学習 連載 中学受験のツボ[理科編]

【小6理科/てこと力のつりあい】支点を決めて、てこの計算を攻略しよう|中学受験のツボ[理科編]

専門家・プロ
2022年7月30日 ヤジマ先生

保護者向けに中学受験の4教科のツボを解説。 理科編伊丹龍義先生山崎翔平先生ヤジマ先生が担当します。
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国語算数社会

今回のテーマは「てこの計算」です。

単純な「てこ」だと答えられても、おもりやバネばかりなどがゴチャゴチャついてくると、混乱してしまうお子さんが多いです。

でも、一見すると複雑そうな計算問題も、考え方を変えれば解決できるんです。その方法を、一緒に見ていきましょう。

モーメントを理解しよう

まず、てこの問題を考えるうえで重要な考え方は、「モーメント」というものです。

「棒を回転させる働き」とも言います。

これは「支点からの距離×重さ」で決まってきます。

支点からの距離や重さは目に見える具体的な量ですが、モーメントは架空の数字なので、慣れるまでは少し厄介かもしれません。

モーメントを理解するために、次の【図1】のてこのつりあいを考えてみましょう。棒や糸の重さは無視できるとします。

【図1】

てこの問題を解くうえで重要なことは「支点を決めること」です。

支点が定まらないと、支点からの距離が求められないので、まず最初に支点を決めます。

この図をもとに、お子さんに「支点はどこ?」と聞いてみましょう。

おそらく、ほとんどのお子さんが「天井と棒をつなぐ点C」と答えると思います。

その答え自体は間違ってはいません。

ただし、それはてこを道具としてとらえた場合です。どういうことかというと、たとえば(道具としての)和ばさみの支点の場所はどこですか? と尋ねられた場合は、下の図で示した以外を答えてしまったら、それは不正解になります。

でも、純粋な計算問題としてみた場合は、支点に決める部分はどこでもよいんです。

純粋な計算問題としてみた場合、本当に支点はどこでもよいのか……、【図1】を題材に支点の場所を変えて確認してみましょう。

支点を点Cにした場合

点Aで反時計回りのモーメント、点Bで時計回りのモーメントが発生するので、

反時計回りのモーメント:30cm×20g=600
時計回りのモーメント:10cm×60g=600

支点を点Aにした場合

点Cは20gと60gのおもりを支えているので、合計80gの力がかかります。
点Cでは反時計回りのモーメント、点Bでは時計回りのモーメントが発生するので、

反時計回りのモーメント:30cm×80g=2400
時計回りのモーメント:40cm×60g=2400

支点を点Bにした場合

点Aで反時計回りのモーメント、点Cで時計回りのモーメントが発生するので、

反時計回りのモーメント:40cm×20g=800
時計回りのモーメント:10cm×80g=800

このように、どこを支点にしても、反時計回りのモーメントと時計回りのモーメントが釣り合っていることがわかりますね。

問題を解いてみよう

支点の決めかた

純粋な計算問題としてみた場合、「支点は自由に決めていい」。この考え方を応用すると、一見すると複雑そうな問題でも、解法の糸口が見えてくるケースが多いです。

「自由に決めていい」というと聞こえはいいですが、何も方針がないと、結局どこを支点にすればいいか、逆にわからなくなってしまいそうですね。

ズバリ方針は「重さのわからないところを支点にする」です。

モーメントの計算では、支点に決めた点にどんなおもりやバネばかりがつるされていても、その支点からの距離は0cmですので、モーメントが0になります。

そのことを利用すると、重さのわからないところを支点に決めることで、わからない数字を減らすことができます。次の問題で練習してみましょう。

練習問題

問題:重さの無視できる長さ50cmの棒を、図のように2本のバネばかりC、Dを用いて天井からつり下げ、棒の両端A、Bにおもりをつるしたところ、棒は水平になりました。Bにつるしたおもりの重さは何gですか。

はじめに考えるべきことは……そう、支点をどこにするかです。

ポイントは「重さのわからないところを支点にする」でした。

なので、重さのわかっていないAかBを支点にするのが正解です。

仮に支点をCかDにしてしまうと、モーメントを計算するときにAもBもわからず、不定方程式のようになってしまうわけですね。

では、ここではAを支点に考えてみましょう。

点C,Dで反時計回りのモーメント、点Bで時計回りのモーメントが発生するので、

反時計回りのモーメント:20cm×120g+40cm×60g=4800
時計回りのモーメント:50cm× B g=4800

よって、B=4800÷50=96gとなります。

今回は棒の重さを考えませんでしたが、棒の重さがあったり、太さが一様ではない棒であったりしても、手順は全く同じになります。

重さのわからないところを支点にすることで、難問を攻略していきましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

ヤジマ先生
この記事の著者
ヤジマ先生 専門家・プロ

現役塾講師。自身も中学受験を経験し、私立本郷中高、東京工業大学工学部建築学科を経て、現在大手進学塾で中学受験の理科・算数や最難関選抜ゼミを東京・神奈川で担当。新人研修や社内研修も担当し、人材育成や教材作成にも携わる。指導方針は「頑張る君の1番の味方」。努力を継続する事のやりがいや楽しさ、時には厳しさを子ども自身に経験させ、自立を全力でサポートする。また、理科では「絶対に理科嫌いにさせない」をモットーに授業を実践。学生時代はサッカーやバンドに熱中し、作詞作曲経験もある。