連載 中学受験は親と子の協同作業

4・5・6年生 学年別冬休みの受験対策|中学受験は親と子の協同作業! 正しい理解がはじめの一歩 Vol.23

専門家・プロ
2018年12月13日 石渡真由美

もうすぐ冬休みがやって来ます。6年生にとっては、入試本番前の追い込みに入りますが、4年生・5年生はどのように受験勉強を進めていくことが理想なのでしょうか? 学年別に解説していきます。

【6年生】状態が良ければ“不得意”対策を、自信が持てなければ“得意”を伸ばす

12月に入り、6年生はいよいよ本番間近。まだやり残していることがいっぱい!と焦っているご家庭がほとんどだと思いますが、6年生の冬休みは新しいことを詰め込むのではなく、入試本番までどう仕上げていくかを考える時期。つまり、合格を意識した学習へと切り替えていく必要があります。

具体的に何をすればよいかは、お子さんの今の状態によって変わってきます。すでに今現在、良い状態までできあがっているなら、冬休みは自分にとっての“穴”を潰す時期。これまでの模試や過去問の結果を見ながら、苦手分野を割り出し、それを克服する最後のチャンスです。

ただし、深掘りする時間はありません。目標は正解率が高い問題は確実に解けるレベルまで持っていくこと。それにプラスして、あと少し頑張れば得点できそうな問題をくり返し解くことで理解を定着させ、1点でも高い得点がとれるようにしましょう。

逆にまだ自信が持てない子は、苦手分野からは手を離し、自分が得意な分野をより確実なものにし、得点を積み上げられるようにしましょう。ギリギリまで苦手分野をやっておきたいという気持ちは分かりますが、わずか2週間の冬休みに、苦手分野をすべて克服することなど到底できません。ここは気持ちを切り替え、確実に点がとれる得意分野や問題に取り組むことで自信をつけ、できない分野や問題は捨てる覚悟を持つことも必要です。なぜなら、11歳・12歳の子どもが挑む中学受験は、当日のメンタルが非常に大きく影響するため、最後は学力よりも「自信を持たせる」ことの方が大事だからです。

6年生の冬期講習は、志望校対策を中心に行うので、なるべく受けた方がいいでしょう。ただし、11月まで順調だったのに、12月で成績が一気に落ちてしまった子は、勉強のやり方を見失ってアタフタとした気持ちになっているケースが多いので、じっくりとした勉強をとりもどすために家庭での勉強が有効です。

【5年生】学年の総まとめをする冬期講習。次の学年で好スタートを切る準備を始めて!

5年生の冬期講習は、その学年の総仕上げをするという意味合いがあります。5年生は秋の段階で、受験に出題される範囲の約8割の学習が終了します。冬期講習はその基本をしっかり押さえ、6年生から始まる演習問題に備える期間なので、できるだけ受講することをおすすめします。

冬休みの学習で特に意識して欲しいのが、1月上旬に実施される模試です。この模試は5年生にとっては、最後の学年のクラスを決める大事なテストです。このテストの結果によって、次の学年をどんな立ち位置で臨めるかが決まってくるといってもいいでしょう。このクラスを決めるテストの出題範囲が、塾によっては冬期講習で扱わないことがあります。テストの出題範囲表の中で、冬期講習でやらない単元は自宅学習で復習しておく必要があります。

4・5年生まではどこか他人事と思っていた中学受験も、6年生になると徐々に“自分ごと”として捉えるようになってきます。すると、まわりもみんな頑張りはじめ、クラスアップをするのが難しくなってきます。

本連載でも何度も説明している通り、大手中学受験塾は上位クラスにいる子ほど、受験に有利な仕組みになっています。中学受験で難関校を狙うのであれば、まずはその志望校の学校別特訓クラスに入ることが合格の近道といってもいいでしょう。ですから、5年生の冬休みは、6年生で好スタートを切れるように、クラスアップを目標に頑張りましょう。

【4年生】分数・小数の計算や和差算などができていない子は、冬期講習を受講せず苦手克服を優先させる

4年生の冬期講習も、5年生同様にその学年の総仕上げをします。4年生の場合、これまでの学習が順調に進んでいる子は、冬期講習で少しチャレンジ的な問題にも取り組むことになるので、やはり受講した方がいいでしょう。

ただし、分数・小数の計算や和差算、植木算などができていない子は、この冬期講習を受けてもあまり意味がありません。

4年生で身につけておくべきことができていないまま、応用演習の授業を受けても成績アップは望めません。知識が欠けている部分や、練習量が足りなかった単元をじっくりと家庭学習で補い、5年生の学習に入っていく準備を優先してください。

大手中学受験塾では、5年生のカリキュラムがスタートする4年生の2月から、勉強の内容が難しくなり、学習量も4年生と比べて1.5倍に増えます。つまり、「4年生で習った基本はできていて当たり前」という状態からスタートし、徐々に応用へと入っていくのです。

また、5年生になると、多くの子ども達が苦手とする割合や速さの単元がスタートします。これらの分野は抽象的な概念の理解が必要になるため、それが苦手な子は、この時期を境に成績が下がってしまいます。このように、5年生になると勉強が一気に難しくなることを念頭に入れ、4年生で習ったことは、5年生クラスがスタートする前にしっかり定着させておきましょう。


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※記事の内容は執筆時点のものです

西村則康
西村則康 専門家・プロ

プロ家庭教師集団「名門指導会」代表
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」主任相談員

にしむら のりやす日本初の「塾ソムリエ」としても活躍中。40年以上中学・高校受験指導一筋に行う。コーチングの手法を取り入れ、親を巻き込んで子供が心底やる気になる付加価値の高い指導が評判。暗記や作業だけの無味乾燥な受験学習では効果が上がらないという信念から「なぜ」「だからどうなる」という思考の本質に最短で入り込む授業を実践している。また、学習指導だけでなく、受験を通じて親子の絆を強くするためのコミュニケーション術もアドバイスする。「中学受験は日常生活を犠牲にしてまで行うものではない」「主役は塾の先生や家庭教師ではなく、お子さんとご家庭だ」という「生活の延長線上の受験」を理想に掲げている。著書に『中学受験は親が9割』(青春出版社)、『中学受験基本のキ! (日経DUALの本)』(日経BP社)など、20冊を超える。

西村則康公式サイト http://www.nishimuranoriyasu.com/
名門指導会 https://www.meimon.jp/
中学受験情報局「かしこい塾の使い方」 https://www.e-juken.jp/

この記事の著者

フリーライター。子供の誕生をきっかけに、わが子の成長に合わせ、ベビー雑誌、育児・教育雑誌、塾専門誌で取材執筆。6年前に子供の中学受験を経験したものの、国立大学の附属中学で併設高校が無かったため、その3年後に“高校受験生の母”、またその3年後に“大学受験生の母”も体験。中・高・大の3つの受験を知る受験ライター。