中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

塾の復習をやりきれない!優先順位は?│ 中学受験塾のトリセツ#08

2023年3月14日 天海ハルカ

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塾の復習や宿題は時間がかかりますよね。

多くの塾では4年生から理科・社会が増えて通塾日も増えるため、やってもやっても終わらないという気持ちになってしまいますよね。

我が家では、塾で指定されたものすべてはこなせず、ある程度取捨選択をして、娘のできる範囲で進めています。

復習や宿題は「終わらせること」が目的ではありません。

目的は「実力をつけること」だと忘れず、優先順位の高いものから丁寧に進めたいものです。

この記事では、特に4〜5年生における塾の復習や宿題の優先順位についてお話しします。

科目ごとの優先順位は「算数→国語→理科社会」

どの科目も重要ですが、科目の最優先はやはり算数です。

「中学受験は算数で決まる!」とも言われるくらい、算数はしっかりと基礎からかためていきたい科目です。

算数を重要視する理由は大きく以下のふたつです。

  • 入試で配点が高く差がつきやすいから
  • 積み重ね科目のため、つまずくと苦手意識を持ちやすいから

まずは算数を重視し、計算力などの基礎を毎日積み上げながら単元ごとの勉強も進めていくのが良いでしょう。

次に優先したいのは国語です。4~5年生は基礎となる漢字や表現を蓄えつつ、さまざまな文章に触れて読み方を吸収します。

理科と社会は優先順位こそ低いですが、勉強した分、結果が出やすい科目でもあります。

授業についていくことを目標ラインとし、苦手ができないよう進めていくのが良いですね。

復習や宿題の優先度は「小テスト準備→直し→新しい問題」

復習や宿題で最優先すべきなのは「塾で指示された順番」です。

塾によってテキストもカリキュラムも違いますし、クラスによって指示を変えていることもあります。

塾から優先度を説明された場合は、必ずそれを最優先にしてください。

とくに指示がない場合は、毎回の小テストの準備を優先しましょう。

次は授業や小テストの直しです。

もう一度解いてみる、もしくは解説を読み込んで理解することで、解けなかった問題を解けるようにします。

授業でも手を付けていない新しい問題は、一番優先度が低いです。

小テストの準備→直し→新しい問題という優先順位は「短時間で得るものが多い効率順」ともいえます。

全部できるのが理想ですが、時間は限られているので効率的に進めましょう。

小テスト準備は「満点をとれる状態」を目標に

ここでいう小テストは、実力テストではなく範囲のある確認テストを指します。

たとえば国語の漢字テストや理科社会の用語テストなどのことです。算数では前回の復習として、簡単なチェックテストをする塾もあるでしょう。

このような範囲が決まっている小テストは、覚えられないものは覚えるまで何度も繰り返して練習し、満点を目標に勉強します。

小テストというかたちでモチベーションを上げてはいますが、これらは中学受験に必要な基礎力を身につけるためのものです。

基礎力は応用問題や演習問題を解くための前提となる力。

満点を狙う勉強をした結果、満点をとれないのは残念ですが、一度さらっと解いて終わりにしてしまうだけでは、もったいないですよ。

それに、基礎力が身につかないまま授業で演習が増える6年生になってしまうと苦労します。

小テストは復習しながら基礎力を固めるためのものなので、準備にはしっかりと時間をかけて取り組みましょう。

授業や小テストの直しは「次はできる」を目標に

授業や小テストの直しとは、間違えたところやわからなかったところをわかるようにする作業です。

たとえば算数の場合、計算ミスで間違えた問題はもう一度解いて答えが合えばOKです。

でも、解き方がわからなかった、公式がわからなかったという場合はそれを調べる作業が入ります。

間違った理由によって、必要な直し作業は変わってくるということです。

模範解答で見た正答を赤で書くだけでは「次」につながりません。

まったく同じ問題が再度出題される可能性はほぼないので、問題と答えを一致させるのではなく、解き方や考え方の理解ができるよう時間をかけて学び直します。

ただしこれは5年生までの話です。

6年生以降は、入試に向けて塾でも演習が増えてきます。

解く問題の量が一気に増えるため、じっくり直しをする時間はなかなかとれなくなってくるでしょう。

5年生まではしっかり時間をとって直しをしていた問題も、解答を確認し、納得できないわからないところだけを調べ直すくらいしかできなくなると思います。

 そのためにも、5年生までは直しを丁寧にやって、知識を定着させ解き方を理解しておくことが大事ですね。

新しい問題は「量より質」を心がけて

小テスト準備と直しだけで手いっぱいなら、新しい問題は手をつけられなくてもOKです。

特に6年生は、授業で新しい問題に嫌というほど触れるので、過去問以外ではわざわざ新しい問題に取り組む必要はないと言ってもよいくらいです。

新しい問題は解いただけでは身につきません。

問題を解き、わからないことを見つけ、その直しをすることで初めて新しい理解が得られます。

時間がない中で新しい問題に取り組むと、解いただけで満足してしまいがち。

採点や直しに時間がまわせず、時間をかけた割には吸収できるものが少ないというもったいない結果になってしまいます。

新しい問題に触れる場合は「量より質」を忘れてはいけません。

時間がとれるなら、ひとつずつ「解く→採点する→直す」のサイクルで進めること。時間をとることが難しそうなら、無理はしないで小テストや直しに時間をかけましょう。

宿題が多い場合は塾に相談してみても

優先順位を考えても小テストの準備で手いっぱい、授業の直しまでは手が回らないといった状態なら、塾に相談してみるのもいいと思います。

テキストごとの優先順位や、やらなくても大丈夫なところを教えてもらえるかもしれません。

ときには宿題の範囲を子どもが勘違いしている、ということもあります。

塾講師時代、とくに4年生の親御さんからは宿題の量が多すぎて手が回らないという相談もよく受けました。

こちらの記事でもお伝えしていますが、困ったときは塾に相談、という選択肢を持っておくと気持ちも楽になりますよね。

【まとめ】小テスト準備と直しをメインに進めよう

復習も宿題も、結果につながる進め方をしたいものです。

無理して詰め込むと頭に入らず、モチベーションも下がって逆効果になってしまいます。

スケジュールを管理する保護者としても大変ですよね。

優先順位が低いものは「時間に余裕ができたらやるもの」として、まずは小テストの準備と直しをメインにするとペースが掴みやすくなります。

続けるうちに子どもも同じ量をよりスピーディに済ませられるようになるので、慣れてきたら少しずつ量を増やしていくといいですね。

子どもの成長に合わせて少しずつ量を調整し、無理のない効果的な勉強を進めていきましょう。

この連載では匿名での質問を受け付けています。ぜひ、塾について、中学受験についての質問などを、こちらの質問受付フォームからお寄せください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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