午後入試は取り入れるべき? メリットとデメリットを解説│中学受験塾のトリセツ#49
年末も近くなり、受験スケジュールを考え始める時期です。
最近では午後入試を設ける学校も多くなり、より選択肢が広がったと言えます。
午後入試はメリットが多いものの、やはりデメリットもあるためよく考えてスケジュールを組みたいですね。
今回は午後入試のメリットとデメリット、活用の仕方についてお話しします。
Contents
午後入試の傾向は?
数年前から午後入試を設ける学校は拡大しています。
かつては2月1日、2日がメインでしたが、3日にも多くの学校が午後入試を組んでいます。
1月に行われる埼玉入試でも、午後入試を設ける学校が多いですね。
たとえば埼玉入試が解禁となる1月10日には、細田学園や埼玉栄、西武学園文理など10校以上が午後入試を設けています。
午後入試と午前入試の違い
午後入試と午前入試の違いは、入試の時間だけではありません。
午後入試は、同じ学校の午前入試よりも偏差値が高い傾向にあります。
というのも、午前に別の難関校を受けた子が受験するケースが多いんですよね。
そのため第一志望校は、午前入試と午後入試を両方受けられる場合、午前を優先して受けておくほうが良いと思います。
午前入試の主流は4科目入試ですが、午後入試は2教科入試としている学校も多いです。
2教科だと時間が短くて済むため、スタミナなどを考えると、受験生としてはありがたくもありますね。
2教科入試で多いのは、算数と国語という組み合わせです。
最近では栄東(東大特待Ⅰ)に算数1教科型があるなど、算数・国語の1教科で受けられる入試もあります。
同じ学校でも午前と午後は別の入試と考え、しっかりと募集要項を確認しましょう。
午後入試のメリット
中学校にとって、午後入試は優秀な生徒を集めやすくなるというメリットがあります。
難関校を午前入試で受ける生徒に、午後の時間で受験してもらえるということですね。
では受験生側はどうかというと、大きく3つのメリットが挙げられます。
受験チャンスが増える
受験生にとってのメリットは、まず単純に受験チャンスが増えることですね。
午前だけでは他校と入試日程が重複して諦めざるを得なかった学校も、午後入試があれば受けられる可能性が出てきます。
また、同じ学校を複数回受験して、合格の可能性を高めることもできます。
たとえば広尾学園は、2月1日に午前と午後の2回受験することができるので、午後受験を利用することで受験チャンスは倍になるといえるでしょう。
同じ学校を複数回受けると、2回目以降は会場や雰囲気に慣れリラックスして受験に臨めるようになるのもメリットです。
複数回受験で優遇措置があるところも
複数回受験することで、加点の優遇措置を受けられる学校もあります。
複数回受けるということは、それだけ学校に対する熱意があるということですからね。
学校としても、そういう生徒にはぜひ入ってほしいと考えます。
複数回の受験チャンスには、午後入試が含まれていることも多いです。
複数回受験の優遇措置については、募集要項には書いておらず、説明会に行って初めて案内されるということもあります。
ただし、毎年優遇措置を行っている学校については塾で把握していますから、受験スケジュールを組む前に、ぜひ相談して、情報をうまく活用してください。
都内の抑え校の合格を早めに確保できる
午後入試を利用すれば、第一志望校入試がかたまる2月1日、2日も抑え校を受験することができます。
もちろん学校の日程次第ですが、たとえば2月1日の午前に第一志望校、午後に抑え校というスケジュールが組めるということです。
午前入試の結果は早ければ当日、午後入試は翌日に発表されます。
第一志望校と抑え校両方の結果を見て、2月2日、3日のスケジュールを調整できるのは大きなメリットです。
午後入試のデメリット
受験チャンスが増えるなどメリットは多いですが、体力面や精神面でデメリットもあります。
気力・体力の負担
入試は気力・体力ともに消耗します。
学校によって幅はありますが、4科目入試の試験時間はだいたい3時間ほどです。
実際に私も過去の入試問題を解いてみて思うのですが、入試問題というのは見ている以上に集中力を必要とします。
知らない場所で緊張しながらの受験ともなれば、消耗は計り知れません。
それを午前ののち、午後も行うというのは子どもにとって大きな負担となるでしょう。
また、午後に別の学校を受けるとなると移動時間も考えなければいけません。
翌日の午前に入試がある場合は、休む間もなく試験が続きます。
気力や体力の負担は大きいため、午後や翌日の集中力がちゃんと保てるかは子どもと相談してよく考えたいですね。
翌日以降の準備にあてられる時間が減る
学校によって異なりますが、多くの午後入試は15時前後に始まります。
午前入試を終えて移動と食事を済ませると、ちょうどいい時間に設定されていることが多いでしょう。
終わるのは早くて17時ごろ、遅ければ19時近くとなるため、家に帰るのは20時を越えることもあります。
そうなると、家で当日の入試問題で思い出せなかったものの復習や翌日に向けた勉強をする時間はあまり取れません。
食事をしてシャワーを浴び、翌日に備えて早く寝ると考えれば、頭の体操としての簡単な計算や漢字を勉強できれば良いほうでしょう。
第一志望校の前日は落ち着いて過ごしたいと考えるなら、その日は午後入試を入れないというのもひとつのやり方ですね。
不合格のショックがダブルでくることも
多くの学校は午前も午後も、入試結果は翌日には見ることができます。
早いところでは当日中に確認できることも。
両方合格、もしくは1校でも合格であれば自信に繋がりますが、両方不合格という可能性もゼロではありません。
午前・午後と消耗しながら受けた結果として、2校分の不合格をつきつけられるのは精神的なダメージが大きいでしょう。
こういった事態をできるだけ避けるためには、自信をつけるための合格は1月中にもぎ取っておく、もしくは午後入試は易しめの抑え校にあてると良いと思います。
午後受験は守りの一手
午後受験はメリットとデメリットを考えて、子どもに合った活用をしましょう。
個人的には、午後受験は「守りの一手」として使うのが良いように思います。
第一、第二志望の合格をなんとしてでももぎとるために受けるということですね。
受験チャンスは多いほうがいいというのはその通りですが、デメリットを考えると「せっかくなら午後も受けられるだけ受けておこう」というのはリスクが高いでしょう。
第一志望校へ全力を傾けられるよう、上
※記事の内容は執筆時点のものです
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