中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

入塾テストは何が出る? 準備はすべき?│ 中学受験塾のトリセツ#27

2023年12月12日 天海ハルカ

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中学受験のための塾に通うためには、入塾テストが課されることがありますが、何が出題されるのでしょう。

塾のホームページなどに過去の問題でもあれば対策できるのですが、残念ながら公開している塾はほとんどないのが現状です。

多くの塾では、授業での進度に応じた内容が出題されます。

塾の授業を受けていない入塾前の児童が完璧に解くことを期待されているわけではないので、なんの準備もせずに受けてみて、ありのままの実力を測るというのも手ではあります。

しかし、可能であれば準備をして、心構えもできた状態で入塾テストに臨み、ぜひ入塾したいんだというご希望もあることでしょう。

今回は入塾テストの内容と準備についてお話しします。

入塾テストの内容は塾内テストと同じことが多い

3年生までの入塾テストは、通常、算数・国語の2科目です。

4年生は塾や時期によって、算数国語の2科目と理科社会を含めた4科目に分かれます。

5年生以降はほとんどの塾で4科目です。

また、入塾テストというと入塾者専用のテストをイメージするかもしれませんが、実際は塾生と同じテストであることがほとんど

塾の進度に応じたテストを使い、現状の学力で塾の授業についていけるかどうかを測るということですね。

入塾テストの過去問は公開されていなくても、塾のカリキュラムは公開されていることが多いので、テスト範囲をイメージするために、テスト日までのカリキュラムをチェックしておくのも良いですね。

3年生までは塾と小学校の進度に違いはほとんどありません。

4年生以降は塾の授業がスピードを上げていくので、習っていない内容が出題されるケースもあります。

とはいえ家庭で先取りしてテストに備えるのは難しいですよね。

「こういう知らない問題が出る可能性があるけど気にせず、できる問題から解いていこう」という声がけに使うのが良いと思います。

入塾テストは小学校のテストとは違う

入塾テストは小学校のテストとはさまざまな点でまったく違います。

形式や解答のしかたが違う

問題用紙と解答用紙が別になっているなど、小学校のテストと形式が違うことが原因で本来の力が出せないことも。

形式だけでなく、解答のしかたも小学校とは違うことがあるので確認しておくと安心です。

学校ではクラスや先生によっては部分点がもらえるような解答が、入塾テストでは減点されることも少なくありません。

国語の記述問題と小学校の作文とではマス目の使い方が違うなど、意外な落とし穴も。

実は大手塾のSAPIXでは「解答のしかた」というWEBコンテンツが公開されています。

SAPIXの入塾テストだけでなく、中学受験に関連するテスト全般に通じることなので、SAPIX以外の塾を受ける場合も目を通しておくと役に立ちます。

テスト時間が長い

入塾テストは小学校のテストより時間が長く、集中力が試されます。

問題量も多いため、初めてだと感覚がつかめず、最後まで問題を解ききれない子が多いように感じます。

実際に我が家の娘も初めての入塾テストでは、大問一つがまるまる空欄だった科目がありました。

問題量と時間の感覚を養うための事前準備をしておいたほうが、実力を発揮し点数に繋げやすくなると思います。

入塾テスト前にしておきたい勉強は?

入塾テスト前にしておきたいことはまず、全科目共通で「解答方法」と「時間間隔」に慣れることです。

すぐに慣れるというものではありませんが、体験するとしないとでは大きく違うでしょう。

とはいえ、過去問があるわけではないので、市販の問題集を使ってテストのシミュレーションをするくらいしかできません。それでも、やるとやらないとでは違うと思います。

多くの問題集には目標時間が書かれているので、タイマーを使い、時間を守って解かせてみます

可能であれば、問題用紙と解答用紙が別になっているもの、一つのテストの制限時間が30分以上のものが良いですね。

普段使わない問題集で時間を計って解く経験は、小学校とはまったく違う問題に向き合うという点で、実際の入塾テストの練習になりますよ。

科目ごとの対策は塾によって、回によって内容が変わります。

完全な対策は難しいので、問題集などを使ってさまざまな問題に触れ、時間を計って集中して問題を解く経験が積めればそれでOKです。

その上で何を勉強すればよいか迷う人へ、科目ごとに確認したい内容を提案します。

算数は計算を

算数は基本的な計算問題を正確に解けるようにするのが重要です。

テストでいうと大問1の部分ですね。

小学校では習っていないものの出題されそうな分野を見つけてしまったときは、見なかったことにしましょう。

なんとか予習してテストに備えられないかと思ってしまうのですが、無理して頭に入れても実践レベルまでもっていくのは大変ですからね。

知らないものを無理に頭に入れるより、知っているものを点数に繋げる勉強をしたほうが効率的です。

四則演算、特殊算、図形など、すでに学んでいる内容を早く正確に解けるよう練習してください。

国語は漢字を

国語はすでに習っている漢字をじっくり学び直してください。

注目すべきは「漢字自体は易しいものの読み方が難しい」「意味が難しい」言葉です。

たとえば2年生で習う「弟」という漢字は「おとうと(弟)」という問題なら書けても「でし(弟子)」になると書けない子が増えるでしょう。

「ほそい(細い)」は書けても「こまかい(細かい)」は書けないなど、書けるはずの漢字で点数を落としてしまうのは悔しいですよね。

新しく漢字を学ぶのではなく、ぜひ勉強した漢字の知識を深めることに時間を使ってみてください。

理科は季節の知識を

理科は分野が多岐にわたるため、何を勉強すればよいか難しいところです。

苦手分野がはっきりしているなら勉強し直しておきましょう。

特になければ比較的出題されやすい植物、昆虫、動物の知識を復習するのが良いですね。

さらに星座も含めて、テストを受ける季節のものを中心に確認しておくと役に立つ可能性は高まります。

たとえば冬にテストを受けるなら、冬の星座や冬の植物などを見ておくということです。

実生活で目にする機会も多いので、勉強しやすい内容でもありますね。

社会は地名や人名を

塾では社会を地理、歴史、公民という流れで勉強します。

5年生の夏ごろに地理から歴史へと勉強内容が変わるので、入塾テストを受ける時期に合わせて勉強しておきましょう。

とはいえ歴史の勉強が始まっても、地理が出題されなくなるわけではありません。

歴史にも地理は関わってくるので、迷ったら地理の勉強をしておくのが無難と言えそうです。

また、地名や人名は基本的に漢字で書かなければいけません。

勉強していない漢字も多いため、苦手ならこちらも確認しておきたいですね。

情報を収集し、今ある知識の定着に努めよう!

入塾テスト対策にはまず、塾の資料やホームページから情報を集めます。

試験時間やカリキュラムなどを確認し、テストに備えましょう。

入塾テストは小学校のテストより時間が長く問題量も多いため、シミュレーションが大切です。

集中して実力を出し切るために、少しでも解き方や時間感覚を身につけておきます。

科目ごとの勉強は、すでに習ったことを正確に早く答えられるかどうかがポイントです。

新しく何かを勉強するより、今ある知識の定着に努め、テストで実力を発揮できるようにしたいですね。

良い結果が得られますように!

 

なお、入塾テストについてはこの記事でも解説していますので、よかったら参考に。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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