中学受験ノウハウ 連載 塾のトリセツ

塾で相性の悪い先生に当たったら│中学受験塾のトリセツ#50

2024年11月19日 天海ハルカ

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こわい、きびしい、わかりにくい……子どもが先生との相性が良くないと感じていたらどうすれば良いのでしょうか。

塾へ相談するのが解決への近道ではありますが、集団塾で生徒ひとりとの相性のために先生を替えてもらえるケースは多くないんですよね。

子どもが先生と相性が良くないと感じているようなら、まずは話をしっかり聞き、何がどう合わないのか探りましょう

そのうえで、内容によっては塾へ相談する、もしくは家庭でできる対処法を試してみる、というのが良いと思います。

今回は、相性の悪い先生に当たったときにできることについてお話しします。

「相性が悪い」を具体的に聞き、塾へ相談を

塾の先生と相性が悪いとき

 

一口に「相性が悪い」と言っても原因はさまざまですが、どの場合でも子どもへのヒアリングが必要です。

子どもは「なんとなく合わない」「好きではない」といったあいまいな言い方をすることも多いので、まずは具体的な話を引き出せるよう根気強く聞いてください。

塾へ相談するにも、「算数の先生が苦手なようで…」より、「算数の先生の授業スピードが早くついていけないようで…」と切り出したほうが問題点を共有しやすいでしょう。

とはいえ、塾に相談してもクラスや先生を変えてもらうことはなかなか難しいと思います。

とくに大手塾では、希望する生徒全員に同じ対応はできないことや、習熟度でクラスを決めていることから、クラスや先生の変更はほぼ無理と考えたほうが良いかもしれません。

しかし私が勤めていた塾では、保護者からこういった相談を受けた場合、その講師に名指しではなく講師陣全体への注意として「強い言葉を使わない」「予習復習の指示は具体的に」といった話をすることはありました。

クラスや先生が変わるというのは難しくとも、塾へ相談することで、相性の悪さの原因が改善されたり和らいだりする可能性は十分ありますよ。

「こわい」と感じる場合

子どもが「塾の先生がこわい」と感じて相性の悪さを訴えるのはよくあるケースです。

声が大きい、口調がきついといった典型的なケースのほかに、単に笑顔が少ない、声が低い、男性の講師だというだけで、こわいと感じる子もいます。

いっぽうで、受験が視野に入ってくる4年生以降の先生は、勉強環境をしっかり作るため、「こわい」と思われるような指導スタイルをあえてとっている場合もあるでしょう。

しかし、この対応は、元々大人しくて穏やかな子には「無意味にこわいだけ」と映ってしまうことも。

「先生がこわい」と感じるのは、やるべきことがしっかりできていて、問題を起こさないタイプの子に多い印象です。

初回の授業で感じても徐々に慣れてくるケースも多いので、個人的には、塾へ相談する前に少し様子を見てみてほしいですね。

そのうえでやはり「こわい」と感じるようなら、「怒鳴り声に委縮する」「注意の言葉選びがきつい」といった具体的な話を混ぜて塾へ相談すると、話がスムーズに進むと思います。

「厳しい」と感じる場合

「こわい」にも近いのですが、ルールや合格点などについて「厳しすぎる」と子どもが感じることもあるでしょう。

たとえば「宿題は毎回提出しなければならない」「小テストの合格点が高すぎる」などです。

これはクラス昇降により、先生が定期的に変わるからこそ出てくる感想ともいえます。

「前の先生は何も言わなかったのに」というように、「別の先生と比べて厳しい」と考えている可能性もありますね。

校舎でルールを統一するべきという考えかたもありますが、クラスによって課す内容を変えるという塾も多いはず。

また、クラスは同じでも、夏期講習以降は求めるレベルをひとつ上げるなど、時期によっても変わってきます。

合格点が厳しいと感じられるということは、それがクリアできるくらいの勉強量に足りていない、もっと勉強が必要ということです。

これを機に、求められるレベルについていく勉強量は確保できないか、家庭での学習を見直してみるのも良いですね。

もちろん本当に先生が無理なレベルを求めている可能性もあるので、「厳しいと感じる点」を子どもからしっかり聞き取り、不可能・理不尽と感じる場合は問い合わせてみると良いでしょう。

「わかりにくい」と感じる場合

子どもが先生を「わかりにくい」というのは、授業内の解説がわかりにくいという感想だと思います。

理論で教える、繰り返しの演習で教える、パターンで教えるなど、同じ教材・単元でも教え方はさまざまです。

先生によって教え方は異なりますし、同じ先生でも生徒のレベルやクラスの雰囲気などで変えることもあります。

その科目が得意でない生徒が多いクラスでは、理論よりもパターンで教えたほうが効果的な場合があるなど、先生ごとに工夫をしていることも。

合う合わないがあるのは当然ですが、先生の説明以外にも、子どもとクラスの授業レベルが合っていないという可能性にも目を向けてみてください。

内容が難しかったり解説スピードについていけなかったりした結果、「わかりにくい」と感じたのかもしれません。

多くの塾では4科目の偏差値でクラスを分けます。

科目ごとのバラつきまで考慮できることは少ないため、たとえば、算数が偏差値45で国語が55だった場合は結果として偏差値50のクラスとなり、算数の授業は進みが速く感じてしまうでしょう。

クラス内のレベル差に合わせて授業をするのが講師の仕事ですが、集団授業だと完ぺきに全員に合わせるのは難しい部分もあります。

説明の内容がわかりにくいと感じる場合は、まずは授業が難しいという方向で相談をしてみると良いかもしれません。

また、授業後に自習室などで科目の質問ができるようなら利用してみるのも良いですね。

通い始めはとくに注意してあげよう

「先生と相性が悪い」というのは、塾に入って日が浅い子ほど感じやすいように思います。

これは塾に慣れると多くの先生に当たり、「いろいろな先生がいる」とわかり、良い意味で切り替えができるようになるからです。

また、塾に入って日が浅い子は、先生との相性で通塾や勉強のモチベーションが左右されやすいため、環境を整える意味でもしっかりと話を聞いてあげたいですね。

まずは相性の悪さを具体的にし、「どんなところが嫌か」がわかったら塾への相談も視野に入れつつ、できる対処法を試してみてくださいね。

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※記事の内容は執筆時点のものです

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