中学受験ノウハウ 学習 連載 公立中高一貫校合格への道

【作文対策】構成こそが高得点のカギ!|公立中高一貫校合格への道#15

2024年8月29日 ケイティ

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都立中学校など公立の中高一貫校には、いわゆる「入学試験」は存在しません。代わりに行われる「適性検査」を受(「受」ではなく)することで、6年間の一貫教育に「適性」があるかどうかを見られます。本連載では、公立中高一貫校を目指すうえで踏まえておくべきことは何なのか、私立受験とは具体的に何がどうちがうのか、公立中高一貫校合格アドバイザーのケイティさんにうかがいます。

こんにちは!公立中高一貫校合格アドバイザーの、ケイティです。公立中高一貫校合格を目指す、保護者のための「ケイティサロン」を主宰しています。

怒涛の夏が過ぎ、秋が始まる頃は、いよいよ作文対策に本腰を入れる(入れないといけない)時期です。

昨年は、現状の段階別の対策について記事を書きましたが、今回は、作文が出題される学校を受けるすべてのご家庭に有効な、「構成メモの作り方」について紹介したいと思います。

これが出来るようになると一気に得点が伸びるので、作文を安定させるためにもぜひ参考にしてもらいたいと思います!

【構成のカギ①】構成の重要性を理解しよう!

作文が得意な子も、苦手な子も、みんなが嫌うのが「構成を立てる作業」です。

面倒、手間、時間が勿体ない、メモの書き方が分からない、等の理由で、何とかして構成を立てるステップを避けようとします。自由に思いつくまま書くような日記ではないので、構成を書かずして高得点が取れるはずがないのですが……。

公立中高一貫校の作文には、さまざまな要素が高いレベルで要求されます。大人でも難しいと感じるような文章を素早く読み、その主旨を正確に捉え、文章のキーワードを効果的に作文に散りばめつつ、与えられた大量の条件を一つも漏らさず、そして限られた時間内に、指定の字数の範囲内に収めるという、大変ハードルが高い「作品」を作らないといけないのです。

これに、構成なしで「書きながら考える!」という行き当たりばったりの勢いで挑むのは、かなり危険です。

  • 模試によって作文の得点が全く安定しない
  • 一本の作文に何十分、何時間もかけてしまう
  • 条件ミスがよくある
  • 問われたことに答えていないことがある

一つでも思い当たる項目があるのであれば、ぜひ今日から、構成を立てる練習をしてみましょう!

【構成のカギ②】構成メモの完成形とは?

ところで、「構成」と聞くと、保護者のみなさんはどのようなものを思い浮かべるでしょうか。

箇条書きのようなメモだったり、細かに内容を書き込んだ下書きのようなものだったりと、人により「構成」の捉え方は様々かと思います。

これは子供達も同じで、特に説明せず「構成メモを書いてから作文に移ってね」と指示をすると、キーワードだけ2つ、3つ書いたメモで済ます子もいれば、「はじめ・なか・おわり」の3つに分けて、それぞれのメモを書く子もいれば、400字の作文に対して800字以上の下書きメモを書く子もいて、認識にかなり幅があるのです。

このことからもわかるように、「構成立て」の段階が嫌われる大きな原因として、構成とは何なのか?どこまで書けば正解なのか?その理想形が分からない、だから何となく避けたい……、このような心理が働いているように思います。

まずは、「構成とは、こういうメモのことである!」という完成形をお伝えします。

・文にはしない、あくまでも箇条書きの一言メモでOK!

・自分にだけ分かる暗号のようなメモでよい(記号、略語を活用)

・箇条書きの項目数は、制限字数の下限と上限を、それぞれ50で割った値

・メモは、タイトルではなく、中身を書く

・10分以上は絶対にかけないようにする

構成メモ段階でも、きっちりと文章を書こうとする子がいますが、その必要はありません。

昨年の受検生が書いた作文を例にしてみると、

「その本を繰り返し読んだところ、作者は弱肉強食の世界に疑問を持ち、生き物はみな平等であるということを言いたいのではないかと気付いた。」

このような一文があったのですが、これはメモ段階では、

本くりかえし→ 作:弱肉? 平等! 気付いた

このくらいで良いのです。

「繰り返し」はメモではわざわざ漢字にするのは大変なので平仮名で良いですし、因果関係や順接の関係は「→」で表し、「作者」は「作」で省略、「弱肉強食」も全て書かずともメモで「弱肉」としておき、「疑問」は「?」、「~ということを言いたい」は「!」で表す…。

このような、自分にしか分からない暗号のようなメモで、充分なのです。

そして、作る項目の数は、たとえば「400字以上440字以内」という制限の場合だと、それぞれを50で割ると、8と8.8ということになりますね。

8.8は「およそ9」という風に考えると、「8~9項目用意すれば、作文が完成する」ということが分かります。

180字以上200字以内なら、3~4項目、と考えてください。

なぜ50で割るかというと、受検生が書く作文の一文の平均字数が、約50だからです。

制限字数を50で割った数の文だけ書けば、作文は完成するのです。

作文の検査はものすごく大変で難しいことのように感じている子が多いのですが、「たった8文か9文だけのことなんだ」とわかれば、少し肩の力が抜けるのではないでしょうか。

必要な文の数が決まったら、その数だけ、箇条書きの項目「・」を打ち、入れる内容の簡易メモを書いていきましょう。

入れる文の数だけメモを作っておけば、あとはもう、作文を書くだけ、になります。

【構成のカギ③】タイトル型のメモに注意!

構成をつくるうえで、非常に大事なことが一つあります。

それは、「タイトル型のメモ」は意味がない、ということです。

たとえば、このようなメモを書いている子がいます。

・意見

・理由

・体験

・体験で学んだこと

・今後のこと

これだと、いったい何を作文に書くのかがさっぱり分かりません。

大まかな流れは決められているかもしれませんが、こういうメモを書く子の場合、実は中身についてはきちんと決めていない状態で見切り発車してしまっていて、途中で手が止まることが多いです。

このようなメモを、「タイトル型」とわたしは呼んでいます。

まるで本のタイトルや目次のようなメモではなく、中身のメモを書くようにしましょう。

たとえば、

・学びの主体性→自分自身に問うこと

・国語の授業 (ミ)の「モモ」読んだ

・はじめ 作言いたいこと→わからなかった

・人物 気持ち 想像した

・時間大切 かんがえさせたい⇒読者

・受け身× 相手が何伝えたい?考える

・今後 主体的 授業きく 姿勢

・メリット=理解 深まる

(あまりに省略しすぎるとこの記事を読んでくださっている方の参考にならないため、かなり省略は控えめにして作っています。実際に構成メモを書く場合は、「主体性」は「〇印に主」、「国語の授業」は「国」、など、さらに省略してメモします)

このように、入れる内容を、順番に箇条書きに落とし込んでいくイメージです。

構成メモを作るのも自分、作文を書くのも自分ですから、作文を書くときの自分にとってヒントになるメモにしないと、意味がありません。構成メモは、次に書く内容を示すナビのような役割なのです。

タイトル型のメモだと、結局、構成段階で考えていたことが頭から飛んでしまって思い出せないこともあるので、簡単でもいいので中身のメモを作ることをお勧めします。

(お子さんが受けた過去の模試などを見返して、余白に書かれたメモがどのようになっているか、ぜひ確認してみてください)

【構成のカギ④】作った後が大事!構成メモの効果を最大限にする3点チェック

さて、構成メモを作成したら、いよいよその順番通りに作文用紙に書いていくのですが、その前に、確認しないといけないことがあります。

  1. キーワードは入っているか
  2. 条件は漏らしていないか
  3. 問にまっすぐ答えているか

この3点です。

構成メモを書く理由はいくつもありますが、最大のメリットは、「得点につながること」です。

思いつくままに書くのではなく、きちんと方向性を決め、条件を満たしているか確認し、加点につながる効果的なキーワードを最適な場所に入れ、高得点を狙うための「作戦」を立てるのが、構成なのです。

構成を決めたあとにチェックしなければ効果が半減してしまいますから、構成のあとはかならず、先述した3点チェックを徹底しましょう。

仕上がった構成メモを見ながら、

本文で何度も登場したキーワードや、筆者が「」を付けて強調しているようなキーワードを入れたか?

問で指示された条件を満たした流れになっているか?

問われた内容に対してズバッと結論を出せているか?

この3点について、指差し確認を行い、問題ナシ!というチェックをしてから作文に入るようにしましょう。

まとめ

さて、今回は、作文で得点を安定させるために欠かせない、構成メモについてお伝えしました。

最初のうちは、そもそも構成メモに対する心のハードルが高い状態から取り掛かることになるので、時間がかかったり、うまく作れなかったりすると、「やっぱりメモなんて意味ない!」とさじを投げる子もいます。

ですが、一度や二度ですぐ慣れる子はいませんので、数か月かけて、根気強く定着させてもらいたいと思います。

はじめはメモに何十分もかかっていたとしても、それは、「本来、そのくらいかけて内容を練らないといけなかったのに、その段階を飛ばしていた」だけに過ぎないのです。

略語や記号を駆使して、一言ずつのシンプルなメモが数分で作れるようになり、結果的にその方が作文も早く仕上がることが経験として分かってくると、そこからは特に保護者サポートをしなくても、書けるようになっていきます。

作文で手堅く点が取れるようになると、いよいよここから先の、理系の発展的な演習を行うラストスパートにも、心の余裕を持って入ることができます。

雲をつかむような気がする作文対策だからこそ、構成力で足場を固めるようなサポートをしてあげてくださいね。

 

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※記事の内容は執筆時点のものです

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