昭和時代【1】軍部の台頭 ―― イメージで覚える中学受験歴史
昭和時代の初期、日本を大変な事態が次々とおそいます。まずは、1927年に起きた「金融恐慌(きょうこう)」。多くの中小企業が不景気を苦にして倒産し、「今、お金をおろさないと銀行がつぶれてしまう」というウワサも広まったことで、人々は銀行に押しかけました。いわゆる、銀行の「取り付け騒ぎ」です。これによって銀行が次々と倒産、または休業に追い込まれ、日本中が大混乱におちいりました。
世界恐慌
日本は金融恐慌に見舞われていましたが、不景気なのは日本だけではありません。当時の世界も大変な状況にありました。それが、1929年に起きた「世界恐慌」です。
第一次世界大戦が終わってヨーロッパの経済が回復すると、アメリカの輸出産業は伸び悩み、アメリカ国内の企業は次々に倒産していきました。こうした状況で、人々は持っていた株式をいっせいに売ってしまいます。その影響もあり、ニューヨークのウォール街にある取引所の株価が大暴落。ニューヨークは“世界の経済の中心地”でもあったため、株価の大暴落は世界中の経済に影響しました。その影響は日本にも飛び火し、日本国内では失業者が増え、さらにはコメの価格の暴落や凶作もあり、食べ物も満足に食べられないような貧しい生活を強いられる人々がたくさん現れたのです。
各国の経済政策
そんな不景気のなか、各国は経済政策をおこないます。では、次の国々の政策について見ていきましょう。
各国の経済政策
- アメリカ
- イギリス・フランス
- 日本
アメリカ
当時、広大な植民地を持っていたアメリカは、世界恐慌をきっかけにダム建設などの公共事業を進めます。理由は、失業者に仕事を与えるためです。これらの政策は「ニューディール政策」と呼ばれました。
イギリス・フランス
イギリスやフランスは、「自国と、自国の植民地との間だけで貿易をおこなう」という政策、いわゆる「ブロック経済」を取り入れます。ほかの国の貿易品に高い関税をかけることで、外国の製品を自国に入れない、つまり“ブロック”することによって、自分たちの国でつくった商品だけが国内で売れるようにしたのです。
日本
日本は、植民地を持っていませんでした。そこで、同じ状況にあったドイツ・イタリアと同じく、植民地の獲得に向けて動き出します。そして日本は関東軍に命じて、これまでの戦争で獲得した「遼東(リャオトン)半島南部」や「南満州鉄道」の警備を担当させました。
軍部の台頭
日本では、関東軍をはじめとする「軍部」が政治にも力を及ぼすようになります。そして、次のような出来事が起こりました。
軍部の台頭によって起きた出来事
- 満州事変
- 五・一五事件
- 国際連盟から脱退
- 二・二六事件
満州事変
1931年、日本は満州を占領します。これは満州事変と呼ばれ、そのきっかけとなったのが「柳条湖(りゅうじょうこ)事件」です。
柳条湖事件
植民地獲得に燃えていた関東軍が、1931年9月18日に起こした事件。柳条湖付近の南満州鉄道の線路にダイナマイトをしかけ、爆発させた事件として知られます。なお、テストによっては「南満州鉄道爆破事件」と書いても正解です。
柳条湖事件は、関東軍が起こした事件です。しかし関東軍は「中国軍のしわざだ!」と相手に濡れ衣を着せ、攻撃を開始します。めちゃくちゃな話ですが、関東軍としては植民地が獲得できれば何でもありだったのです。なお、ここまでの一連の出来事が「満州事変」と呼ばれます。
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