連載 プラスにする中学受験

【連載第17回】「プラスにする中学受験」~塾の塾?~

2016年10月07日 杉山 由美子

「塾の補習が必要な時代」
10月になりましたが、保護者の迷いも深まる時期です。

「今なら間に合う、このまま塾に通わせていいのだろうか。転塾するなら秋の今ではないか?」

成績が良くて、今の塾ではもったいないというお子さんもいれば、成績がのび悩んでいるお子さんもいます。どうしたら成績があがり安定した第一志望ものぞめる成績になるだろうか。保護者の思いは複雑です。

とくに5年生の秋は「このあと迷えない」と切迫した気持ちになります。5年の秋ごろから内容はむずかしくなるからです。授業時間もふえます。問題は抽象度を増し、単純ではなくなります。どのお子さんも悩むときです。

東大にらくらく入ると目されていた子が、国語の思春期前後の男の心理を描くものがたりについていけないで手をこまねくということもおこりがちです。算数も難問です。「でも転塾すれば授業のスピードも落ちる。おもしろさも消えてしまう。」遠距離の送迎も辞さずにやってきた保護者は困り果てます。

こうして生まれたのが、家庭教師や塾の補習をする塾、教科別の塾です。今でこそそういう塾が知られてきましたが、実は以前からありました。特別扱いしてその学校を志望する子どもに指導する小さな私塾が有名だったのは関西でした。関西では今でも猛烈な塾がありました、今でも、関西の塾のほうがし烈だといわれますが、じっさいどの地方にも塾の存在はあったと思います。

塾の一斉授業では取りこぼされてしまう子が必ず出てきます。学校なら3か月もかかる問題を1回の授業で片づけてしまう中学受験の問題は大学受験よりむずかしい場合もあります。保護者も解けずに立ち往生する問題もよくあります。

しかし、基本問題もあって、基本の漢字や計算問題をしっかりクリアできれば合格点になる学校も多いのです。むやみに難しい問題に目を奪われてはいけません。

学校の威信をかけて、良問、奇問を出す学校もあるのです。

こうして「塾の塾」はたぶん驚くべき数になっています。実態はよくわかりません。保護者の「わが子によかれ」という思いが作り上げてきた業界です。今後もますますはびこるでしょう。

子どもが伸びる塾を探しあてた人もいます。個別塾や家庭教師が合っていた場合もあります。何人も家庭教師を変えた人もいます。成功して難関校突破した子もいます。保護者の熱意がものすごかったですね。お金も手間暇も惜しみませんでしたから。

でも感じたのは「子どもは一斉授業で競争するのが好き」「競争は嫌いではない」ということです。競い合って伸びる授業は日本のお家芸のようなものですが、子どもを競争にさらすことは悪いことではありません。そこを大事にしてサポートとフォローをうまく入れられるのがいいのではないでしょうか。子どもは案外苛烈な塾を好きですよ。

※記事の内容は執筆時点のものです

杉山 由美子
この記事の著者

出版社勤務をへて、フリーランスライターに。おもに教育、女性が働くことについて取材、執筆をしている。著書に『長男が危ない』(草思社文庫)『中学受験SAPIXの授業』(学研新書)『お金をかけずに「できる子」を育てる』(岩崎書店)など多数。

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