中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

手間と費用と安全と……塾の送迎はいつまで必要?│ 中学受験塾のトリセツ#06

2023年2月14日 天海ハルカ

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小学生の塾通い。

送り迎えをしているご家庭が多いと思いますが、大きな負担を感じている保護者もいらっしゃるでしょう。

ただ、毎回塾まできっちり送り迎えをしなければ!と、過度に気負う必要はありません。

途中まで迎えに行く、ときどき迎えに行くなど、家庭によってさまざまです。

この記事では、塾の送迎はいつまですべきか、どこまですべきか、についてお話しします。

塾講師が見た送迎事情

塾の送迎についてひと言で表すなら「家庭によってさまざま」です。

塾の立地など、条件により実情は異なるかと思いますが、生徒の大半が電車通塾という塾に勤めていたときの印象でお話しすると、4年生頃からはひとりで駅から歩いて来ている生徒が多かったです。

帰る時間にはもう暗くなっていることもあって、3年生では、まだほとんどの親が塾までお迎えに来ていました。

4年生になると、塾の前までお迎えに来る保護者は半数くらいにまで減ります。

5年生からは子どもだけで電車に乗って帰る子のほうが多くなります。

6年生にもなると、子ども同士で電車に乗って帰る生徒がほとんど。お友達と一緒なら、保護者としても少しは安心できますよね。

送迎のメリット・デメリット

安心・安全のために保護者がなるべく毎回送迎を、というご家庭ももちろんあります。しかし、親としては負担が大きいのも事実です。

送迎の要不要に迷ったら、まずは送迎のメリット・デメリットを整理してみましょう。

メリット1:子どもと話す時間がとれる

大人も子どもも、意外と家ではじっくり話す機会がとれません。

その点、塾の送迎時間は家事も仕事もできないので、自然と会話の時間が生まれます。

普段、仕事で遅く帰る保護者ほど、この時間が大事になるかもしれませんね。

迎えに行って、そのまま外食をして帰る親子も多いようです。

塾の後に親と外食をしたのが楽しかったと、大人になっても覚えているという人もいます。

我が家の娘にとっても、外食は塾通いの楽しみのひとつになっているようです                 

また、塾へ送るときにその日のテストの練習になるようにと口頭で問題を出してみたり、帰りに授業の手ごたえなどを聞いたりと、勉強や塾の話をすることもできます。

頭が塾モードになっているときだからこそ聞ける話、というのもあります。

塾の行き帰りの時間に普段とは違うコミュニケーションをとれることは、ひとつのメリットといえるでしょう。

メリット2:塾や先生の様子がわかる

塾まで迎えに行くと、先生が子どもと接しているときの様子が見られます

塾にもよりますが、帰り際に先生とちょっとした話ができるなど、コミュニケーションが発生することも。

成績や授業の様子を聞くというほどしっかりした話はできなくとも、先生と子どもの関係が良好である場面を見るだけで安心できるでしょう。

ほかの生徒たちの様子も見えるので、その塾でどのくらいの保護者がお迎えに来ているかもわかりますよ。

デメリット1:兄弟の習い事との調整が難しい

兄弟がいて習い事をしている場合は、それぞれの送迎時間が重なってしまうことがあります。

上の子を塾へ送ったら、すぐに今度は下の子を習い事へ……休む時間もありませんね。

もちろん習い事以外にも、通院や下の子の就寝時間などで外へ出るのが難しいこともあります。

学年が上がると通塾回数が増えるため、送迎したくてもできないという家庭もあるでしょう。

デメリット2:経済的な負担が大きい

電車で送迎する場合は、電車代も無視できません。

塾まで1駅しかなかったとしても、週3日になれば親の往復電車賃だけで月に数千円かかってしまいます。

一度の出費はそれほど気にならなくとも、ちりも積もればと考えるとやはり財布が気になります。

塾だけでも出費が大きいため、できればその他の出費は抑えたいというのが本音ではないでしょうか。

送迎パターンはいろいろ

塾の送迎は「する・しない」の二択ではありません。家庭の事情に合わせてフレキシブルに変えていっても良いのです。

塾の送迎を負担に感じたら、子供の様子を見ながら、送迎パターンの変更、負担の軽減策を考えてみましょう。

参考までに、いろいろな送迎パターンを紹介します。

途中までの送迎にする

塾の目の前までお迎えに行かなくても、塾の最寄駅までは迎えに行くという保護者もいます。

我が家の場合も、5年生になった今も、繁華街である塾の最寄り駅までは迎えに行くようにしています。

もう少し手を放して、自宅の最寄駅まで迎えに行くという家庭も少なくありません

いっぽう、 数は多くありませんが、駅から家まで一人で帰る子ももちろんいます。

講習は送迎なし

ふだんは終了時間が遅い授業も、夏期講習や冬期講習などでは時間が早まります。

休日に行われるテストは、午前中に帰宅できることも。

明るい時間に帰れるなら送迎はなしにして、一人で通塾させても安心できることは多いでしょう。

仕事帰りに合流する家庭も

仕事の帰りに待ち合わせて一緒に帰るというケースもよく見かけます。

高学年は帰る時間が遅くなるため、時間も合いやすいようです。

仕事の都合で保護者が遅れてしまうからと、塾で少し宿題を進めてから帰る子もいました。

保護者の仕事にもよるので誰もができるわけではありませんが、時間を合わせられそうなら、お迎えではなく合流と考えて一緒に帰るのも良いですね。

送迎は家庭の事情に合わせて

「〇年生になったら送迎をしない」と決めつけてしまうのではなく、4年生頃から徐々に一人で通塾できるか試し、そこからは子どもと家庭の事情に合わせて送迎を決めれば良いのではないでしょうか。

送迎したくてもできないこともありますし、子どもが送迎を希望することもあります。

4年生で送迎なしも、6年生で毎回送迎するのも、全然おかしなことではありません。

できるときはする、できないときはしない、でも良いのです。

まわりは気にせず、それぞれの家庭の事情に合わせて、無理のない送迎を考えてみてくださいね。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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