入学前の英語バナー
学習 連載 中高一貫校入学前に考えておきたい【英語】の話

中1生の多くは2学期で英語が嫌いになる! 英語力格差の現実と乗り越える方法|中高一貫校入学前に考えておきたい【英語】の話#2

専門家・プロ

0

小学校から中学校に進学するとき、学習面で気にかかるのが「英語」の授業。特に中高一貫校は、一般的な公立中に比べて授業進度が速く、中2の時点で中学3年分のカリキュラムを終えてしまう学校も珍しくありません。

—— 進学後に備えて英語を習わせたいけれど、中学受験の勉強で時間が取れない。でも、本当にこのままで大丈夫だろうか…

そんな不安を感じる保護者さん、中学受験ナビと一緒に子どもの「英語力」について考えてみませんか?

前回の記事では、英会話教室「イーオン」「イーオンキッズ」を展開する株式会社イーオンの堀田和江さん・岡村知子さんから、大学入試英語の改革をキーワードに「令和の英語教育」について教えていただきました。

連載2回目となる今回は、いざ中高一貫校への入学が決まった際、英語授業を受ける前に知っておきたい知識や心構えについて伺います。

中1の2学期が最初の関門

昔から、英語の授業において最初の壁は中学1年生の2学期といわれています。

「中1の1学期は小学校の英語授業の延長線のようなもの。小学校のときに『音声』として習ったものを『文字』として。『表現』として習ったものを『文法』として学習します。

さほどヘビーな内容ではないため、大半の生徒さんは楽しく授業を受けられるのですが、2学期になった途端に『英語なんて大キライ』とつまずいてしまう子が出てきてしまうのです。」(堀田さん)

早い段階で英語へ苦手意識が付いてしまうと、それ以降なかなか浮上することができないのも特徴のようです。

「英語は積み重ね式の科目。一度分からなくなってしまうと、その後ずっと引きずってしまうんですね。

1つ何かの単元でつまずいただけで、気が付くと授業で先生の言うことがまったく分からない……なんて事態になることも珍しくありません。

特に、中高一貫校の英語の進度はとても速いです。一般的な公立中学で3年間かけて学習する内容を約2年で学習し、その中でも速い学校では中学2年生の後半から高校範囲の学習が始まります。

定着が追い付かないまま次々と新しい単元に進んでいくため、そのスピード感に付いていけない層が一定数いるのは事実です。」(岡村さん)

「英語力の差」はあって当たり前

小学生時代に英語に関する習い事や経験をしてこなかったご家庭、中学受験の勉強のため英語教育はお休み中というご家庭にとって、少々不安に感じてしまうお話ですよね。

一方で、教育熱心なご家庭が多い中高一貫校では、幼少期から英語学習を継続してきた生徒さんもたくさんいます。

では「英語が得意・英語が好き」な子どもたちとそれ以外の子どもの間には、中学入学時点で一体どれくらい英語力の差が付いているのかを訊いてみました。

「『イーオンキッズ』に3、4歳から通っているお子さんは、海外経験がなくても小学校6年生で英検3級に合格するくらいの英語力を持っているケースが多いです。

彼・彼女らは長年英語に触れてきていますから、単純に語彙力や文法力といった面でリードしているのは間違いありません。

知識以上に、英語経験ゼロのお子さんと大きく異なるのが『英語を使うこと』に対する姿勢です。ネイティブ教師と相対したときに英語を間違うことへの気恥ずかしさ・抵抗感がまるでない子が多いんですね。

失敗しても怖くないからどんどん英語を使う。だからもっと上達する。このサイクルが出来上がっているのが彼らのいちばんの強みです。」(堀田さん)

「これまで英語に接してこないまま中学へ入学するお子さんに対しては、私立中学に行けば、すごく英語ができる子たちは一定数存在すると、あらかじめ伝えてあげてほしいと思います。

授業で『英語ができる子』との違いを目の当たりにし、自信を喪失するお子さんもいますから、差があるのは当たり前というマインドを持っておくと気持ちが楽だと思いますよ。」(岡村さん)

中学受験で身に付けた、その力があれば大丈夫!

スタート時点で差がある。残酷な話ではありますが、事前にそれを知っておくだけでも新生活に向けた心構えができそうです。

そして、ここからが肝心だと、堀田さん・岡村さんは力強く続けてくれました。

「すでに英語力に差があるのは当然だとしても、中学入学後でも十分挽回できます。

中学受験を乗り越えて入学した生徒さんは、基本的な学習習慣が身に付いているはず。出された宿題にしっかり取り組み、間違った箇所をそのままにせずきちんとやり直す。

日々の積み重ねがモノをいう英語では、こういった地道な学習姿勢がとても大切なんです。だから決して、悲観したり焦る必要はありません。」(岡村さん)

「その通り!目先の英語力(語彙力、文法)にとらわれる必要はありません。とくに中1の間は、授業にちゃんとついていくのを目安に頑張れば大丈夫ですよ。他の生徒と比べるのでなく、自身の力を伸ばすことに集中してほしいんです。

中高一貫校は、どこも英語教育には力を入れているはず。レベル別授業を採用する学校も多いです。学校側でも、生徒みんなが英語に親しみ、学習意欲を高められるようにと工夫をしてくれていますから、そう不安になる必要はないと思います。」(堀田さん)

「それに、中学入試も全科目で思考力を求められる傾向にありますから、『国語力(読む力・読解力)』については徹底的に鍛えてきたはず。

中学受験経験者の皆さんが持つ国語力は、英語学習においてもきっと大きなアドバンテージになると私たちは考えています。」(岡村さん)

まとめ

中学英語への不安を感じている保護者さんにとって、ホッと安心できるアドバイスだったのではないでしょうか?

長く厳しい中学受験を戦い抜いたお子さんは、ゴールに向かって全力を出せる力を持っています。子どものポテンシャルを信じて、長い目で見守ってあげたいですね。

さて、連載最終回となる次の記事では、英語の授業に向けて中学入学前に準備できる具体的な勉強法についてお話しいただきます。

新生活スタートを目前に控えた6年生だけでなく、英語教育に興味のある下級生の親子もぜひお読みください。

※記事の内容は執筆時点のものです

0