【社会】7つの軍事同盟をわかりやすく解説! 目的・時期・関連する戦争を整理しよう
社会の歴史分野にたびたび登場する「軍事同盟」。
たとえば日露戦争では「日英同盟」が、第二次世界大戦では「日独伊三国同盟」が教科書に書かれていますが、軍事同盟の全体像が見えず、頭の中がモヤモヤしている子も多いのではないでしょうか?
そこで今回は、中学受験生が押さえておきたい軍事同盟を体系的にまとめて解説します。
中学入試対策としては「7つの軍事同盟」を覚えておくことが大切です。
同盟を結成した目的や時期、同盟に関連する戦争も重要なポイントなので、こうした知識も交えて解説しますね。
Contents
軍事同盟の全体像
まずは、中学受験で押さえておきたい軍事同盟の全体像から見ていきましょう。
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歴史上ではもっとたくさんの軍事同盟が結ばれていますが、中学受験の対策としては上記7つを押さえておけばOKです。
それぞれの軍事同盟についてはこの先で詳しく説明するので、まずは全体像をザーッと眺めてみてください。
同盟に関係する戦争や加盟国のイメージをつかみましょう。
軍事同盟とは?
そもそも軍事同盟とは何でしょうか?
少し難しい表現だと「軍事上の義務を伴った条約」のことですが、わかりやすく紹介すると次のようなイメージです。
軍事同盟=国どうしが結ぶ約束
- 加盟国のどこかが攻められたら一緒に戦おう
- 加盟国で軍をつくり、それぞれの加盟国を守ろう
軍事同盟では、基本的には「加盟国を守ること」に重きが置かれています。
また、軍事行動が発動する条件も明確に決められています。
軍事同盟の3つのポイント
軍事同盟について学ぶときは、ただボンヤリと覚えるのではなく、次の3つのポイントを意識することが大切です。
A:目的
B:時期
C:戦争
A:目的
軍事同盟を結ぶ主な目的は、防衛です。
国が攻められたときに、1国だけの力では負けてしまうかもしれない……。
だから、戦争が起きたときに備えて軍事同盟を結んでおくんですね。
B:時期
「軍事同盟の設立時期」は重要知識のため、覚えておきましょう。詳細な年号まで問われることは少ないものの、中学入試では出題されています。
同時期に発生した出来事とリンクさせる問題が出るので注意が必要です。
C:戦争
軍事同盟が実際に機能して、その枠組み内で戦争が起きたケースもセットで押さえておきましょう。
その同盟がどの戦争と結びついているか? については中学入試で直接問われる可能性が高いので、必須の知識といえますね。
7つの軍事同盟
それでは7つの軍事同盟について、先ほど紹介したA~Cの3つのポイントを意識しながら見ていきましょう。
日英同盟
まずは、日本とイギリスで締結した日英同盟です。
20世紀初頭は、ロシアが満州を占領し、朝鮮半島まで進出する勢いをもっていました。
ロシアは東アジアに侵攻していたため、「日本も攻められるかもしれない……」という脅威にさらされていたのです。
一方でイギリスも、アジアにある“イギリスの植民地”が攻められるかもしれない状況だったため、「ロシアの東アジア侵攻をどうにかして止めたい」と思っていました。
A:目的
日英同盟の目的は、アジアに進出するロシアに対抗するためです。
日本としては、ロシアと万が一戦争になったときにイギリスに支援をしてもらう、という目的もありました。
B:時期
日英同盟が設立されたのは1902年です。
日露戦争が勃発したのが1904年なので、日露戦争のちょっと前に締結されていることがわかりますね。
C:戦争
日英同盟と関係のある戦争は、日露戦争です。
日露戦争は日英同盟の発動条件にならなかったためイギリスは参戦しませんでしたが、経済面などで日本を支援しました。
三国協商・三国同盟
つぎは、第一次世界大戦時に結ばれた“メジャーな軍事同盟”ともいえる三国協商と三国同盟についてです。
三国協商と三国同盟は、かなり複雑な関係が絡み合っています。
小学生向けにシンプル化して説明すると、「フランスとドイツの対立によって結ばれた同盟」ですね。
1870年に起きたドイツとフランスの戦争ではドイツが勝利しましたが、ドイツはフランスの報復を恐れ、フランスはドイツが自国周辺に侵攻することが気に入りませんでした。
A:目的
三国協商と三国同盟の目的は、次のとおりです。
三国協商の目的:ドイツの領土拡大への対抗
三国同盟の目的:フランスの報復への対抗
三国協商にはロシアが加盟していました。そのため地理的にみると、連合国(フランス・イギリス・ロシア)がドイツを東西から挟みこむ形になっていたんですね。
B:時期
三国同盟が結ばれたのは、ドイツとフランスの戦争が終戦したあとの1882年です。
一方、三国同盟の侵攻を止めたかったフランスは、1907年にロシアを加えて三国協商を成立させました。
C:戦争
三国協商と三国同盟に関連する戦争は、第一次世界大戦です。
三国協商を中心とする「連合国」と、三国同盟を中心とする「同盟国」が争った構図ですね。
第一次世界大戦は、多くの国をまきこんだ戦争になりました。
連合国共同宣言・日独伊三国同盟
第二次世界大戦の時期に結ばれた連合国共同宣言と日独伊三国同盟についても見ていきましょう。
連合国共同宣言と日独伊三国同盟もかなり複雑な関係なので、ここではシンプル化して紹介します。
まず、世界恐慌を発端として日本・ドイツ・イタリア(枢軸国)が国際連盟を脱退し、周辺国へ侵攻していました。
そして、その枢軸国に対抗するために宣言されたのが連合国共同宣言です。
一方で、国連から脱退して孤立していた3つの国(日本・ドイツ・イタリア)が手を組んだのが日独伊三国同盟です。
A:目的
それぞれの目的を簡単に表すと、次のとおりです。
連合国共同宣言の目的……枢軸国に勝利する
日独伊三国同盟の目的……連合国に勝利する
(日本にとっては、中国やアメリカへの勝利を意味する)
B:時期
連合国共同宣言が署名されたのは1942年、日独伊三国同盟の設立は1945年です。
両方とも1945年に失効しています。1945年は第二次世界大戦が終戦した年ですね。
C:戦争
連合国共同宣言と日独伊三国同盟に関連する戦争は、第二次世界大戦です。
連合国共同宣言の加盟国を中心とした「連合国」と、日独伊三国同盟を中心とした「枢軸国」が対立し、さまざまな国を巻き込んだ大規模な戦争へと発展しました。
北大西洋条約機構(NATO)
第二次世界大戦後に設立し、現在でも続いている軍事同盟を紹介します。
まずは北大西洋条約機構(NATO)からです。
北大西洋条約機構(NATO)の構図は、まさに戦後の東西冷戦そのもの。
東西冷戦とは、アメリカを中心とした「資本主義国(西側諸国)」と、旧ソ連を中心とした「社会主義国(東側諸国)」の対立のことです。
そして、冷戦状態のなか設立した西側諸国の同盟が北大西洋条約機構(NATO)です。
ちなみに東側諸国でもワルシャワ条約という同盟が結ばれましたが、中学受験では参考程度に押さえておけばOKです。
A:目的
北大西洋条約機構(NATO)の目的は、かなりシンプル。
東側諸国(旧ソ連など)の脅威に対抗することです。
つまり、旧ソ連が軍事攻撃を起こさないようにする、そして万が一戦争になったら加盟国同士が協力する、というのが目的ですね。
B:時期
北大西洋条約機構(NATO)の設立は1949年です。第二次世界大戦が終戦した1945年から、少したったくらいの時期ですね。
東西冷戦は戦後から始まったとされているので、北大西洋条約機構(NATO)も冷戦と同じタイミングで設立した、というイメージをもっておきましょう。
C:戦争
北大西洋条約が発動したことで、軍事的な行動につながった例はいくつかあります。
特に代表的なのが、2001年に起きた「アメリカ同時多発テロ」です。アメリカが攻撃されたことで北大西洋条約が発動しました。
日米安全保障条約
最後は、日米安全保障条約です。
日本とアメリカで結ばれた条約で、2024年現在も続いています。
日本国憲法第9条に定めがあるとおり、日本は軍隊をもたない国です。
ただし他国から攻められたときは防衛をしなくてはいけないので、自衛隊という組織はもっています。
とはいえ自衛隊だけでは、ほかの国からの侵略に十分に対応できるか心配……。
一方のアメリカにとっては、日本にアメリカ軍を駐留させることで日本を含む東アジアの安全保障に対応しやすい。
こうした思惑もあり、日本とアメリカのあいだで日米安全保障条約が結ばれているのです。
A:目的
日米安全保障条約の目的は、日本に対する他国からの侵略を抑止すること。
また、日本を含む「東アジア地域の平和維持」という大きな目的もあります。
B:時期
日米安全保障条約の締結は1960年です。
実際には戦後直後の1951年に締結されていましたが(旧日米安保条約)、1960年に内容が変更され、新しい日米安全保障条約が締結されました(新日米安保条約)。
1960年といえば、日本が戦争から復興を果たしていたころ。そのため、日本が再び戦争に巻き込まれることを恐れた学生などが反対運動(安保闘争)を起こしていましたが、こうした反対を押し切るかたちで安保条約が締結されました。
ちなみに1951年は、第二次世界大戦の講和条約である「サンフランシスコ平和条約」が締結された年ですね。
C:戦争
日米安全保障条約の発動によって軍事的な行動が起きた戦争は、2024年時点ではありません。
1945年の終戦以降、日本は他国との争いを一度もおこなっていない、ということです。
まとめ
歴史の教科書にときどき登場する軍事同盟について、今回はその全体像をベースに、それぞれの同盟についてわかりやすく解説しました。
中学受験では、まずは次の7つの軍事同盟を押さえましょう。
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それぞれの同盟について、加盟国はもちろん、同盟が結ばれた背景や構図、3つのポイント(目的・時期・戦争)も一緒に理解することで、本番の中学入試に対応する力が身につきます。
今回紹介した内容を、ぜひ参考にしてみてくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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