連載 中学受験は親と子の協同作業

【中学受験】学校説明会や文化祭はいつから行くべき? どこをチェックすればいい?|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.10

専門家・プロ
2018年8月31日 石渡真由美

中学受験をする理由は、「進学実績を重視し、御三家を目指したい」「情操教育を大切にしている学校に入れたい」「高校受験がない中高一貫校で好きなことに打ち込んで欲しい」など、家庭によってさまざまです。でも、初めから行きたい学校が決まっているのはごくわずかで、ほとんどの家庭が中学受験の勉強を進めながら、志望校を決めていくことになります。

しかし、首都圏には約300校の私立中高一貫校があり、この中からわが子にぴったりの学校を見つけるのは容易なことではありません。そこで、各学校が実施する学校説明会や文化祭などの公開行事に足を運び決めていくことになりますが、これらはいつから行くのがいいのでしょうか?

中学受験を検討している家庭は、説明会や文化祭は3年生からチェック

東京都を中心に首都圏では数多くの私立中高一貫校があります。生まれも育ちも東京という親であれば、知っている学校もたくさんあると思いますが、地方出身の親にとっては、どこの学校がいいのか正直分からないという人も多いでしょう。

そんな家庭におすすめなのが、一度にたくさんの私立中高一貫校が集まる合同説明会です。合同説明会は春から秋にかけて複数回実施されます。男子校、女子校、キリスト教、同じ沿線の学校など、テーマを持って開催する合同説明会もあります。

合同説明会のよいところは、一度にたくさんの学校に出会えることです。各学校のブースには、入試担当の先生がいて、個別に学校の説明や相談に乗ってくれます。ただし、会によっては参加者が多すぎて「何も聞けなかった」「学校パンフレットしかもらえなかった」ということもあります。

気になる学校があれば、3年生頃からその学校の文化祭やオープンキャンパスなどの公開行事にも参加してみましょう。「3年生からは早くない?」と思うかもしれませんが、行きたい学校によって塾選びが変わってくる場合もあるので、中学受験の勉強が始まる前にいくつか見ておくといいでしょう。

親が行かせたい学校があれば、子どもが興味を持ちそうな場所へ

「中学受験は親子の受験」と言われるように、各家庭の教育方針が大きく影響します。中学受験を始めるきっかけとして、「親自身が行かせたい学校がある」という場合もあります。そういうときは、親が積極的にその学校へ連れていくといいでしょう。そのときに、例えば文化祭なら子どもが興味を持ちそうな場所へ連れて行ってみましょう。理科が好きな子なら実験教室へ、鉄道が好きな子なら鉄道研究部の活動がわかる教室へ、ダンスが好きな子ならダンス発表を見せるなど、子どもの興味を刺激して、その反応を見てみましょう。

もちろん、最終的に受験をするかどうかは子どもの気持ちをくみ取らなければいけませんが、小学生の子どもが自分の意志だけで行きたい学校を決めるのはまず不可能。親がある程度のきっかけづくりをしてあげることも大事です。

ただし、偏差値の高さだけで決めるのは賛成できません。学校選びは、まずお子さんを中心に考え、「この学校ならわが子の力を伸ばしてくれるかもしれない」「ここなら楽しく過ごせそう」といった視点で見ていくことが大切です。偏差値の高さだけで学校を決めて、入学後、校風が合わずにつらい思いをする子は少なくありません。「中学受験は親子の受験」ではあるけれど、その主役は子どもであることを忘れてはいけません。

新設学校の説明会 チェックすべきポイントは?

近年、少子化が進み、私立中高一貫校においても生徒募集に苦戦している学校が増えています。また、時代の流れと共に、各家庭の私学に求めるものも多様化しています。そんな中、かつては男子校、または女子校だった学校が共学校になったり、学校の経営陣を総入れ替えし、教育理念も校名も変えてまったく“新しい学校”として生まれ変わったりする私立中高一貫校もあります。

毎年、そういう新設校は話題になりますが、その学校が本当に魅力的なのか、掲げている教育理念を実行できるのかというのは未知で、受験するか否かの判断は難しいところです。でも、今では御三家を追い越す勢いの渋谷幕張中や渋谷渋谷中も、そうやって生まれ変わった学校の一つです。最近では三田国際中や東京都市大学等々力中学校・高等学校も人気です。

新しい学校を受験するか否かを検討するときは、その学校の校長先生の話をしっかり聞いてみましょう。そのときに周りの親たちがどんな反応をしているかチェックしてみるのです。前のめりになって引き込まれるように聞いていたら、その学校が伸びていく可能性があります。逆に周りの親たちが退屈そうに聞いていたら、その学校はしばらくは伸びないかもしれません。というのは、近年説明会でのプレゼンテーション力が受験者の動向を大きく左右するからです。

学校説明会や文化祭は10校くらい見ると違いがわかってくる

学校説明会や文化祭は3年生ごろから少しずつ行き始め、4・5年生をメインに10校くらい見ておくことをおすすめします。たくさんの学校を見ていくと、私立中高一貫校は大きく分けると、「生徒主体の自由な校風の学校」と「先生が手厚く学習・進路指導をする管理型の学校」があることが分かります。どちらが良い悪いではなく、「わが子にとってベストな学校はどちらの傾向か」を見極める必要があります。その中でどのくらいのレベルの学校を目指すのか? その学校ならではの特徴は何か?
それはお子さんにとってどんなよい影響を与えるのか? といった視点で受験校を決めていくといいでしょう。

6年生になると塾の勉強が忙しくなり、学校を訪問する時間を確保しにくくなります。4・5年生のうちにたくさんの学校を見て、6年生の一学期までには第一志望校を決めておくといいですね。併願校は6年生の9月頃には決めていくことになりますが、受験する学校は必ず1回は訪れるようにしましょう。

中学受験は「志望校ありき」です。「公立中が不安だから」「周りがみんな受験をするから」といった曖昧な理由では、小学校生活の半分を費やすことになる受験勉強を乗り越えていくことはできません。早いうちにおおよその志望校を設定し、目標に向かって頑張るというスタンスが理想です。秋には多くの学校で、学校説明会や文化祭が開催されます。たくさんの学校を訪れ、「お子さんにとってのベストな学校」を考えていきましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。