連載 中学受験は親と子の協同作業

中学受験 実は一番重要なのが「併願校」選び!?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.9

専門家・プロ
2018年8月27日 石渡真由美

夏休みが終わると、受験生の6年生は、いよいよ秋から志望校特訓が始まります。ここから入試本番に向けて、第一志望校に合格するための勉強を進めていきます。

しかし、希望していた志望校特訓の受講資格が得られたからといって、第一志望校に合格できる保証はありません。なぜなら中学受験で第一志望校に行ける子は、例年志望校特訓受講生の約3分の1で、残りの多くはそれ以外の学校へ入学することになるからです。

併願校選びは6年生9月から始めるのが理想

中学受験において、併願校選びはとても重要です。併願校というと、万が一のおさえの学校と捉えている人が少なくありませんが、わずか12歳の子どもが挑む受験は、何が起こるかわかりません。ですから、併願校を選ぶときは、「もしかすると、うちの子がこの学校に通うかもしれない」ということを念願に置き、慎重に選びましょう。

6年生の9月に入ると、各塾では毎月1回、志望校の合格可能性がどのくらいあるかを測る「合否判定テスト」が実施されます。合否判定テストは9月~12月の間に4回実施され、その結果を踏まえて第一志望校を受験するかどうか、併願校をどこにするかなど決めていきます。

お子さんの学習状況にもよりますが、併願校の過去問に取り組むタイミングは、10月からが理想です。そう考えると、併願校は9月中にある程度決めておいたほうがよいでしょう。

併願校を決めるときの基準として、次の3つを意識してください。

【併願校を決める3つのポイント】

①その学校の校風が、うちの子どもに合っているか?
②第一志望校と入試問題傾向が似ているか?
③受験スケジュールに無理がないか?

詳しく説明しましょう。

【併願校を決めるポイント①】その学校が子どもに合っているか?

併願校を選ぶときに大切なのは、第一志望校は決まっているけれど、「もしかすると、うちの子が通うことになるかもしれない学校」ということを頭に入れ、その学校がお子さんに合っているかどうかを見極める必要があります。

気になる学校の説明会や文化祭などは積極的に訪れるようにしましょう。ただ、そういう時は、普段の学校の様子が見えにくいものです。そこで、例えば、普段の登校時の列に交じり、その学校の生徒がどんな服装でどんな会話をしているかを聞いてみます。そのときに、「なんかちょっと違うな」と違和感を覚えたら、もしかするとお子さんには合わない学校かもしれません。子ども本人の希望と、お子さんをよく知る親御さんが感じたことを照らし合わせて、親子でよく話し合って決めましょう。

【併願校を決めるポイント②】第一志望校と入試傾向が同じか?

併願校として気になる学校がいくつか挙がったら、その学校の入試問題を見てみましょう。ひとくちに中学受験といっても、知識を問うだけの学校、スピードを求める学校(計算などの処理能力重視)、選択問題が多い学校、記述問題が多い学校など、各校の入試問題の中身はさまざまです。中身が違えば、対策も変わってきます。

中学受験の入試範囲は膨大です。中学受験では、第一志望校から、「もしかしていくかもしれない」第二志望校、第三志望校、本番前の肩馴らしに受ける「お試し校」、「万が一不合格が続いたときに受ける」第四志望校・・・と、一人あたり約5校を受験します。もし、その5校の入試問題の傾向がまったく違っていたら、それぞれに対策を取らなければならず、勉強量をさらに増やすことになります。それは非常に非効率的です。

併願校を選ぶときは、第一志望校と入試傾向が同じであることが基本的な大原則と言えるでしょう。

【併願校を決めるポイント③】受験スケジュールに無理はないか?

東京都・神奈川県の入試日は毎年2月1日~3日が定番。各校の入試日はよほどのことがない限り変わりません。

問題傾向が似ていて、しかも校風も気に入っている。ところが、その日、受験日が重なってしまっている、という場合は、その学校の2回目、3回目の試験日程も確認してみましょう。男女御三家(開成・麻布・武蔵・桜蔭・女子学院・雙葉)以外の多くの学校では、試験を複数回実施しています。ただし、試験日が後になるほど募集人数が少なくなり、難易度も上がるので、狭き門になります。各塾が夏以降に発表する予想偏差値を参考にし、戦略を練ることも大事です。

近年、午後入試が増えていますが、翌日に第一志望校の受験を控えていたり、体力的に自信がなかったり、集中力が持たなそうだったりする子は、無理に受けない方がいいでしょう。受験スケジュールは、お子さんが今ある力を最大限に発揮できる状態にすることが大切です。

併願校選び 偏差値だけで決める家庭は要注意!

長年、中学受験の指導をしていて感じることは、併願校選びがいかに重要かということです。中学受験の目標は、第一志望校に合格することです。そのために小学校生活の半分を受験勉強に費やすのですから、第一志望校に関しては、やや高めの学校をチャレンジしてもいいと思います。でも、「もしかすると行くかもしれない」第二志望校からはしっかり検討をするべきです。

よく併願校を偏差値だけで決める家庭がありますが、それは絶対におすすめしません。校風を知らずに受験をし、入ってから「こんなはずじゃなかった・・・」というギャップに苦しむ親子を私はこれまでに何度も見てきました。

また、入試傾向をよく知らずに、学校名だけで受験校を選んでしまうと、ただでさえ膨大な量の学習が求められる受験勉強に、各校のそれぞれの傾向に応じた勉強をしていかなければならず、子どもの負担は大きくなります。そればかりか、どれも中途半端なままになり、どこにも行けなくなってしまうこともあります。

つまり、中学受験において併願校選びはとても重要なのです。入試傾向など、親御さんだけでは判断が難しい場合は、塾の先生や家庭教師に相談をしてみましょう。家族だけで決めるのではなく、第三者の客観的な意見を聞くことも大事です。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。