中学受験ノウハウ 連載 我が子にぴったりの家庭教師の見つけ方・使い方

家庭教師はどうやって探すのが正解?ツール別のメリット・デメリットを検証 | 我が子にぴったりの家庭教師の見つけ方・使い方 #5

専門家・プロ
2023年10月18日 杉本啓太

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連載「我が子にぴったりの家庭教師の見つけ方・使い方」では、プロ家庭教師として活躍されている杉本啓太先生に、いい家庭教師を見つけるポイントは何かといった基本の考え方から、実際に家庭教師を探すにあたってどんなツールをどう使うのがおすすめかといった具体的な内容まで、くわしく解説いただきます! 水・土の週2公開で、全6回の短期集中連載です。

これまで4回にわたり、家庭教師を依頼する前の【下準備】についてまとめてきました。

いよいよ今回からは、「家庭教師を探す具体的な方法」についてお話ししていきます。

まずは、紹介というアナログな方法からSNSの利用まで、それぞれの探し方のメリット・デメリットを挙げていきましょう。どの方法も一長一短ありますので、「うちに合う探し方はどれかな?」と考えながら読んでみてください。

1.家庭教師センターや個別指導塾

家庭教師センターや個別指導塾を通じて家庭教師を紹介してもらう、という方法です。

[メリット]

  • センター・塾に希望を伝えることで先生を探してもらえるため、保護者の手間がかからない
  • 先生の変更など、直接言いにくいことをセンター・塾から代わりに伝えてもらえる

[デメリット]

  • 料金にはセンター・塾への手数料が加わるため、直接家庭教師に依頼するケースに比べて割高となる
  • どのような家庭教師が来るかは会うまでわからず、センター・塾任せとなる

学生家庭教師が多く登録している団体、社会人の専業家庭教師のみ登録している団体など、センター・塾によって特色や傾向が異なります。

事前に検討した「ご家庭が何のために家庭教師を依頼するか」を踏まえた上で、しっかりとホームページなどで確認するのが良いでしょう。

「この家庭教師にはここでしか会えない」は本当?

また、保護者からよく聞かれる質問として「センター・塾ごとに登録している先生は異なるのか?そうであれば、なるべく多くのセンターに当たった方が良いか?」という声があります。

私はこの点については

  • 担当者との相性やセンター・塾そのものの良し悪しがあるので、複数の団体を検討するのは良いこと
  • ただし「数多くの先生の中から検討したい」という理由なら、そんなに何ヵ所も比較する必要はない

と考えています。

家庭教師は、センターや塾に専属で「所属」しているケースはさほど多くありません。ほとんどが「業務委託」での契約です。

逆にいうと、同じ先生が複数のセンターや塾に登録していることも珍しくないということですね。賃貸の家探しと似ているかもしれません。私も昔、同時期に複数の家庭教師センターから、同じご家庭の指導依頼が来たことがあります。

そのため「この先生にはこの会社・この探し方でしか出会えない」というケースは少ないでしょう。「なるべく多くのセンターや塾に問い合わせなければ」と心配される必要はないと考えます。

2.マッチングサイトや掲示板など

マッチングサイトや掲示板などでご家庭が家庭教師を探したり、募集したりする方法です。家庭教師と直接連絡を取る段階、あるいは成約の段階で、マッチングサイトに一定の仲介料を払う形が多いです。

[メリット]

  • 所属や学校、年令など、条件による指導者の検索が容易
  • 個人でHPやSNS運用をしていない学生家庭教師などが登録しているケースが多く、またサイトへの料金も初回の仲介料以外は発生しない場合が多いため、指導料を安くすることができる

[デメリット]

  • 指導者が登録するときのハードルが低く、どのような家庭教師かは他の探し方以上に会ってみるまでわからない
  • 個人契約のため、指導者に何か伝えづらい内容を伝えたいことがあるとき、直接連絡する必要がある

3.家庭教師への直接依頼(HPやSNSなど)

家庭教師が発信している情報をリサーチして、直接依頼する方法です。

[メリット]

  • HPやSNSを調査することで、家庭教師への理解を深めてから依頼できる
  • 直接会う前に、メールやメッセージなどで本人とコンタクトを取ることができる
  • SNSの場合、ある程度の期間の幅をもって家庭教師の人となりや考えを見極めることができる

[デメリット]

  • リサーチのために保護者の時間と労力が必要
  • 家庭教師に何か伝えづらい内容を伝えたいことがあるとき、直接連絡する必要がある

4.友人、親戚など知人からの紹介

知り合いから紹介してもらう方法です。

[メリット]

  • 実際の指導の感想や人柄など、定性・定量の両面で、事前に多くの具体的情報が得られる
  • 紹介者がお子さんを知っている場合、「この子には合うと思う」など、相性面も考慮したアドバイスを受けられる

[デメリット]

  • 紹介してもらうためのコネクションが必要
  • もし指導者との相性が悪かった場合、ご家庭によっては紹介者に気を遣うため途中で断りづらいことも

メリット・デメリットのまとめ

まとめると、以下のようになります。

それぞれの特徴はあくまで傾向であり、「この探し方はかならずこのメリット・デメリットがある」と決まっているわけではありませんが、探し方を検討されるご家庭の参考になればと思います。

ちなみに、家庭教師の「質」、つまり指導力や学習計画の作成能力などについては上記の比較表には含めませんでした。理由としては、そのような能力は相性などもあり一概に傾向を示すことが難しいからです。

また、同じ家庭教師に複数の探し方でたどり着けるケースもあり、「何を経由して出会ったか」と「指導能力の高低」は必ずしも連動しないためです。

ただ、それを前提として、あえて私の感じる点を挙げるとすれば

  • センターや個別経由の場合、センター・会社が面談を行っているため、最低限の指導力が担保はされる場合が多い
  • 多くのご家庭に支持される能力を持つ家庭教師の場合、直接・紹介の依頼で指導枠が埋まり、センター経由の案件は受けられる余裕がなくなっている可能性が高い

といった傾向はあるかと考えます。

実際に家庭教師を探すときのコツ

最後に、探し方に関わらず気を付けてほしい、家庭教師を探すときのコツをお伝えします。

それは「時間の余裕をもって探す」ことです。これは、良い(ご家庭に合う)家庭教師に出会える確率を上げる上で、非常に重要な要素です。

実際に探す時間を取れる

実際に探す時間を多く取れれば、より多くの家庭教師を調査できますます。

センター・塾経由であれば、複数の先生に体験指導を依頼し、比較することが可能です。また、SNSを利用してより多くの家庭教師を見つけたり、指導枠が空いていない人気講師のキャンセル待ちをする余裕を持ったりすることができます。

依頼する家庭教師候補について理解する時間を取れる

候補に挙がった家庭教師がご家庭に合うかどうかを十分に精査できる時間があれば、よりミスマッチを減らすことができます。

私が過去に依頼を受けたケースでは、

お子さんが小1の頃にお声がけいただき一度面談。家庭教師の利用や役割について意見交換

その後、年に1度くらい雑談や受験の予定、などについて情報交換

小4から実際に指導開始

というケースもありました。

このケースは「そもそも家庭教師を利用するかどうか」からの検討でしたし、少し極端な例かもしれません。

ただ、ここまで長期でなくても、一定期間にわたり家庭教師の発信情報を閲覧したり、コミュニケーションを取ったりすることで、その人物のスキル面・性格面の両方についてより理解を深めることができるのは間違いないでしょう。

指導開始後の具体的なイメージを持てるかどうかは、依頼する上で重要な判断材料になります。

まとめ

今回は、家庭教師の具体的な探し方についてお伝えしました。いかがでしたか?

さて、次回は連載最終回。「これだ!」という家庭教師が見つかった後、スムーズに学習を進めるために保護者さんができること・意識したいことをテーマにお話ししていきます。

それではまた!

※記事の内容は執筆時点のものです

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