中学受験ノウハウ 学習 連載 プロが教える受験生の作文教室

プロが教える受験生の作文教室「公立中高一貫校適性検査対策のカギ・まずは「200字」で自分の意見を書く!」

2015年9月04日 桐生玲子

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さあ、受験生を抱える保護者の皆様、いよいよ勉強もここからが本番ですね。

400字~500字の作文対策はおすみでしょうか。多くの方は、塾で適性検査対策用の作文講座を受講したり、通信教育の講座で作文対策をしているのではないでしょうか。本人なりに取り組んではいるものの、なかなか書けるようにならない…。そう思っていらっしゃるのであれば、今すぐ個別での対策をお勧めします。

そして、私がこれからこのコラムでお伝えする方法で、まずは200字の意見を書けるようにしましょう。なぜなら、私が、学校や塾での経験で感じたのは、このコラムの初めの頃にお話ししました通り「既存の作文講座では、書く前に、書き方を教えていない」こと。です。

塾の課題や通信教育の教材で練習を積んでも書けるようにはなりません。そもそもある程度書けているお子様でしたら、回数を重ねることで上達する可能性があります。でも、書けないお子さまにとってはどうでしょう。塾によっては、夏休みからすでに過去問題に取り組んでいるところもあります。これは、書けないお子さんにとっては逆効果。なれるどころか、自信を無くすだけです。

そこで、私の塾では、まず自分の意見を作る訓練からしています。適性検査の作文にとって一番大切なのは、「筆者の意見を読み取り、自分の意見と比較して、自己主張をすること」です。200字の意見作文を10分以内で書けるように訓練します。はじめは20分かけます。しかも書く前に、正答例を読んだり、私とどういう風に書くか相談をしておきます。「どう? これなら書けそう?」となったところで20分をタイマーでセットして書くことをスタート。相談がきちんとできていればたいていのお子さんが、15分弱で書いてしまいます。

私がこの意見作文をやるときに使わせていただいているのが、都内では義務教育初の民間人校長となった杉並区和田中学校(当時)の藤原和博先生の「200字意見作文トレーニング(光村図書)」です。この本が秀逸な理由は大きく2点あります。まずは、解答例がしっかり書かれているところです。受験用の赤本や銀本がどうしようもなく中途半端なのは作文に関しての解答例がないこと!!!も~本当にどういうこと??と思います。

作文の解答例こそ、欲しいですよね。この藤原さんの本には、本文中に文例が書いてあります。本当に書くのが苦手なお子さんには、私はまずその解答例を読ませたうえで「自分なりにアレンジして書いてみて」と言います。それほど、解答例とは大切なものなのです。

その見本なしで、どうやって書けるでしょうか? プロの私でも自信がない場合もあります。ましてやお子さんたちにそんなことできません。2点目は、賛成か反対か、という観点で自分の意見を考えていくこと。自分の意見、あなたの考え、と言われてしまってお子様が困るのは基準がないから。

日頃から、社会に協調できるように今の学校では訓練を受けているので、お子さんたちは自分の意見は持ちません。自分の考えがあっては集団行動はできないからです。一人一人が自己主張していては35人学級でやっていけませんよね。ところが、こと作文となるといきなり自己主張・あなたの考え、なのです。戸惑うのも無理はありません。まずは、「意見の構築から」と私は考えています。

では、次回は、この意見の構築に必要な「対比の構図」についてお話しします。

※記事の内容は執筆時点のものです

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