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レタスを水にさらすとシャキッとするのはなぜ?「浸透圧現象」を考えてみよう|なるほどなっとく 中学受験理科

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学習範囲が広く、難しいイメージがある理科の中学入試問題。難関校に多くの子どもを合格させてきたカリスマ講師・小川眞士さんが、子どもの理科力を育むためのヒントを伝えます。

入試理科では、理科的思考力が求められます。子どもの理科的思考力を養うためには、普段から身の回りのいろいろな事象に興味を持ち、その原因を理科的視点で捉える姿勢が大切です。今回は、さまざまな事象のなかから「浸透圧」にフォーカスして、小川先生にお話いただきます。

料理と深い関わりがある「浸透圧現象」とは

2021年の理科の入試問題では、「浸透圧」を取り上げた学校が例年より多く見られました。実は、浸透圧現象は私たちにとって身近なものです。まずは、料理における浸透圧現象を考えてみます。

サラダを作るとき、レタスを水にさらしてパリッとさせる。とんかつに添えるせん切りキャベツを水にさらしてシャキッとさせる。ポテトサラダを作るときにきゅうりを塩もみする。料理で行うこれらの作業は、いずれも浸透圧を利用したものです。

野菜をはじめ生物はたくさんの細胞でできていますが、濃度の異なる2つの液体が細胞膜を介して接したときに、水が濃度の高い方に移動する現象が起こります。なお、水の分子は小さいので細胞膜にある小さな穴を通り抜けられますが、水にとけているブドウ糖などの分子は大きいので通り抜けられません。この働きを調べた実験が下図です。

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小川眞士

小川眞士

  • 専門家・プロ

小川理科研究所(東京都豊島区)主宰。都内の中学校教諭を経て、四谷大塚進学教室理科講師に。開成や桜蔭の特別コースを約25年間担当、コース生28人全員が開成中学に合格した実績を持つ。教務主任や副室長も務めた。2009年4月に小川理科研究所を開設。主な著書に、『中学受験 理科のグラフ完全制覇』(ダイヤモンド社)、『これだけ理科』(森上教育研究所スキル研究会)、『カンペキ小学理科』(技術評論社)がある。

水溜 兼一(Playce)

  • この記事の著者

雑誌・新聞の編集・ライターを経て、現在は、通信教育企業のキュレーションサイトや大学案内のライティングなどを担当。