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受験直前、たぶん打たれ弱い娘に、どこまで算数の苦手対策をやらせていいのでしょうか。|下剋上受験 桜井信一の中学受験相談室

専門家・プロ
2022年12月19日 桜井信一

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『下剋上受験』でおなじみ、桜井信一さんが中学受験を考える親御さんのさまざまな悩みに答えます。今回は小6のお子さまをもつ親御さんから受験直前期についての相談です。

今回の相談

受験直前、たぶん打たれ弱い娘に、どこまで苦手対策をやらせていいのか悩んでいます。

娘はわりとすぐにクヨクヨする性格だと思います。一度「この問題はできない」と思うと、切り替えて次の問題に行く、ということができない(一応やってはいるのですが、どうも頭が切り替えられていない)ようで、模試でも、最初のほうにわからない問題があると、その模試は全体的にできが悪い結果になっているように思います。

算数はとくに点数の上下が激しいので、算数の苦手を、受験までに少しでも減らしてやりたいと思っています。

なのですが、苦手なところばかりやらせると、やはり自信がなくなるのか、勉強の進みがはっきりと悪くなります。本人もやらねばと思っているのか、「やりたくない」とか「やらない」とか言わずに、ぼんやりしてしまう、他のことを考えてしまうといったことが増えてきたような気がして、これは逆効果なのではと思い始めました。

熱血系の大手塾に通っており、冬休みが終わるまでは必死になって苦手をカバーしようと言われています。

それでいいのか、うちの子はもっと早く、たとえば「自信をつけるためにあえて得意な問題を解かせる」ようなことをさせるべきなのか、でも、本人がやると言っているのに、親が先にヒヨるのは、本人の努力を台無しにしてしまうことになってしまうのか……。

答えがない問題だとは思いますが、何かアドバイスいただけないでしょうか?

相談者:毒親になりたくない
お子さまの学年:小6


桜井さんの回答

毒親になりたくないさま、こんにちは。

いよいよ本番が近づいてきましたね。子どもよりも親の方が右往左往しているケースも多いと思います。

まず、「打たれ弱い」とのことですが、中学受験というのはまだ幼い小学生が参加する種目だということを忘れないでください。難しい問題に出会ったあと、すぐに切り替えることができるのは、結構いい加減な性格のお子さんが多いと思いますよ。しかも、切り替えたからといって次の問題が解けるわけではないですから、お子さんは普通の心理状態だと思ってください。

そのうえで具体的なお話を。

模試も入試も最初に計算問題が数問あり、次に小問が並びます。このパターンの入学試験が多いですから、受験する学校の過去問がそのスタイルになっているかをまず確認してください。

次に、計算問題と小問集合までで、100点満点中、何点あるか確認してください。仮に40点あるとします。合格者最低点が65点ならば、あと大問1つで届くかどうか。合格者最低点が60点の学校なら大問1つで届くでしょう。

このような明確な作戦が必要なのです。

ただし、これは、計算問題と小問集合を全問正解した場合です。ちょっと厳しいですよね。でも、いったんそこはお子さんには伏せておきましょう。まずは「いけるかも!?」と思うことから始めないと濃い作戦会議にならないのです。

逆に、制限時間に間に合うように頑張れという精神論、捨て問を見極めろという無茶振りは不要です。そもそも、難問だと判断してパスした次の問題がまた難問だったら余計にパニックになりませんか。小学生がうまく立ち回れるでしょうか。私は無理だと思いますし、パッとみて捨て問と判断できるなら相当な学力だと思います。

ここまでの話から、計算問題は全問正解したいと目標が明確になってきましたよね。さてどうするか? 

これから受験まで毎日計算問題を10問解くという方法では、全問正解は運次第で終わると思います。もっと具体的に考えるのです。計算問題を全問正解するために一番いい方法は、「解くスピードを落とすこと」です。これを受験までに心がけてください。

小問集合は、復習中心の学習では鉄板に近づきません。解けない問題があれば、解説をみて、もう一度なぞるように解いてみる。そして、一週間後にまた解いたりせずに、他の問題にあたりましょう。なぜなら、受験では「初見力」が必要だからです。どれもこれも初めてみるように見えてしまうドキドキの受験本番です。初見への慣れが度胸につながるのです。

それでも小問集合を全問正解は厳しいかもしれません。さて、合格者最低点まで何点足りないか。この点数を把握している親はほとんどいないと思いますよ。その時点でお子さんは大きくリード。その点数は大問で奪いに行くわけですが、(1)だけ解いて逃げるということをしてしまうと、時間が無駄になります。(1)だけといっても、大問の問題文を読まなければいけないわけですから、時間は過ぎているのです。ちょっとかじるようなことをせずに、大問をまるまる取りに行くように練習しましょう。それでも足りない、う~ん、困った……となるでしょう。それが受験です。

そのとき、国語、理科、社会の存在を思い出すのです。算数が60点なければ不合格なんていってません。こっちの不足を、こっちでうめてもいいよというのが受験です。油断してはだめですが、作戦として考えるのであれば、とても前向きな思考・姿勢だと思います。

どうでしょう? 「自信をつけるためにあえて得意な問題を解かせるようなことをさせるべきなのか、でも、本人がやると言っているのに、親が先にヒヨるのは、本人の努力を台無しにしてしまうことになってしまうのか……。」と悩むのは、ずいぶんと無策だと思いませんか。

心配ありません。ほとんどの受験生の親がそうでしょう。だからうちだけは、と考えるのが、中学受験の勝ち方だと私は思います。


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※記事の内容は執筆時点のものです

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桜井信一
この記事の著者
桜井信一 専門家・プロ

オンライン塾「下剋上受験塾」主宰。中卒の両親のもとで育ち、自らも中卒になる。 娘の下剋上のために一念発起して小5の勉強からやり直す。塾には行かず、父娘の二人三脚で偏差値を41から70に上げ、100%不可能とされた最難関中学「桜蔭学園」を目指した。その壮絶な受験記録を綴った『下剋上受験』はベストセラーに。 2017年1月には待望のドラマ化。学習講座「桜井算数教室」「国語読解記述講座」にはのべ2000人の親子が参加し人気を博した。2020年、オンラインの「下剋上受験塾」を立ち上げた。

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