6年生の後半で注意するべき落とし穴 ―― 親子のノリノリ試行錯誤で、子供は伸びる
こんにちは。中学受験専門塾 伸学会代表の菊池です。
急激に涼しくなってきましたね。
半袖のポロシャツで外に出たら肌寒く感じて、あわてて長袖の上着を取りに部屋に戻りました。
季節の巡りとともに、受験本番に近づいたことを感じさせられます。
今日はそんな受験に対しての緊張感が漂う時期に、受験生親子が陥りがちな失敗についてお話しようと思います。
良かれと思ってしたことがついつい逆効果になってしまう悲しい失敗パターンを3つお伝えしますので、やってしまわないように注意してくださいね。
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受験生親子が陥りがちな失敗パターン3つ
1.あれもこれも手を出し過ぎ問題
熱心な保護者さんは、ママ友パパ友や先輩ママさんパパさんから様々な情報を収集していることかと思います。
「あの冠講座良かったよ」
「この参考書を1冊仕上げたら入試本番もばっちり!」
「なかなか雇えないすごい家庭教師の先生がいるの」
こんなおすすめ情報が沢山耳に入ってくることでしょう。
おすすめしてくれた人は、きっと善意で教えてくれたはず。
それらの情報もきっと間違いではないのだと思います。
しかし、これらは扱いを間違えると薬ではなく猛毒になります。
人間は学習した内容を記憶に定着させるためには演習や復習が必要です。
それなのに、おすすめの講座を受講しまくり、おすすめの参考書を買い与えてやらせまくり、さらには個人指導で授業を受けたりしたら、演習・復習の時間が取れなくなってしまいます。
結果、いろいろやったけど何も記憶に残らなかったということになりかねません。
どれもやると良いことだとしても、全部やろうとすると害になることはあります。
受験の直前期には、あれこれ手を広げるのではなく、やることを絞り込むことを意識しましょう。
2.過去問やりっぱなし問題
トップクラスの成績をとっている子なら、「開成講座」「桜蔭講座」といった学校別の対策講座(いわゆる「冠講座」)が用意されていて、そこに通えばプロの先生が入試の傾向を徹底分析して作成したテキストで、しっかりと志望校対策をすることができたりします。
しかし、成績が真ん中あたりの子に関しては、特別講座とは名ばかりの通常の授業の延長のような内容になっていることもしばしば。
ですから、自分の志望校の対策は自分でしなければいけません。
そう、過去問演習が大事になってくるのです。
しかし、通常の授業の宿題をこなしながら過去問をやるのは時間的になかなか大変なものです。
ついつい間違えたところの解説を読み込んだり解き直しをしたりといった一番大事な作業がいい加減になりがち。
しかも、過去問は10年分やれ、いや20年分だ、何て話を聞かされたりすると、数をこなすことに追われてますます直しが雑になったりもします。
こうなってしまうと、時間を割いて勉強しているつもりが、結局何一つ身になっておらず、ただただ疲労と無力感が募るばかりなんてことになります。
とてももったいないですね。
実際に私が経営する伸学会でも、そうやって過去問の数をこなすことが目的化してしまって、力が全く伸びずに受験を迎えてしまったご家庭がかつてはありました。
もちろん入試の結果は思わしくないものでした。
そうした結果を踏まえて、現在では秋の保護者会で過去問のやり方について念入りに説明をし、直しを徹底することの方がいたずらに数をこなすことよりも力につながるとお伝えしています。
解くことよりも終わった後を大事にして、丁寧な勉強を積み重ねましょう。
3.脅しや煽りで子どものやる気だだ下がり問題
徐々に入試が近づいてきて、親御さんには焦りが生まれる時期ですよね。
しかし、多くの場合子どもはまだ焦っていません。
それもそのはず、親と子では人生経験の量が圧倒的に違い、その結果先を見通す能力も大きく異なります。
大人である親は先が見通せる分だけ心配も募りますが、子どもの方は現実的な危機感が無く心配も少ないです。
このギャップが問題を引き起こします。
親は自分が焦っているのに子どもが焦っていないことにますます焦りを感じて、子どものおしりに火をつけにかかります。
「そんなんじゃ志望校に合格できないよ」
「受からなかったら○○中に行くことになるんだよ」
「どうせ受からないんだったら受験やめさせるよ」
そうやって煽ったり脅したりして、子どもに勉強をさせようと追い立てます。
これをすると、はじめは子どもの方もヤバいと思って勉強をするでしょう。
しかし、人間はこういう刺激には慣れていくようにできています。
そして、徐々に言われても動かなくなります。
集中力が低下し、やっているふりをしてごまかすようになり、勉強の効率がどんどん落ちて行ってしまいます。
良かれと思って言ったことが、子どものやる気を奪い、不合格へと導いてしまうのです。
これもまたとてももったいない状況ですね。
場合によっては、脅しがどんどんエスカレートしていき、教育虐待へと発展していくこともあります。
子どもに不安や恐怖を与えて勉強させるという方向性である限り、もっと勉強させるためにはもっと大きな不安や恐怖を与えなければいけなくなると思いませんか?
私は子どもを叩いて無理やり勉強させていた結果、子どもがついに限界を迎えて不登校・引きこもりになってしまったというお悩み相談を受けたことがあります。
子どもを包丁で刺して脅して勉強させていたところ、深く刺して殺してしまったという事件もありました。(名古屋教育虐待殺人事件)
こうした道をたどらないようにするためにも、子どもへの声かけはポジティブにすることを心がけましょう。
「このままじゃ落ちるよ」を「こうすると合格するよ」に言い換えていきましょう。
その方が、長期的に見れば勉強への取り組みが良くなりますし、親子で幸せな関係を築いていけますよ。
子どものためを思っての失敗を上手に避けて
以上、受験直前期にやってしまいがちな失敗3パターンでした。
どれも親御さんとしては子どものためを思ってしていることばかりです。
その気持ちはとても尊いものなのに、残念ながらその行動はマイナスの結果をもたらしてしまいます。
こうした失敗を上手に避けながら、受験までお子さんを導いてあげてください。
がんばってくださいね。
※記事の内容は執筆時点のものです
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