中学受験ノウハウ 連載 FP に聞く中受と教育費のキホン【最新版】

中学受験塾にかかる費用と出願費用はどれくらい? ―― FP に聞く中受と教育費のキホン【最新版】#3

専門家・プロ
2023年11月30日 川口裕子

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都内で私立中学に通う生徒の割合は4人に1人[※注1]。

私立・国立中学を合わせた中学受験者数は、ここ数年、最多を更新し続けています。

ひと昔前よりもグッと身近になった中学受験。では実際に「わが家も中学受験を目指したい!」と思ったとき、真っ先に気になるのがお金の話ですよね。

中学受験対策のための塾費用や出願費用は、どれくらい必要なのでしょうか?

ファイナンシャルプランナー・竹下さくらさんに、近年の傾向をうかがいます。

中学受験塾にかかる費用は必要経費

中学受験準備にかかる費用の中で最もウェイトを占めるのが「進学塾の塾代」といわれています。

というのも、中学受験の入試問題は、小学校の授業では習わないような知識から出題されることが多々あります。

私立中学を目指すなら、受験のノウハウがある塾通いは基本的にはマストになると考えておくべきでしょう。

塾費用は3年間でおよそ250万円

塾には、4年生(カリキュラムのスタートは、3年生の2月スタート)から6年生の1月までの約3年間通うのがスタンダード。

竹下さんによれば、大手受験塾の場合、長期休み期間の特別講習費を含めるとその費用は3年間で250万円近くになるとのことです。

「入塾した年の月謝は3万円程度で、特別講習費などを含めると年間40~50万円学年が上がると共に、塾の費用も上がっていきます。

5年生になれば授業は週3日、ここに特別講習などを含めた費用が加わり年間70~80万円に。

6年生の後半にもなると授業は週4日にまで増え、特別講習も多くなります。さらに受験費用を加味すると6年生は年間で120万円はかかる計算です」(竹下さん)

大手受験塾にかかる費用の目安

特別講習を受けるかどうかは各家庭の任意ですが、竹下さんによれば「特別講習を受けないという選択肢は、とても難しい」とのこと。

「長期休み前に実施される塾の保護者会では、特別講習の重要性が説明されます。長期休みは学力を伸ばす大きなチャンスですし、特別講習の受講は必須と考える保護者のほうが多いはずです」(竹下さん)

塾費用以外にかかる費用

塾に通うとなれば、塾の授業料以外の出費も考えなければなりません。

まず挙げられるのが交通費。通いたい塾が自宅の近くになければ、バスや電車を利用して通塾させなければなりません。

また、塾に通う日の夕食代も経費として考える必要があります。

塾の授業終了時刻は21時を過ぎることもしばしば。成長期の子どもにとって、家に帰るまで夕食をとれないのは酷なことかもしれません。

「教室内ではお弁当を食べられない塾もあるので、子どもを塾に迎えに行った帰りに、親子で外食をするというパターンをよく聞きます。

多忙な共働き家庭の場合、お弁当を作るよりも、外食のほうが時間も手間もかからずタイパが良いと考える方もいらっしゃるはず。

塾にまつわる外食代は、親子2人分の費用を想定しておいたほうがよいでしょう」(竹下さん)

個別指導塾・家庭教師の併用

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竹下さくら

竹下さくら

  • 専門家・プロ

1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP®。損害保険会社・生命保険会社勤務を経て、1998年にファイナンシャルプランナーとして独立、現在に至る。個人向けのコンサルティング業務を主軸に、セミナーでの講演、新聞や雑誌等への執筆活動など幅広く活動中。二児の母。主な教育資金関連の著書に、『「教育費をどうしようかな」と思ったときにまず読む本』(日本経済新聞出版社)、『緊急対応版「奨学金」上手な借り方 新常識』(青春出版社)、『親と子の夢をかなえる! “私立"を目指す家庭の教育資金の育てかた』(近代セールス社、共著)、『書けばわかる!わが家にピッタリな住宅の選び方・買い方』(翔泳社)がある。

川口裕子

  • この記事の著者

ライター。私立中高の受験専門誌がライターとしての出発点。現在は大学や企業取材を中心にノンジャンルで執筆活動を行っている。編集プロダクションクレア所属。