連載 好奇心を育む東大式子育て

中学受験で培いたい、合格に必要な「学力以外の力」|自信をつけて伸びる子に! 好奇心を育む東大式子育て

2022年1月11日 橋本拓磨

好奇心と自信を持つ子はどう育つの? 『10歳からの東大式勉強術入門』の著者・橋本拓磨さんが、中学受験を視野に入れる保護者さんのために解説します。

中学受験で合格を勝ち取るには、知識を覚えたり解き方を身につけたりすることはもちろんですが、それ以上にさまざまな能力が求められます。そうした「学力以外の力」は、合格に必要なだけでなく、その後の勉強にもプラスに働いてくるので、ぜひ中学受験の勉強を通して身につけておきたいところ。今回はその「力」が何なのか、どう身につけたら良いのかをお伝えしていきます。

情報整理力

中学受験で必須となるのが、文中に出てくる情報や聞かれていることを整理して問題を解いていく「情報整理力」です。小学校のテストや問題集と比べ、中学受験で出題される算数の問題や国語の文章題などはいずれも条件が複雑で、漫然と読んでいるだけでは問題の意図を正確に把握することが難しいものとなっています。

算数であれば、小学校の授業では出てこないような複雑な速さの問題や、原価から定価を決めて、そこから何度か割引をして……という「割合」の計算を繰り返し行わせる問題など、いろいろな数字が出てくることになります。こうした「数字の情報」を問題文から正しい順番で読み取ることはもちろん、それらを自分でわかりやすいように図や表として整理できるかどうかが、問題の答えを導くためのポイントになっています。

国語の文章題でも、小説なら登場人物が増えてくることで、人物同士の関係性や心情・情景の描写が読み取りづらくなります。ここでつまずいて国語の点数が伸び悩むお子さんも多く、文章が長くなっても「描写されている情報」を整理できるかどうかが大事な点になってきます。

こうした「情報整理力」が中学受験で身についていれば、中学校以降どんどん複雑になっていく勉強において確実にプラスに働きます。

メタ思考力

一方、こうした情報整理だけでは解けない問題も中学受験では多く出題されます。とくに算数の図形の問題などは、問題文を読むだけでは正解にたどり着けないので、いろいろな視点から問題の解き方を探っていく必要があります。

さらに社会は、歴史年表や地理の統計情報など、覚えることもどんどん増えてきます。「暗記さえしてしまえばいいんだから、とにかく何度も解いて覚えよう」となってしまいがちですが、それだけでは覚えきれず、どうしても丸暗記になってしまって実際の入試で思い出せなかったりします。こうした暗記分野では、全体の流れや共通点などから分類して紐付けて暗記していくことで、覚えやすいだけでなく正誤問題なども解きやすくなります。

たとえば歴史であれば「江戸時代の歴史を大きく3つの時代に分けて、それぞれ制度・経済・文化を覚えていこう」と方針を決めます。このように、全体の歴史の流れに事象を紐付けて覚えていくことで、暗記にかかる時間も短く済み、忘れにくくなります。

地理分野ですと「みかんは暖かい山の斜面、りんごは涼しいところで育ちやすいから、みかんは海沿いで気温の高い愛媛や和歌山・静岡、りんごは気温の低い青森や長野の生産量が多い」のように「なぜその地域での生産が盛んなのか?」というところから覚えていくことで丸暗記を避け、レベルの高い問題にも対応しやすくなります。

目の前の情報をただ鵜呑みにするのではなく、一歩引いた視点で整理したり、共通点を見つけて構成し直したりすることを「メタ思考」と呼びます。複雑な内容も一段上に登って全体を見渡せるようになれば、問題の対処もぐんと楽になりますし、覚えることが多くなっても苦戦しなくなります。

こうした「メタ思考力」も情報整理力と同様、勉強の難易度が上がるにつれて重要度が増すのはもちろん、普段の生活や社会に出てからの仕事の能力にも直結します。仕事を効率よくスムーズに進めるための段取りを決めたり、結果を分析して改善すべきところを特定したりといったことにも、メタ思考力が求められます。

これらの力をつけるためには?

ここまで紹介した学力以外の力は、いずれも中学受験を通じて培っておくことで、中学進学後はもちろん、大人になっても応用できます。それでは、こうした力は、がむしゃらに受験勉強に取り組んでいれば身につくものなのでしょうか?

結論から言うと、ただ受験勉強に取り組むだけでは身につきにくいため、勉強をする際に意識すべきことがあります。

それは「難易度の高い問題に丁寧に取り組む」ということ。なぜなら、そうした問題のほとんどが、今回挙げた情報整理力・メタ思考力が求められるものだからです。大抵の場合、解き方のなかにさまざまな考え方が組み込まれているため、こうした複雑な思考が求められる問題に何度も触れ、解き方を自分のものにしていくことで、結果的にさまざまな力を身につけることができます

逆に言えば、どれだけ勉強をしていても、問題を解きっぱなしであったり、途中で諦めてしまってばかりでは力がつきません。もちろん、お子さん自身で解き方をじっくり考え、自分なりに答えていく、”ひたむきさ”も大事ですが、それ以上に「こういうふうな解き方のほうがスムーズに解けるんだ」「この手の問題は図を書くとわかりやすいんだな」という“実感”を、解答・解説を通して得ることで、能力を高めていくことができます。

解答・解説をしっかり読み込んで考え方を真似る

  • 間違えた問題の解説を隅々まで読む
  • 正解していた問題も、違う解き方が解説に書かれていれば読む
  • たまたま正解していた問題もあるので要注意

勉強の基本は「いろいろな考え方を真似して自分のものにしていく」ことです。自分で解法を考えるときにも、自分がすでに知っているさまざまな考え方がベースになります。普段の勉強のときから、間違えた問題の解説を丁寧に読むことはもちろん、正解していた問題でも解き方に不安があれば解説を見直すこと、自分の考え方とどこが違ったのか照らし合わせることを、お子さんが丸付けをするときに心がけるよう、やり方をアドバイスしてあげましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

橋本拓磨
この記事の著者

小中高生向け個別指導塾「SUNゼミ」・大学受験学習塾「STRUX」塾長。東京大学法学部卒。地方トップの高校に首席入学、文系首席で卒業後、東京大学文科1類に現役合格。在学中より学習計画を立てて自学自習を指導する学習塾STRUXを立ち上げ、2020年からは小学生~高校生に向けた個別指導塾SUNゼミでさまざまな学年を対象に、勉強を通じた成功体験を提供できるよう指導している。著書『現役東大生が伝えたいやってはいけない勉強法』『10歳からの東大式勉強術入門』で東大生へのアンケートを実施し、勉強法・子育てのコツを発信している。