連載 プラスにする中学受験

【連載第13回】「プラスにする中学受験」~この夏は親が難問にチャレンジ!~

2016年8月12日 杉山 由美子

「大学受験より難しい???」

驚くべき酷暑、この夏を乗り切る受験生はたいへんだと思います。勉強机に向かっている、夏期講座に通っているだけでもほめてあげましょう。ところで中学受験で大切になる受験校選びが秋に迫っています。受験校はどんな難問を出すのか、子どもではなく親が目を通しておきましょう。

「こんな難問を解こうというのか」びっくりするかもしれません。子どもを尊敬するかもしれません。ご存知のように中学受験の問題はひねってあるので大学受験より難しいとも言われます。合格点も50点とか60点など相当低い学校も多数あります。

難関校はなぜそれほどむずかしい問題を用意するのでしょうか? 実はそこにこそ、威信がかかっているからです。 いい問題、頭をひねらせる問題、考え込ませる問題こそ「聡明で、頭のいい生徒」を引き付けると知っているのです。

麻布、灘、筑駒、などの問題を受験塾の講師は真っ先に解きます。「今年はどんな問題を出したのか」知りたくてたまらないのです。受験塾の講師の頭の中には、過去問がぎっしり詰まっています。 麻布の問題にひきつけられている講師の多いことは、目をみはるばかりです。講師たちは数限りなくある愚問には目もくれず、生徒たちの知性を呼び覚ますような、「ほんとうに頭のいい子」が目を輝かせて答えてくれる質問をそれこそ1年間考えてきたのです。

なぜ日本は第2次大戦を始めたのか、思春期前期の少年の心の陰影。日本の環境問題はどこに起因しているのか。稲作はいまどのような問題をかかえているか。現代社会の問題をリアルに取り上げ、問題にしているのは将来を担う子どもたちへの信頼と夢があるからでしょう。

教師たちはいい問題を出すことで、いい生徒たちを集めることができると知っているからこそ、良問を作成しているのです。 いい問題を出す学校を塾講師は信頼しています。そういう学校に受かる子を育てたいと思っているのです。いい質問を作れる学校への信頼と尊敬は深いものがあります。 だから私立中学受験ブームは起こったし、いささか常軌を逸しているほどの動きを親にも子にも起こさせているけれど、どこか健全で信頼できるものがあるのでしょう。

この夏は、どの学校の問題が信頼できるのか試してみませんか。

ただただ計算を積み上げていくだけの問題もあれば、生徒が引っ掛かりやすい問題を出す学校、ひたすら暗記を迫る学校、など「くだらない」問題を出す学校もあります。

でもそういう学校は長い目で見れば、淘汰されていきます。いい問題を真剣に作成して「いい生徒」を選んでいる学校こそ、講師や親や子どもに選ばれているのです。 そう考えると、受験をさせている意義も見えてきます。

※記事の内容は執筆時点のものです

杉山 由美子
この記事の著者

出版社勤務をへて、フリーランスライターに。おもに教育、女性が働くことについて取材、執筆をしている。著書に『長男が危ない』(草思社文庫)『中学受験SAPIXの授業』(学研新書)『お金をかけずに「できる子」を育てる』(岩崎書店)など多数。

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