中学受験ノウハウ 連載 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

一度はうまくいったのに…挫折を経てたどり着いた「勉強のルーティン化」秘訣は親の理想を手放す勇気だった!―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる

専門家・プロ
2022年11月09日 菊池洋匡

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自ら伸びる力を育てる学習塾「伸学会」代表の菊池洋匡先生がおくる連載記事。「親子で楽しく試行錯誤することで、子供が伸びる」ということを、中学受験を目指す保護者さんにお伝えします。

こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です

11月に入りましたね。

入試まで残り100日を切り、子供達も残り時間を気にするようになってきました。

人間に与えられる時間は、誰しも同じ「1日24時間」。

しかし、受験生に残された「勉強時間」は決して平等ではありません。

1日に3時間勉強する子と1時間しかしない子では、残り100日の間に200時間分も学習量に差がついてしまいます。

お子さんにはできるだけ早い段階から、時間の有限性と上手な時間の使い方を教えてあげてくださいね。

……ということで、今回の記事では、私のオンラインサロン「中学受験同好会」に共有された、「学習のルーティン化による時間の有効活用」の成功事例をご紹介しようと思います。

今回の事例は、まさにこの連載のテーマである「試行錯誤」そのものです。

万人に効果的で、苦労なく簡単に成績を上げてくれる「魔法の杖」は残念ながら存在しません。

本を読んだりネットを検索したりして、良いとされる方法を我が子に試してみても、それが我が子に効果があるとは限りません。

あなたにもきっと、そんな、うまくいかなかった経験がいくつかありますよね?

でも落ち込む必要はありません!

「みんな同じようにうまくいかなくて苦労してるんだ」

「試行錯誤することで、いつか合うやり方が見つかるんだ」

この記事を読んで、そんな勇気を持っていただければと思います。

「To DOの可視化」成功したように思えたが…

まずは、10月に配信したこちらの記事を読んでみてください。

お子さんの「やる気スイッチ」をONにするため、宿題や自主学習などやるべきことを可視化した小2保護者の話です。

しかし、こちらの取り組みがうまくいったと思ったのも束の間、1か月程度でできなくなってしまったそうです。

そこで、お子さんともう一度話し合い、改善策を模索しました。

学習に関係ない「面倒くささ」を簡略化

まず「どうしてやらなくなってしまったのか?」ということを聞いてみると、自分でホワイトボードに書くのが面倒だということでした。

そこで、ボードに手書きする手間を省くため、勉強の種類別のマグネットを作成したそうです。

これにより一時はうまくいきましたが、また2週間くらいでやらなくなってしまいました。

さらに話し合いを行うと、数種類のマグネットを使い分け、貼り付ける作業は面倒だと子どもが感じていることがわかりました。

そこで、計画は再見直し。

するとその頃には、やるべき宿題の全体像が、本人もわかってきたこともあり、自分で1週間の計画を立てて、それをあらかじめ印刷しておくというやり方で進めたい」という希望が子ども自身の口から出てきました。

そして、その印刷物に「宿題を何枚やったのか」だけをマーカーで書く形式にしました。

紆余曲折の結果、正答率がアップ!

このような経緯で勉強を毎日のルーティンにしたところ、黙々とこなすようになりました。

そして、やったことを数字で書くだけで済むため、計画立案する必要がくなり、子どもはとても気楽になったようです。

ストレスなく、毎日ルーティンをこなせる環境が整ったことで、朝ドリルの正答率アップという形で、効果があらわれてきました

取り組み前の平均点は76.5点でしたが、取り組み後の平均点は92点に。15点以上ものアップです。

主役は子ども!形にこだわらず、親の理想を捨てる勇気

親御さんは、「本当は『毎日何をやるのか』を考えた上で、計画を立ててほしかった」と語ります。

ですが、いちいち計画を立てることを思い切って捨て、お子さんが考えた計画を印刷し、ルーティン化を優先しました。

その作戦は見事にはまり、結果に繋がりました。

学習量が増える高学年になったら、臨機応変に計画を立ててもらうことに再チャレンジしたいと考えているそうです。

ホワイトボードに計画を書き込むやり方は、一度はうまくいったやり方でしたが、それがうまくいかなくなったときには、その形にこだわらずに本人の様子を見ながら形を変えていけたのも良かったですね。

学習のルーティン化。実現の秘訣は柔軟さ

ということで、10月に紹介した事例の後日談でした。

一時はうまくいっても、それがしばらくするとうまく機能しなくなってしまうことはよくあります。

「新鮮さがなくなり、つまらなくなる」「達成感が薄れていく」など原因はさまざま。

何だって習慣化されると、「嫌だな」「つらいな」といった気持ちを段々もたなくなり、当たり前に行動ができるようになってきます。

ただ、一方で、当たり前だからこそ面白さや嬉しさが薄れてしまうという面もあるんですね。

今回ご紹介したケースでも、慣れてくることで前向きな気持ちが薄れ、面倒くささだけが残ってしまったのではないかと思います。

ここで素晴らしいのが、同じ方法を無理やり継続させようとするのではなく、子どもの気持ちに寄り添って、余計な負担を軽くしようと取り組んだことですね。

そして、その結果として、勉強をルーティン化するというゴールにたどり着きました。

本来は「頑張ってルーティン化を目指し、ようやくたどり着くもの」なのですが、意図せずそこにたどり着いてしまったのが面白いなと感じました。

ルーティン化のおかげで、通い始めたばかりの頃は終わらせられなかった塾の宿題も、今は全部こなせるようになってきたそうです。

あなたのご家庭でも、こうした感じでお子さんの意見も聞きながら、良い勉強への取り組みができるようにしてあげてください。

そして、しっかり勉強時間を確保できる子に育てていきましょう。

それでは、今月も試行錯誤、頑張ってくださいね。

※記事の内容は執筆時点のものです

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菊池洋匡
この記事の著者
菊池洋匡 専門家・プロ

中学受験専門塾 伸学会代表。開成中学・高校・慶應義塾大学法学部法律学科を卒業。算数オリンピック銀メダリスト。大学生時代にアルバイトで塾講師をはじめ、情熱を持って取り組むうちに、子供たちの成績を上げるだけでなく、勉強を楽しむ気持ちや困難を乗り越え成長していくマインドを育てる方法を確立。その後、15年の塾講師生活で生徒と保護者に「勉強には正しいやり方がある」ということを一貫して伝え続ける。著書に『小学生の勉強は習慣が9割 自分から机に向かえる子になる科学的に正しいメソッド』(SBクリエイティブ)『「やる気」を科学的に分析してわかった 小学生の子が勉強にハマる方法』(秦一生氏との共著、実務教育出版)『「記憶」を科学的に分析してわかった 小学生の子の成績に最短で直結する勉強法』(実務教育出版)。

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