連載 中学受験は親と子の協同作業

【4・5年生の夏期講習】ハイスピードで進む! 立ち止まらず聞き続けることが大事|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.8

専門家・プロ
2018年8月23日 石渡真由美

8月の2週目となると、夏休みも折り返し地点を過ぎるころです。4年生にとっては初めての塾の夏期講習。前半はうまく乗り越えることができたでしょうか? 5年生は昨年よりも勉強量が増え、授業で習う内容も難しくなってきていると思います。でも、5年生のうちは、まだ時間的な余裕があるので、お盆休みに帰省や旅行をした家族も多いのではないでしょうか。

お盆休みが終わると、いよいよ夏期講習後半がスタートします。今回は、4・5年生の夏期講習後半の取り組み方について解説します。

夏期講習後半は2学期に習う重要単元の入口

お盆を過ぎるといよいよ夏期講習後半がスタートします。7月後半からお盆前に実施された夏期講習前半と比べて、後半は日数が短いため、「前半よりもラクそう」と思っている子が多いようですが、それは大きな勘違い。なぜなら、後半は2学期から始まる重要単元の導入部分を学習する大事なときだからです。

特に5年生は要注意です。5年生は2学期になると、中学受験の算数で最も重要な「比」と「割合」を学習します。これらの単元は抽象的な概念の理解が必要なため、その力が不足している子は苦手単元になりやすいのです。5年生の段階でつまずいてしまうと、その先の6年生でさらに難しい内容になったときに、太刀打ちできなくなってしまいます。そうならないためには、5年生の2学期が始まる前の今、その導入部分を学習する夏期講習後半でしっかり理解を深めておく必要があります。

塾の授業 わからないことが出てきても聞き続けることが重要

週単位で学習を進めていく通常授業と違って、夏期講習は1日1単元を学ぶのが基本。そのため、普段の学期期間中の3倍のスピードでカリキュラムが進んでいきます。普段の授業でも、塾の授業は学校の授業よりもスピードが速いのに、その3倍の速さとなると、かなりのスピードで進められていくことがわかります。しかも、子ども達にとっては難しい内容です。授業についていけない子も出てくるでしょう。

では、授業でわからないことが出てきたらどうすればよいか?

子どもの反応は次の3つに分かれます。

①「なんだろう?」とそのことを考え続けてしまう子
②わからないけれど、とりあえず聞き続ける子
③もうダメだ・・・・・・とあきらめてしまう子

この中で正しい選択をしているのは②です。

でも、実は①の子が多いんですね。そういう子は、わからないことにこだわり過ぎて、途中から授業に集中できなくなってしまいます。でも、先にお伝えしたように夏期講習の授業は通常授業の3倍の速さで進んでいきます。しかも、後半は重要単元の導入部分でここは絶対に聞き逃してはいけないところです。

ですから、たとえわからないことが出てきても、それは一旦置いておいて、とりあえず聞き続けることが大事なのです。はじめはちんぷんかんぷんでも、最後まで聞くことで考え方がわかり、「なるほど、そういうことか」と理解できることが多くあるからです。でも、途中で聞くことをやめてしまうと、それはできません。つまり、聞き続けることが大事なのです。

夏休み最後の休日は夏期講習の総復習をする

そして、家でしっかり復習をします。塾から出される宿題は、授業で習ったことがきちんと理解できているかを見るものです。4年生のうちはまだ宿題の量はそれほどないので、全部やるようにしましょう。

5年生になると、宿題の量が増え、すべてをやることが難しくなります。例えば「比」の導入部分を学習した場合、比例式を解くという宿題は、今一番大事なので、しっかり取り組んでおきましょう。応用問題の宿題も出ると思いますが、時間的に余裕がなければ、今はやらなくても大丈夫です。5年の2学期以降は、このような取捨選択がますます大切になってきます。

夏期講習が終了すると、2学期が始まる前に3~4日の休みがあります。ここはゆっくり休みたいと思うかもしれませんが、2学期から好スタートを切るには、ここでもう一度、夏期講習で学習したことを総復習しておくことをおすすめします。

夏休み後半は2学期からの学習の好スタートを切るためのウォーミングアップ期間

夏期講習といえば、以前は1学期に習ったことを復習する期間でした。しかし、四谷大塚のテキスト「予習シリーズ」が改訂されてから、四谷大塚と早稲田アカデミーでは従来の復習型の内容から予習型の内容へと変わってきました。SAPIXだけは以前から予習型でしたが、今は日能研を除いた多くの塾が予習型になっています。予習型というのは、授業が「先へ進む」という意味です。

夏期講習では、2学期から学習する重要単元の導入部分を学習します。特に5年生は、2学期以降の算数が難しくなり、ここで成績の差が大きく開いていきます。この先の授業についていくには、この夏の授業の聞き方が重要になります。夏期講習の授業は、通常期間の3倍のスピードでカリキュラムが進み、一度習ったことをもう一度やることはありません。それだけ「1回の授業が大事なのだ!」と思って、しっかり授業に集中しましょう。


これまでの記事はこちら『中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩

※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。