連載 ホメ夫先生のやる気引き出し術

中学受験 理科のテスト問題で珍回答! ひらがなで「こっかきくん」?|全力珍回答! ホメ夫先生のやる気引き出し術(12)

専門家・プロ
2016年1月12日 辻義夫

みなさま、よい新年をお迎えになったでしょうか。

こんにちは、辻・E・ホメ夫です。今年も張り切って、子どもたちの珍回答を紹介していきますね。

入試直前、6年生たちは緊張感の中、志望校の入試に向けてがんばっていることでしょう。

入試において「ひらがな解答」は実戦的な方法

さて、中学入試の理科のテストでは、答えを漢字で書かなければならない、というルールになっている問題は、実は少数なんです。ひらがなでも、正しければ◯をもらえます。たとえば「電流」「電りゅう」どちらでもOKというわけです(ただし、漢字指定がある場合はちゃんと従いましょう)。

慣例のように、漢字ではなく、ひらがなやカタカナ表記をするものもあります(星座名は日本語でも漢字ではなくひらがな表記がふつう。「大熊座⇒おおぐま座」「白鳥座⇒はくちょう座」など)が、そうでなくても、指定がなければ漢字ではなく、ひらがなで答える場合があるのです。

その理由はやや消極的ですが、「漢字を書き間違って失点しないため」というもの。

とくに本番の入試では、1点の減点でも合否に関わってきますから、「無理して難しい漢字を書かず、安全なひらがなで答える」という選択肢が出てくるのです。できるだけ確実に合格点をとるための実戦的な方法ともいえます。

でも、「今の学年なら絶対に書けなくちゃ」という漢字まで、ひらがなやカタカナで答えるというのは考えものです。「すいさんかナトリウムすいようえき」なんて答えたら、さすがに漢字指定がなくても、採点している先生は「何だこの子は!?」と思われるでしょう。

それに、漢字で覚える、漢字で答えるということにはちゃんとメリットがあります。また本来その学年の子どもが習わない漢字であっても、知っておくことで忘れにくく、思い出しやすい暗記ができるのです(この連載の第一回ではそのお話をしています)。

「ひらがな解答」にも思わぬ欠点が

小6男子、Aくんの返却テスト答案を、面談のときにお母さんと一緒に見ていて×を付けられているのに「……?これ、正解じゃない?」と二人とも一瞬思った問題がありました。

その問題は

「骨についていて、のびちぢみして手や足などを動かすために使われる筋肉を何と呼びますか」

というものです。

正解は「骨格筋」です。

お母さんと私は、

「あれ、これって間違ってます? ×になってるけど……」

「え? あ、そうですね……こっかくきん?……いや、こっかきくんだ!」

二人でコケてしまいました……。当時は大阪の教室で教えていましたので、「吉本新喜劇風」に前のめりです。

テスト中は時間がなかったのかもしれませんが、間違った原因の1つは明らかに「本来書ける漢字をひらがなにしたから」でしょう。書いている途中で気づきそうなものですが……。実はこれと似たようなAくんの「うっかりミス」にお母さんはこれまでも、一人でコケておられたのです。

「次の生物のうち、いつも体温を一定に保つことができるのは」

という問題で

「ウサギ」(正解)と「ウナギ」を間違う。

「次の生物のうち、卵ではなく子を産んで乳で育てるのは」

という問題で

「ヒト」(正解)と「ハト」を間違う

などなど、すべて実話です。慌てているとやっちゃう子、いるんです。

……さて、どうしましょう?

この問題、「こっかくきん」と正しく書くことができていれば◯になったはずです。でも「こっかきくん」じゃ……。

(正直「こっかくきん」は漢字で書いてくれよと思いますが)

書籍などの活字でも稀に誤植などがありますが(塾のテキストなんかにもありますよね、ちょっとおもしろい誤植。また別の機会に紹介します)、圧倒的に見つけやすいのは、音読しているときです。

音読すると、言葉の「流れ」がおかしいとすぐにわかります。読むときにつまってしまうので、流してしまわないのです。

「ヒソヒソ黙読」「ブツブツ黙読」が、読み間違いと書き間違いに効果的

Aくんには、「ヒソヒソ黙読」とか「ブツブツ黙読」と呼ばれるものを試してもらいました。黙読なのですが、自分にもやっと聞こえるくらい、黙読とひとりごとの中間ぐらいで読んでみてもらうようにしたのです。口は動くけど音声は出ない、くらいの黙読です。

すると、読み間違い、書き間違いがぐんと減ったのです!

発音(正確には発音していませんが)することで、その言葉に「意味」が生じるからでしょう。その後Aくんのお母さんと別の機会に面談しているとき、「先生、近頃は『この問題の解き方はな……』って先生のものまねしながら問題を解いているんですよ。」とお母さん。

Aくんの理科の成績が上がったのは言うまでもありません。Aくんも今は大学生。今でも「ヒソヒソ黙読」を続けているでしょうか。

※この記事は、「マイナビ家庭教師」Webサイトに掲載されたコラムを再編集のうえ転載したものです


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※記事の内容は執筆時点のものです

辻義夫
この記事の著者
辻義夫 専門家・プロ

中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

つじ よしお大手進学塾での指導経験を経て、中学受験専門プロ個別指導SS−1創設メンバーとして副代表、現在は顧問を務める。「わくわく系中学受験理科」と称される指導法、勉強法は「楽しく学べて理科系科目が知らない間に好きになってしまう」と好評。子どもの良いところをほめまくることから「辻・アインシュタイン・ホメ夫」の異名を持つ。「カレーライスの法則」「ステッカー法」など子どもが直感的に理解できて腑に落ちる解法を編み出す名人でもある。著書に『頭がよくなる 謎解き理科ドリル』(かんき出版)『中学受験 見るだけでわかる理科のツボ』(青春出版社)『中学受験 すらすら解ける魔法ワザ 理科・計算問題』(実務教育出版)などがある。

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