか、消去法で選んでいなかいを確認し、正しい解き方をアドバイスしてあげてください。選択問題を解くときは、前述のように素材文を論理的に理解し、内容を把握できていれば、選択肢の文言に迷わされることなく、正解となる選択肢が選びやすくなるはずです。

記述について、文章のまとめかたを覚える第一歩として、選択問題の正解の選択肢の文章を書き写すことをおすすめします。正解の選択肢は、出題者による記述の模範解答という捉え方ができます。難しい問題で、自分では答えがよくわからず、どう説明したらいいのかわからなかった場合、答えを書き写すことで、まとめ方の参考になります。素材文の中の答えのもととなる部分と正解の選択肢の文章を見比べてみるとわかりやすいでしょう。問題を解くたびごとにやる必要はありませんが、難しい問題についてはそのような取り組みをしてみるのも、記述力を高めるひとつの方法です。

漢字については一つひとつの意味を知ることが、同音同訓の漢字が使い分けられるようになるポイントです。家庭で漢字の問題に取り組むときは、保護者の方が丸つけをして、子どもが間違えた漢字については、意味を一緒に調べて、どんな使い方をするか教えてあげてください。たとえば漢字テストの例文ごと音読するなど、例文とセットで漢字を覚えることが理想です。

今回は、国語の小5の壁の原因と克服方法をお伝えしました。国語が苦手となる原因は、素材文を漫然と読んで、漫然と解いているケースが多いですから、丁寧に読んで丁寧に解く習慣をつけることが大事です。5年生で国語の成績が低下しても挽回は可能です。ぜひ家庭での学習で意識してみてください。


これまでの記事はこちら『「国語力」が、中学受験を左右する!

※記事の内容は執筆時点のものです

南雲ゆりか
南雲ゆりか 専門家・プロ

南雲国語教室(東京都文京区)主宰。「正確に読む力、伝える表現力」の育成をモットーに小学生の指導にあたっている。東京都生まれ。横浜市の小学校教諭を経て、大手中学受験塾の国語科専任教師に。10年間、最難関コースの指導を担当するとともに、模試や教材の作成にも携わった。主な著書に、『笑って合格する!「中学受験」必勝法』『中学受験の合否を決める! 考える力がつく「国語」勉強法』(いずれもダイヤモンド社)『名探偵コナンの12才までに身につけたい本物の漢字力 1026字』(小学館)がある。現在、朝日小学生新聞で「楽読み楽解き国語の時間」、朝日新聞EduAで「国語のチカラ~読解力アップの教科書~」を連載中。

この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。