中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

テスト勉強はいつやるのが一番良いの?―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2022年11月30日 菊池洋匡

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自ら伸びる力を育てる学習塾「伸学会」代表の菊池洋匡先生がおくる連載記事。「親子で楽しく試行錯誤することで、子供が伸びる」ということを、中学受験を目指す保護者さんにお伝えします。

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です

最近、教え子たちから「テスト前に勉強したら良い点が取れて嬉しかった」という報告がいくつかありました。

私の指導を受け始めてから半年以上経っている子たちです。

「だから前からそう言ってたじゃん!」と言いたくなるところをグッとこらえて、「良かったね!次も頑張ろう!」と応援しています。

人が変化するのには時間がかかりますよね。

あなたも焦らず、お子さんを気長に見守ってあげてください。

自分でやろうと決めて頑張った方が、親や先生に言われて嫌々やるよりも成果に繋がります。

 

さて、今回のテーマは「テスト勉強っていつやると良いの?」です。

同じ勉強量でも、やるタイミングによって成績に大きな差が出るのはご存知ですか?

それこそ記憶に残る量が倍以上違うなんてことが平気で起こるのが、脳の働きの面白いところです。

どうせなら要領よく効率よく勉強して成績を上げていきたいものですよね。

そこで、今日は効果的な「勉強のタイミング」についてお話していこうと思います。

「直前つめこみ型」はNG!人間の脳の仕組みを理解しよう

冒頭でお話しした「テスト前に勉強したら良い点が取れた」ですが、実はこれはとても学習効率が悪いやり方です。

子どもが陥りがちな間違いで、しかも真面目な子でもやりがちなので要注意。

なぜなら、人間の脳は「直前つめこみで覚えたものは、すぐに忘れる」という性質があるからです。

「テスト前にあわてて覚えて、それをテストで吐き出す」というような勉強のやり方は、正に「直前つめこみ」の典型です。

こういったやり方をしていると、その目先のテストでは点数が取れるかもしれません。けれど、広い範囲から出題される「組み分けテスト」や「公開模試」は久しぶりに見る問題も多く、子どもは解き方をすっかり忘れていて、酷い成績を取ってしまうのですね。

この人間の脳の仕組みを知らないと、

「マンスリーテストでは良い偏差値が取れるのに、なぜ組み分けだと偏差値が下がるの?」

「カリキュラムテストでは良い偏差値が取れるのに、なぜ公開模試だと偏差値が下がるの?」

といった悩みを抱えることになってしまいます。

本人は頑張っているつもり。

実際に頑張ってもいます。

でも「正しく」頑張っていないから、成果に繋がらない。

もったいないですよね。

ですから、成果に繋がる正しい勉強法を教えてあげなければいけません。

テスト前、いつ頃勉強するのがベスト?

まずは家庭で実際にトライ!

では、「直前つめこみ」を変えていくにはどうしたら良いでしょうか?

それはやはり、日ごろの勉強でいろいろとやり方を変えて、良い結果になるのはどれかを確認していくしかありません。

例えば、どこの塾でも「漢字テスト」が授業であると思います。「当日のテスト前」「前日」「三日前」「一週間前」と、どのタイミングで勉強すると一番点数が取れるかを比べてみてください。

そうすると、同じ勉強量であれば、おそらく「当日のテスト前」か「前日」に勉強した方が良い点が取れるでしょう。

では、2~3週間経ってからもう一度同じテストをやってみたら、どれくらい覚えているでしょうか?

きっと「三日前」か「一週間前」に勉強した時の方が点数が高くなるはずです。

授業での漢字テストではなく、マンスリーや組み分けで良い点を取ろうと思うなら、どちらのタイミングで勉強した方が良いかはおのずと決まってくるでしょう。

苦手科目のテスト勉強は、間を空けない方が吉

ただし、原則としては「時間を空けて勉強する」方が良いのですが、どれくらいがちょうど良いのかは科目によって、人によって、変わってきます。

私も、実際に塾生たちに違いを体験してもらいました。

すると、苦手科目はテストまで間を空けずに勉強した方が、成績が良くなる傾向がありました。

時間を空けるとすっかり忘れてしまって、それはそれで良くないんでしょうね。

そして、成績が良い子ほど、長く時間を空けても大丈夫でした。

ですから、あなたのお子さんにとってベストなテスト勉強のタイミングは、試してみないとわからないのですね。

子どもにとってベストなタイミングを知り、効率良く成績UP

あらためてお伝えしますが、良いタイミングで勉強するかどうかで記憶に残る量は大きく変わります。

要領よく勉強して、短時間で成績を上げるために、あなたのお子さんのベストなタイミングを探していきましょう。

各科目それぞれでデータを取りながら試行錯誤してみてくださいね。

 

なお、「テスト前にあわてて勉強」でも、「何も勉強しないでテストを受ける」よりはずっとマシです。

あなたのお子さんが「まずはテストの前に勉強しよう」が目標という段階でしたら、「直前つめこみ」でも「そんなやり方はダメだ」と否定したりしないようにお気を付けください。

まずは一歩前進したことを喜び、お子さんの努力を認めてあげることから始めてくださいね。

そして次のステップとして、「もっと良いやり方があるよ」と教えてあげましょう。

スモールステップで、少しずつ導いてあげるのがポイントです。

それでは。

※記事の内容は執筆時点のものです

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