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「栄光学園」出身者が語る! 神奈川男子御三家の特徴と勉強法

2021年6月10日 松田翔

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聖光学院・栄光学園・浅野の三校は、神奈川の中学受験界において「神奈川男子御三家」と呼ばれています。各校とも毎年一定数の東大合格者を輩出する学校で、中学入試の難易度もトップレベルです。私自身が実際に栄光学園に進学した経験、そして塾講師や家庭教師としての経験をもとに、意外と知られていない神奈川男子御三家の入試の特徴、そしてこれらの学校を目指すうえでおすすめの勉強法をお伝えします。

神奈川男子御三家の入試の特徴

神奈川男子御三家とは、次の3つの学校を指します。

【神奈川男子御三家】

  • 聖光学院
  • 栄光学園
  • 浅野

まずは、各校の入試の特徴についてお伝えします。

※2021年6月現在の情報をもとに解説(今後、出題傾向が変わる可能性もあります)

聖光学院

例年、聖光学院の入試問題の半分は基本的な知識問題で構成されています。残りの半分は、その場で考える必要のある問題です。記述問題は全問題数のなかで1~2割と、栄光学園や浅野に比べると少なめですが、選択問題を解く際にも高度な思考力を求められるのが特徴です。特に国語の選択肢問題は難易度が高く、設問文を理解するだけでも骨が折れます。

栄光学園

栄光学園の入試問題の大きな特徴は、文系科目の記述の多さです。たとえば2020年入試の国語については、実に小問9つのうち7つが記述という構成でした。社会についても記述形式の問題が10題も出されています。算数や理科も「知っていれば解ける」という問題は少なく、その場で難解な条件や設問文を読み解く問題が多く出題されました。このように栄光学園の入試は総じて難易度が高く、高い思考力と記述力が必要になります。

浅野

浅野は、「基本問題」と「その場で考える問題」を7:3くらいの割合で出題するのが例年の流れです。算数は「証明問題」が出題されているのが大きな特徴で、答えを導くまでのプロセスを記述する力も求められています。国語の難易度も高く、特に論説文は文字数が多いことから「大学入試にも匹敵するレベル」という声もあるほどです。さらに社会では80~120字ほどの長文記述が出題される傾向にあるなど、浅野も総じて難易度の高い入試といえます。

神奈川御三家の入試突破のための勉強法

では、神奈川男子御三家の入試問題を突破するための勉強法をお伝えします。

聖光学院

聖光学院の入試を突破するカギは、基本問題の取りこぼしを防ぐことです。問題自体の難易度がほかの2校に比べると高くないぶん、合格者平均が高得点になる傾向があります。そのため基本問題で差をつけられないように、特に基礎知識はしっかりと身につけておく必要があるでしょう。そのうえでライバルに差をつけるためには、高配点が予想される記述対策に注力するのが得策といえます。

栄光学園

栄光学園の入試を突破するカギは、思考力と記述力を鍛えることです。栄光学園の入試では、基礎知識があることは最低条件として、「与えられた資料やデータを読み解いて記述する」という非常にレベルの高い問題が毎年出題されます。そのため「入試本番ではこれまで見たことのない資料や単語、データに必ず出会うだろう」といった意識のもと、思考力と記述力を日々高めていく訓練が必要です。

浅野

浅野の入試を突破するカギは、基本問題の取りこぼしを防ぐことと、記述力を高めることです。浅野の場合、どの科目も非常に広い範囲から出題されます。そのため入試に必要な基礎知識は、まずは抜け漏れのないように身につけておきましょう。同時に「120字の記述」など、文字数の多い記述問題への対策が必要です。記述対策としては、まずは書くべき内容を絞りつつ、全体を通して見たときに文章の体(てい)をなしている答案を記述するトレーニングを積むのがおすすめです。

「考える力」を磨いていこう

神奈川男子御三家の入試は、基本問題を覚えているだけでは太刀打ちできません。つまり、基礎知識があるのは最低条件。そのうえで高度な「考える力」が求められています。そして「考える力」は一朝一夕で身につくものではなく、日ごろからさまざまな出来事に疑問や関心を持ち、アウトプットする訓練が必要です。たとえば「日本のワクチン接種はなぜ遅れているのか?」「オリンピック開催で起きるメリットやデメリットは?」といった時事的なテーマを親子で話し合ってみるのも良いですね。時事ネタに詳しくなるだけでなく、神奈川男子御三家の入試で求められる「思考力」や「記述力」も身につくので、ぜひ試してみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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