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【室町時代の建築】中学受験で押さえておきたい「金閣寺と銀閣寺」の3つのポイント

2021年8月18日 ゆずぱ

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京都観光の定番スポット、その“代表選手”ともいえるのが金閣寺や銀閣寺。このふたつの建築物はとても有名ですが、元々はお寺ではなく、室町時代の将軍の「別荘」だったことを知っていますか? そして金閣寺も銀閣寺も「臨済宗のお寺」で、金閣寺は鹿苑寺(ろくおんじ)、銀閣寺は慈照寺(じしょうじ)という正式名称があることもあまり知られていません。ただし、これらの知識は中学入試でしっかりと出題されています。

そこでこの記事では、室町時代の代表的な建築物「金閣寺」と「銀閣寺」について、中学入試で問われる重要な3つのポイントを整理していきます。日本の文化史や建築史における「金閣寺」と「銀閣寺」の位置付けも紹介するので、歴史の勉強をする際の参考にしてみてくださいね。

金閣寺と銀閣寺の3つのポイント

金閣寺と銀閣寺について押さえておきたい3つのポイントを紹介する前に、まずはそれぞれの外観をチェックしましょう。

金閣寺は全体が金箔でおおわれていることもあり、キラキラで派手な印象。一方で銀閣は銀色……ではなく、落ち着いた感じの黒色です。

外観の違いは理解できましたか? では3つのポイントに沿って、それぞれの違いを具体的にみていきましょう。

3つのポイント
1.だれの別荘か?
2.背景となる文化
3.別荘から寺院へ

ポイント【1】だれの別荘か?

ひとつ目のポイントは、「誰の別荘だったか」ということです。そもそも金閣寺も銀閣寺も、そのはじまりは室町時代の将軍の別荘でした。金閣寺は室町幕府3代将軍の足利義満、銀閣寺は同じく8代将軍の足利義政の別荘です。

ちなみに将軍の名前は中学入試でガンガン問われる箇所なので、しっかりと押さえておきましょう。また室町時代で押さえておきたい将軍は、義満、義政のふたり、そして初代将軍の足利尊氏(たかうじ)を加えた3人です。

中学入試で押さえておきたい室町時代の将軍
足利尊氏……初代将軍
足利義満……3代将軍
足利義政……8代将軍

ポイント【2】背景となる文化

ふたつ目のポイントは、背景となる文化の違いです。室町時代の文化は「室町文化」と呼ばれますが、そのなかでも室町時代の初期に始まった文化を「北山文化」、末期にかけて成熟した文化は「東山文化」と呼ばれ、金閣寺と銀閣寺、それぞれの建造には当時の文化が色濃く反映されています。

北山文化

北山文化は、天皇に仕えていた公家(貴族)の文化、そして武士の文化が“融合した”文化といわれます。

当時の公家は、「寝殿造」と呼ばれる豪華な邸宅に住んでいました。一方で武士も力を持ち、鎌倉時代から室町時代にかけ、武士もこの寝殿造に似た邸宅に住むようになったのです。こうした時代背景のもと、武士の足利義満は、派手で豪華な金閣寺を建てたのですね。

東山文化

室町時代の中期~後期になると、“素朴な住まい”がその中心となっていきます。そして銀閣寺も寝殿造ではなく、「書院造」と呼ばれる建築様式でつくられました。ちなみに銀閣寺は、「畳(たたみ)」や「ふすま」、「障子(しょうじ)」などを持つ造りとなっています。これらは現代の住居にも見られる“起源”という点で、中学入試でも頻出です。

ポイント【3】別荘から寺院へ

最後のポイントは、「将軍の没後(亡くなったあと)に寺院化した」ということです。足利義満が亡くなったあとは、金閣は鹿苑寺(ろくおんじ)に、そして足利義政が亡くなったあとは、銀閣は慈照寺(じしょうじ)というお寺となりました。なお、それぞれのお寺の名称を答えさせる問題は中学入試でもお馴染みです。しっかりと押さえておきましょう。

また、両方とも「臨済宗」のお寺ということも理解しておきたいですね。臨済宗といえば、鎌倉6宗派のひとつ。禅をベースとした宗派として知られます。ちなみに中学入試では、栄西の臨済宗、そして道元の曹洞宗のふたつの宗派が頻出です。

金閣寺と銀閣寺を「流れ」で捉えよう

日本史における金閣寺と銀閣寺の位置付けも確認しておきましょう。そもそも歴史の勉強において、全体の流れを捉えることは特に大切です。受験での回答力をつけるためにも、次のふたつの流れは押さえておきましょう。

金閣寺と銀閣寺の位置付け
・文化の流れ
・建築の流れ

文化の流れ

日本の文化は、古代の縄文文化や古墳文化を経て、中国などの大陸から「仏教文化」の影響を次第に受けつつ、飛鳥時代、奈良時代、平安時代はその仏教文化を中心に栄えました。一方で鎌倉時代からは、天皇(朝廷)と公家が中心の仏教をベースとした文化から、武士(幕府)中心の文化に変化していきます。そして金閣や銀閣がつくられた室町時代は、この「公家中心の文化」と「武士の文化」がまさに融合し、さまざまなものが庶民化していく時代でもありました。公家の文化が残る時期に建てられた金閣寺に派手さが見られる一方で、銀閣寺がどこか素朴な感じがするのも、こうした流れの変化を押さえることで理解できるでしょう。

建築の流れ

室町時代は、「建築」という観点でみても節目の時期です。上の図を見ると、室町時代は寝殿造と書院造が切り替わる時期であることがわかりますね。

そもそも寝殿造は、「貴族の住まい」として平安時代から採用された建築様式です。ただし武士の時代になってからは簡素化が進み、最終的には、素朴な建築様式として知られる書院造でつくられた住居に住むようになります。こうした変化が起きた時代が、まさに室町時代なのです。

まとめ

京都観光の定番スポット、金閣寺と銀閣寺について、中学入試で押さえておきたい3つのポイントに沿って解説してきました。もともとは将軍の別荘であったこと、そして将軍の没後に仏教の寺院となったことなどは、入試で特に出題されています。さらに「歴史の流れ」という視点で見てみると、室町時代は”文化の変換点”となっていることも理解できますね。こうした流れも押さえつつ、受験力をしっかりとつけていきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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