中学受験ノウハウ 連載 今一度立ち止まって中学受験を考える

わが子の家庭学習、これで大丈夫? 見極めポイントと取るべき対策|今一度立ち止まって中学受験を考える

専門家・プロ
2024年1月11日 石渡真由美

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塾には休まず通っているし、家では宿題もちゃんとやっている。それなのに、わが子の成績が上がらないのはなぜ?

そんな悩みをお持ちの親御さんは多いことでしょう。

うまくいっていないときには、必ず原因があります。

「成績が上がらないのは、わが子の力が足りないから」と嘆く前に、親としてやるべきことをやる。お子さんの成績を上げられるかどうかは、親の関わり方にかかっているのです。

成績が上がらないのは「やっていない」か「やり方が悪い」

「うちの子、こんなに勉強しているのにどうして成績が上がらないのでしょう? 国語の宿題だってちゃんとやっているのに、成績が上がるどころか下がる一方です」

こうしたお悩みは、私のもとにも毎年のように寄せられます。塾講師という立場上、保護者のお悩みには親身になってお答えしていますが、本音をつぶやけば、それは「やっていない」か「やり方が悪い」からですよ! というケースがほとんど。

私の塾では、国語の宿題に取り組むときは、必ず素材文を音読するように伝えています。音読のメリットはいろいろなところで言われていますが、まずきちんと読めているかを把握するのに、音読は最適です。言葉が詰まるとき、それはたいてい読み方が分からなかったり、言葉の意味を知らないから!

そういうときに、親御さんが気づいてあげられれば、「この言葉の意味、分かる?」と聞いてあげられるし、その意味を教えてあげることができます。また「分からない言葉は、一緒に意味を調べてみよう」と促すこともできるでしょう。

そうやって語彙力というものはあがっていくものです!言葉を知っていれば、国語はさほど難しい教科ではありません。国語が得意な子は、やっぱり言葉をよく知っています。「だからこそ」の音読が重要なのです。

ところが、「うちの子は国語の宿題をちゃんとやっている」とおっしゃる親御さんに限って、音読をさせていないことが多いのです。

中学受験のプロ講師である私が「まずは音読をするようにしましょうね」とアドバイスをしているのに、親御さんが忙しいことを理由にやっていないことが多い。親御さんに「パパやママが音読をしてください」と言っているわけではありません。やるのはお子さんで、親御さんはただそばで聞いてあげればいいだけです。仕事や家事に忙しくても、できないわけではない。

少し厳しい言い方となりますが、保護者の方が面倒くさがってやらないから、子どもの語彙力が伸びないのです。

成績が伸び悩んでいる子はノートを見ればたいてい分かる

成績が伸び悩んでいる子のノートは、板書がちゃんと取れていなかったり、面倒くさがって途中式や図を書かずにいきなり答えを出そうとしていたりします。

また、ノートを使わずに、テキストにそのまま書いている子もいます。塾のテキストはムダが出ないように作られているため、答えにたどり着くまでの思考の過程を書き残すための余白がありません。そこに無理やり書こうとしているので、当然字は小さくなります。小さい字は読みにくいし、読み間違えも起こりやすくなります。

それを防ぐために、私は「算数の問題を解くときは、テキストに直接答えを書かず、必ずノートを用意するように」と口を酸っぱくして言っています。

優秀な子のノートは、問題、式、図などが整然と書かれていて、とても読みやすいのが特徴です。字や数字は小学生らしく、決してキレイというわけではありませんが、汚いなりにもちゃんと解き方を書き残しています。

そういう子は、やっぱりケアレスミスが少なく、入試に強くなります。そのくらいノートの使い方は重要なのです。

だから、私は必ず生徒たちのノートを日々チェックしています。それができるのは、1クラス10人以下の少人数制塾というのもあるでしょう。大手進学塾ならそこまではしてくれません。

であれば、誰がするのでしょう?それは親御さんです。

お子さんのノートが答えだけしか書いていなかったら、ちゃんと式と図を書くように根気よく言い続けるしかありません。子ども自身で自然にできるようになるということはまずないので、親が手取り足取り教える必要があります。

でも、一度身につけておけば、定着します。はじめは時間と手間がかかるかもしれませんが、ここはしっかり向き合ってあげてください。

1週間の学習計画は基本的には親がやるべき

一般的に中学受験の準備は、小3の2月から小6の入試本番まで3年間かけて進めていきます。

受験勉強は毎日コツコツ取り組むことが大事です。基本的に学習スケジュールは親御さんが立てるようにしてください。中学生や高校生であれば本人にやらせるべきですが、小学生の子どもにはまだその力が備わっていないからです。

日々の学習スケジュールは「今日は算数の問題集をやる」といったざっくりとした内容でいいでしょう。「何時に」「何を」「どこまでやる」と細かく決めておく必要はありません。

ただし、やるべきことはメモに書いて、机の上に貼っておくようにします。そして、できたら塗りつぶす、シールを貼るなどすると、達成感を得ることができます。または、机の上に「今日はこれをやろうね」とテキストを積み上げておくのもいいと思います。そうやって、やることを明確にしておくと、スムーズにやり進められるようになります。

何をやらせればいいのか分からないという場合は、塾の先生に質問してみましょう。塾を上手に頼ることも、親御さんの大事な役割です。

正しい勉強のやり方をすれば、偏差値40台レベルから55までは簡単に上げられる

各塾では、その週の授業で習った内容がちゃんと理解できたかどうかを見極める確認テストや週テストがあります。

確認テストは、その週で習った単元の絶対におさえておかなければならない問題が出題されます。ですから、100点を取ることを目標に取り組むようにしましょう。

これができていないということは、解法や知識が定着していないことを意味します。安定した成績を取り続けるには、その週に習ったことはその週のうちに完結させることがポイントです。

以上のことを意識すれば、偏差値40〜45あたりで成績が伸び悩んでいる子は、簡単に偏差値50〜55レベルに上げることができます。要は、やるべきことをやっていなかったり、正しいやり方で勉強をしていなかったりして、伸び悩んでいただけに過ぎないからです。

ただし、偏差値55以上になってくると話は別です。すでに学習習慣が身についていて、正しい勉強のやり方をしている優秀な子たちがほとんどでしょうから、マラソンの上位争い同様にみんなが同じペースで走っている中で一歩前に出るのは、そうそう簡単なことではありません。

ですが、過去のお子さんと比べてみたら、できるようになったこと、分かるようになったことは確実に増えているはずです。順位や偏差値といった数字にはなかなか反映されないかもしれませんが、少しでも成長が見られたら「今回もよく頑張ったね」とお子さんの努力の過程に目を向け、労いの言葉をかけてあげてください。

まとめ

どんな子でも、子どもは可能性を秘めています。それを最大限に発揮できるように引き出せるかが、中学受験における親の役割です。

つまり、お子さんの成績を上げられるかどうかは、親御さんの関わり方にかかっているのです。まずは「やっていなかったこと」「やり方が間違っていたこと」を見直すことから始めてみましょう。

※記事の内容は執筆時点のものです

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