連載 プラスにする中学受験

【連載第11回】「プラスにする中学受験」~いい本をさりげなく選んであげられる親になれ!~

2016年7月22日 杉山 由美子

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「現代国語はむずかしい」
国語は苦戦しやすいところ。小学校5年くらいが分岐点。家庭教師につける子も大勢います。思春期の男の子の心理。ほのかな恋情。母親への思慕やあこがれなど、少年のデリケートで複雑な陰影にとむ感情、家庭の事情も絡んだ物語は幼い男の子には手に負えません。でも文章を読みこなせるのはとても大事です。苦手意識をもたせないためにどうしたらよいのか考えてみましょう。

とくに精神的に幼くて素直な今どきのお子さんには手に余りそうな問題や問題文は読むだけでたいへんです。核家族で一人っ子、お母さんに隠し事はなく、とても甘えん坊だったりすると、男の子の心理を察することもできません。それどころかまだそれ以前というお子さんがほとんどですが、中学試験の対象は早熟な思春期前期の子供たちなのだということは覚えていてください。

お友達と男の子どうし仲よくふざけっこしているようすは微笑ましいのですが、そのまま赤ちゃん扱いしていてはいけません。実際、小学生のかわいいかわいい子どもとリビングで勉強して、いっしょに寝るおかあさんもよくいますが、親離れするチャンスをうばいかねません。
「5月のゴールデン明けにはお母さんと別々に寝るようにそれとなく指導していますが、まだあどけない1年生はゴールデンウィークにはまた戻っちゃったと報告しますよ」そんな話を校長先生からうかがったこともあります。

子どもが大人になるのは意外と難しい。大人がきちんと教えることも必要です。この時期向けの本はたくさんあるので夏休みなどに読ませるのも一つの方法です。大切なのはことばの意味を伝えるようにします。語彙をふやすのも現代の子には必要なことです。アニメに出てくることばも、日本の歴史の単語、妖怪、日本昔話で歴史や国語を学ぶ子は多いのです。辞書を引くくせもつけましょう。
読書が好きな女の子は多いのですが、甘いラブコメディーに偏っていたらもったいない。芯のある読書力につなげましょう。名作の冒険シリーズもあります。心に響くような少女の物語は女の子にとって大切なものです。長い夏に本を読みませんか?

入試という初めての試練に出会う子どもたちの心を揺さぶるような本に出会えるよう気をつかってあげてください。いい言葉に会うこともこの時でしかできない冒険です。いい体験をして、いい言葉を知るとその子は成長します。いい本を与えることも国語の力を広げていきます。

いい本をさりげなく選んであげられる親になれるといいですね。

また両親をまじえて本当の話をじっくりできたら何よりの国語力がつく機会になります。単語だけの会話ではなく、相手を思いやった深い会話を心がけてみてください。

※記事の内容は執筆時点のものです

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